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内定承諾を受け安心していたら、「内定から2週間後に、学生から入社に対しての不安を打ち明けられた」「内定式直後に内定辞退の連絡が来て、追加の採用活動が必要になった」などの経験をもつ人事担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした内定後の気分の落ち込みは内定ブルーと呼ばれ、この気持ちを考慮した上で内定フォロー施策を講じることで、内定辞退や早期退職を防ぐことができます。本記事では、内定ブルーの原因や陥りやすい時期、対処法について解説します。
内定ブルーとは、学生が就職活動で内定を得て承諾した後に、自分の選択に疑念を抱いたり、社会人生活への不安などにより気分が落ち込む状態を指す言葉です。新しい経験や人生の大きな決断の前に感じる精神状態を表しており、結婚前のマリッジブルーや妊娠中のマタニティブルーと似ています。
内定ブルーは一時的な気分の落ち込みですが、放置したままでいると不安が大きくなり、内定辞退や、入社後の早期退職につながる可能性もあるため、放置せず対処することが重要です。
内定ブルーに陥りがちな時期は、内定承諾後・大型連休後・内定式後・入社直前の4つです。それぞれ解説します。
学生は、ようやく内定が出て入社する企業が決まった喜びでしばらく気分が高揚しています。しかし、内定承諾をしたものの次のような考えが少しでもあると、「本当にここに決めてよかったのだろうか」と不安になり、内定ブルーに陥ることがあります。
内定承諾からあまり時間が経たないタイミングや、まだほかの企業が採用活動を行っているうちに内定を辞退しようと考えて動く可能性もあるため、要注意の時期です。
友人と会う機会が多い大型連休後も内定ブルーに陥りやすい時期です。
隣の芝生は青く見えるように、友人の内定先の方が素晴らしい企業に見え、内定ブルーになる人も出てきますまた、大型連休で楽しく遊んだ後、社会人になることに対する漠然とした不安が押し寄せてきて落ち込む人もいます。
内定式前後は、内定ブルーになりやすい時期です。
内定式前には、新しい環境や社会人生活への不安から内定ブルーを感じる学生が多く、この時期には働くことのリアリティが増し、社会人としての新しい生活が現実的になることで恐れや不安が生じます。
一方で、内定式後は、同期との関係や上司・先輩との人間関係に不安を感じることが原因で内定ブルーに陥ることがあります。これらの不安は、新しい職場での人間関係構築や社会人としての責任を意識することに起因しており、それが内定ブルーの深まりにつながっています。
入社直前はいよいよ迫ってきた社会人生活、活躍できるかどうか、本当に入社して良いのかなどの不安が募り、内定ブルーが強く出る時期です。
この時期に内定ブルーになっている場合は、入社後も不安が解消できないまま会社に馴染めず、五月病などに陥る可能性もあるため注意が必要です。
売り手市場のなか、採用活動を前倒しで進める企業が増えており、企業が内定・内々定を発表する時期も以前よりも早まっています。
社会人経験がない学生にとって、先輩や友人、家族、口コミなどからのネガティブな情報は、比較対象とする情報がない分、将来の不透明感からくる精神的負担へとつながりやすいものです。
先述のとおり、学生の内定をもらってから実際に働くまでの猶予期間は長くなっており、そういった情報に触れる機会が増えやすい状況にあります。
猶予期間の長期化は、未知の環境に対する不安を抱える期間の長期化でもあり、これが内定ブルーを引き起こす背景となっている可能性があります。
学生が内定ブルーに陥ってしまう代表的な理由を7つあげ、解説します。
学生自身が、就活の結果に満足していない場合、内定をもらって承諾したものの、「もう少し頑張れたのではないか」「第一志望に落ちて自暴自棄になっている部分があるのではないか」などの思いが、時間とともに強くなってくる可能性があります。
この会社で良いのか、もっと自分に合った会社があるのではないかといった迷いにより内定ブルーに陥ります。学生は社会人経験自体がないため、「大丈夫だろう」という感覚値を持っていません。そのため、些細な情報で心が揺らぎやすい点に注意が必要です。
社会人は、学生時代の自由な時間と比較して、職業人としての規則正しい生活リズム、時間管理、そして責任感の増加が起こることを学生は情報として知っています。
しかし、実体験がないため不安や責任が増えることに対する漠然とした恐怖を覚え、内定ブルーが起きてしまいやすいのです。
仕事に対する不安は、内定ブルーを引き起こす重要な要因です。特に、仕事で求められるスキルや責任に対して、自分が応えることができるのかというプレッシャーは大きいものです。
自身の能力や適性を疑問視することもあれば、評価されることへの恐怖など、自信の欠如や不安感を増幅させる原因となります。
これまで同世代を中心としたコミュニティに属していたのに対し、社会人生活では幅広い世代の人々や異なる役割、役職者との関わることになります。世代だけではなく、経験の違いからコミュニケーションに不安を持つこともあるでしょう。
どのような態度や考え方、言葉遣いで接したらよいか想像つかず、ストレスを感じる学生も少なくありません。
また、配属ガチャ(配属先が良いか悪いか)などの不確実性も大きなストレスの原因になります。特に配属先の部署の雰囲気や上司・同僚との相性、仕事内容などを気にかけています。
口コミや家族・先輩・友人から入社予定の企業に対する悪評を耳にすると、それらを鵜呑みにしてネガティブな印象を抱くこととなり、内定ブルーに発展しやすくなります。
入社までの時間が長く、SNSなどからも玉石混交の情報が入りやすいのも原因です。
自分自身のことで精一杯な状態から落ち着き、余裕がでることで急に他人が気になり、自分の内定先と比べてしまうものです。
入社前からやる気に満ちた内定承諾した同期や友人のみならず、学問を究めるなど別の道に進んだ友人と比較して、「本当に自分はこれでいいのか」「ちゃんとやっていけるのか」と迷いが生じて、内定ブルーになることも少なくありません。
就職をきっかけに上京で引っ越しが必要な場合や、転勤などで親元を離れる場合は特に、就職関連の不安にプラスして自立できるのかという不安もあるため、より内定ブルーの状態に陥りやすいでしょう。
人事がどのように対処するかで結果が大きく変わる可能性があります。紹介する対処法を学生が抱える不安に合わせて選び、対処してみてください。
社会人経験がなく不安を感じやすい学生の気持ちを企業側が理解することで、形だけではない実のある内定者フォローが実施できるようになります。そのポイントを6つご紹介します。
社会人として働き出す前の心構えと準備ができているかどうかを「就業レディネス」と言います。学生自身にも就業レディネスを高める重要性を説きつつ、企業にできることとして情報の開示・繋がりづくりの2つに取り組みましょう。
1on1を内定者フォローに取り入れるのは有効です。入社後も相談しやすい雰囲気を感じ取ってもらえるため、今後の関係性構築にも役立ちます。
内定ブルーから内定辞退に発展する前に学生から相談が来るなど、早期に対処できる可能性が高まるでしょう。
1on1でのトピック例
1on1は内定承諾後、入社前など特に内定ブルーに陥りやすい時期を狙って実施し、入社以降も続けるようにすると定着にも役立ちます。しかし、学生は入社前の身であるため、過度に期待をかけるとプレッシャーを感じて逆効果になる可能性もあります。注意しましょう。
最近では、就活においてもオンライン化が進んでいるため、職場の雰囲気がつかみにくく不安に陥ることがありあす。それを防ぐためにもオフラインでコミュニケーションができる場を作ることが大切です。
例えば、オフラインで新入社員を集めて仕事に関連する1つのテーマについて意見を交わし、その後食事を一緒にとる機会を作るなどです。また、同期だけでなく会社の雰囲気に慣れてもらうため、オフラインでさまざまな部署の人と会話する機会をつくるのも良い手法です。
オフラインでの交流機会を定期的に持つことで、会社や同期に馴染めないなどの不安を減らす効果が期待できます。
会社で働く機会を作ることや事前研修を実施することも効果的です。先輩社員の仕事を間近で見たり仕事について学ぶことで、社内の雰囲気を感じとってもらえ、仕事の内容を知ってもらうことができます。
実体験を通し「この会社で働く」「社会人のライフスタイル」「担当するかもしれない業務」というイメージが具体化し、不安を少なくすることができます。
内定者同士のネットワークを築くサポートをするのも、内定ブルーの緩和に役立ちます。同期は入社後の悩みや不安を共有し、互いに未知のことを乗り越える心強い存在です。
複数の内定をもらっている場合でも、「この人たちがいるなら」と決断を後押しするケースもあります。
施策の一例
コミュニケーションのトピック一例
ただし、内定者同士で合わないと感じることで内定ブルーにつながる可能性があるため、懇親をする場合は内定者だけでなく、ファシリテーターとして先輩社員や人事を挟むようにしてください。
メンター制度のような形で、入社前から先輩と気軽にコミュニケーションをとれる場を作ることも有効です。
リクルーターの先輩に質問できるイベント、個別あるいはグループ別の面談、社内イベントに内定者を招待してイベントを一緒に楽しむ、企画に携わってもらうなどの場を設けましょう。
内定者側も、気軽に先輩とコミュニケーションができることによって不安が解消する、あるいは気にならなくなるなどの効果があります。
内定式には、入社前の不安を解消するだけでなく、モチベーションを上げたり内定者同志の連帯感を生み出す効果があります。
内定式では、学生が就職活動中に感じた、「この仕事をする魅力」「会社の社会的役割」を思い出してもらうために、表彰を受けたプロジェクトなどの発表を見せるなど、改めて会社の魅力付け、動機付けを行うようにしましょう。
そのほか、先輩社員との対話や入社1年目の先輩が不安に思っていたことをどう払拭したかのインタビューを見せるなど、不安を払拭した人の実例を聞いて安心してもらうコンテンツも有効です。
人事として内定ブルーに対処するためには、学生を深く理解し、以下のことを念頭に置きましょう。
内定ブルーを払拭するには、「この仕事がやはり楽しそう(やりがいがありそう)だ」と感じてもらうことが重要です。そのためにも、学生の不安をベースとした上で、精神論で押し通すのではなく、コミュニケーションを意識した取り組みが求められます。
人事担当者だけではなく、内定フォローに関わる社員にも理解を促し、施策を立てていきましょう。
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