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意見聴取とは?派遣先企業が行うべき手続きの流れについて解説

掲載日2023年7月11日

最終更新日2024年4月16日

意見聴取とは?派遣先企業が行うべき手続きの流れについて解説

目次

⇒派遣先の講ずべき措置とは?資料をみてみる

労働者派遣法では、1つの事業所での派遣社員を受け入れ期間は原則3年までです。ただし、「意見聴取」を行うことで、延長することができます。 

今回は、派遣社員の受け入れ期間を延長する手続きである「意見聴取」について詳しく解説します。 

意見聴取(派遣可能期間の延長手続)とは

意見聴取は、派遣先が派遣可能期間を延長するために行う手続きのことです。労働者派遣法では、1つの事業所で派遣社員を受け入れることができる期間は最長3年となっていますが、意見聴取を行うことで3年を超える受け入れが可能です。 

意見聴取は派遣可能期間の延長について、労働組合または過半数の労働者代表に対して、抵触日の1か月前までに意見を聴く必要があると、労働者派遣法第40条の2第3項で明記されています。

意見聴取手続きの流れ

意見聴取の流れは以下のとおりです。

  1. 労働組合または過半数労働者代表に意見聴取を行う
  2. 反対意見が出た場合、改めて説明を行う
  3. 意見聴取の内容を記録・保存する
  4. 意見聴取の記録を労働者・派遣会社に周知する

手順の要点を順番に解説します。 

1.労働組合または過半数労働者代表に意見聴取を行う

派遣社員受け入れの期間延長に関する意見聴取は、労働組合や過半数代表者に対して行います。過半数代表者とは、労働者の過半数を代表する者です。また、複数の事業所で派遣社員を受け入れている場合は、事業所ごとに意見聴取が必要です。

 

2.反対意見が出た場合改めて説明を行う

もし労働組合や過半数の労働者代表から反対意見が出た場合、事業所の方針を再度説明する必要があります。具体的には、以下の内容です。

  • 延長期間とその理由
  • 過半数労働組合等の異議への対応に関する方針

 労働組合や代表の意見を十分に尊重し、理解を得ようとすることが重要です。

 

3.意見聴取の内容を記録・保存する

意見聴取が行われ延長が確定した場合、以下の内容を記録し、事業所の抵触日から3年間保存する必要があります。

  1. 意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
  2. 過半数労働組合等への通知事項及び通知日
  3. 過半数労働組合等から意見を聴いた日及び当該意見の内容
  4. 過半数労働組合等に対し説明した内容
  5. 意見を聴いて、延長しようとする派遣可能期間を変更したときは、その変更した派遣可能期間

4.意見聴取の記録を労働者・派遣会社に周知する

意見聴取の記録を労働者に周知する方法は、3つのいずれかを使います。

  • 各事業所の見やすい場所へ提示する、または備え付ける
  • 労働者に書面を交付する
  • 電子ファイル等に記録し、各事業所の労働者が常時確認できる機器を設置

 社内の掲示板や社内ネットワークを通じて、労働者に周知しましょう。また、派遣会社には変更された事業所単位の抵触日を通知します。

労働者派遣法 派遣先の義務とは?

労働者派遣法は、過去に何度も改正が行われています。

その中には、派遣社員を受け入れる派遣先に関する事項もありました。

派遣先に求められる講ずべき措置について、わかりやすく解説した資料をご用意しています。ぜひご覧ください。

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⇒「派遣先の講ずべき措置とは? 10の指針について解説」はこちら

 

意見聴取手続きに関するよくある質問

意見聴取を行わずに派遣可能期間を延長した場合どうなる?

労働者派遣法では、派遣可能期間の延長に関して、意見聴取を行わずに派遣することは違法です。もし違法な派遣が行われると、「労働契約申込みみなし制度」が適用されます。

労働契約申込みみなし制度は、派遣先が派遣社員に直接雇用を申し込んだと見なされるものです。労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が派遣社員に労働契約を申し込んだとみなされる制度のことです。派遣社員が1年以内に承諾すると派遣社員と派遣先の間で労働契約が成立します。

ただし、派遣先が違法派遣について善意無過失(注意していたものの知ることができなかった)である場合には、労働契約申込みみなし制度は適用されません。労働契約申込みみなし制度については、「労働契約申込みみなし制度とは 対策方法や事例を紹介」で詳しく解説しています。

事業所が複数ある場合、意見聴取はまとめて行える?

派遣先に複数の事業所がある場合、通常は事業所ごとに意見聴取を行う必要があります。同様に、企業に一つの労働組合しかない場合でも、複数の事業所の意見聴取手続きをまとめて行うことはできません。

同じ派遣会社から派遣されている派遣社員の場合、抵触日はどのように考えますか?

派遣労働における抵触日には、個人単位と事業所単位の2種類があります。

個人単位の抵触日は、同じ派遣社員が同じ組織で働ける期間の満了日であり、最長で3年です。
事業所単位の抵触日は、事業所が派遣社員を受け入れできる期間の満了日であり、最長で3年です。

同じ派遣会社から派遣されている派遣社員でも、個人単位と事業所単位の両方の抵触日を管理する必要があります。両方の抵触日は並行して適用され、先に到来する抵触日が優先されます。

例えば、2023年4月1日にAさんという派遣社員を受け入れた場合、Aさんの個人単位の抵触日は2026年4月1日です。しかし、2024年4月1日に同じ派遣会社のBさんという派遣社員を受け入れた場合、Bさんの個人単位の抵触日は2027年4月1日ですが、事業所単位の抵触日は2026年4月1日になります。 そのため、Bさんも2026年4月1日までに契約を終了するか、延長手続きを行う必要があります。

事業所が統合した場合の意見聴取の抵触日を教えてください

事業所が統合した場合、統合前の事業所の中で最も早い抵触日が適用されます。

例えば、A支店が2023年4月1日に派遣社員の受け入れを開始し、B支店が2024年4月1日に受け入れを開始した場合、統合後のC支店の抵触日は2026年4月1日となります。 

派遣先が講ずべき10の指針とは?

派遣社員の直接雇用の義務・努力義務のほかにも、派遣先には対応すべき事項として10の指針が出されています。「知らないうちに派遣法に反していた」とならないよう、派遣先の講ずべき措置をしっかりと理解しておきましょう。こちらの資料では、10の指針についてわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。

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まとめ

意見聴取は、事業所が派遣可能期間を延長する手続きです。派遣可能期間を延長する前に、抵触日の1か月前までに労働組合または過半数労働者代表に意見聴取を行い、内容を記録・保存し、労働者に周知する必要があります。 

意見聴取を行わずに派遣可能期間を延長すると違法派遣となり、労働契約申込みみなし制度が適用されます。派遣社員を受け入れる場合は、抵触日を適切に管理し、意見聴取について理解しておきましょう。

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著者プロフィール

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世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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