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早期退職制度とは|導入するメリット・デメリットや手順を解説

掲載日2022年5月24日

最終更新日2022年12月 1日

目次

    転職が当たり前となった昨今、「早期退職制度」が注目を集めています。早期退職制度とは、社員が自分の意思で早期退職を選択できる制度のことです。新型コロナウイルスの蔓延により先行きが不透明な世の中で、セカンドキャリア形成を求めて、本制度を利用する労働者も少なくありません。今回は早期退職制度とはどのような制度なのか、メリット・デメリットや具体的な導入法とあわせて解説します。

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    早期退職制度とは

    早期退職制度とは、いわゆる定年年齢を迎える前に自身の意思により退職を選択する制度のことです。社員側が希望をすれば退職できる「福利厚生制度」内のルールの一つという位置づけにあります。

    早期退職制度を利用して、定年より早い段階で自主的に退職をする社員に対しては、会社側が定年退職時に支給予定の退職金を上乗せしたり、再就職のサポートを行ったりと、何らかの優遇措置を設けているケースが多くみられます。なお、早期退職制度はあくまでも「社員の意思」による退職であることから、自主退職扱いとなります。

    「希望退職制度」との違い

    希望退職制度とは、経営不振や将来起こり得るリスクに備えるため、期間を限定して早期に退職をする人を募集する制度です。

    希望退職制度に応募をし、退職を選択した社員に対して、早期退職制度と同様に退職金の上乗せや再就職サポートが実施されます。この点は早期退職制度と類似していますが、早期退職制度が福利厚生制度の一環とされる一方、希望退職制度は「期間限定式の退職応募システム」という意味合いです。

    また、希望退職制度は期間限定的に退職者を募るという行為から、会社都合退職と扱われる「退職勧奨の実施」と扱われる点にも注意が必要です。

    「選択定年制」との違い

    選択定年制とは、あらかじめ会社側が選択できる定年年齢期間を定めておき、社員が事前にその期間の中から自身の希望する定年年齢を選択できる制度です。

    高齢化に伴い年金の受給世代となっても現役で働き続けたいと希望する人が増えたことで、注目されている制度の一つです。あくまでも定年年齢を選択する制度となるため、早期退職制度とは大きく異なります。

    選択定年制の対象となる社員に対しては、定年を迎える3年~5年ほど前に説明会やリーフレットなどを用いて制度の説明を行い、定年年齢期間に入る前に最終的な意思を確認する、という方法を取ることが一般的です。

    なお、定年後も継続して会社で働き続けられる「継続雇用制度」の利用有無についても、定年年齢を選択する際にあわせて確認するケースが多くみられます。

    「リストラ」との違い

    リストラは、正式名を「リストラクチャリング」といい、早期退職制度というよりは希望退職制度に意味合いが近い制度です。具体的には、経営不振や事業再構築、業務の効率化などを理由に人員整理の一環として社員を解雇することです。

    希望退職制度が会社の都合を理由に退職者を募る制度であるのに対し、リストラは会社の都合を理由に解雇する制度となり、同じ理由でありながらより強制力の強い内容であることがわかります。

    なお、リストラを理由に解雇をされた社員が失業手当を受給する場合、「やむを得ない理由による退職」と扱われ、通常のケースと比べて受給要件や給付日数が優遇されます。

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    早期退職制度を導入する4つのメリット

    早期退職制度には、従業員にとっては転職をしようか否か悩んでいる社員の後押しになるというメリットがありますが、導入によって企業側が得られるメリットを4つの観点から説明します。

    組織の若返り・若手社員のキャリア形成の促進

    少子高齢化の加速や、定年年齢設定の引き上げの流れを受け、各企業には中高齢の社員が多く勤務する傾向にあります。ベテラン社員の経験や能力は企業にとって大きな戦力となりますが、同時に「若手社員が躍進する機会が得られにくい」、または「年功序列体制により昇進・昇格が滞る」などの問題が企業では起きています。

    しかし、早期退職制度の導入により退職者が発生した場合、今まで表に出てこなかった若手社員が活躍をするチャンスを獲得し、組織の若返りを促進できるでしょう。また、若手社員が経験を積む機会を得ることでキャリアアップにつながり、長期にわたって企業で活躍が期待できる優秀な人材を生むきっかけともなります。

    組織人員の最適化に伴う労使トラブルの回避

    ベテランから中堅、若手まで、それぞれの人材の良さを生かして事業を発展させたいと経営者が考えていても、世代ごとの経済情勢などの影響により「ベテラン社員の構成比が突出して高い一方、若手社員の数が少なく活性化に欠ける」などの悩みに陥るケースがあります。

    このような場合、年齢層のバランスを取るために人員整理を強引に試みると、労使間のトラブルに発展する恐れがあります。しかし、早期退職制度はあくまでも「社員の意思」による退職であり、「社員の自主性に委ねる」という会社側の姿勢を示せるため、労使トラブルのリスクが少なく組織人員の最適化を目指すことが可能です。

    社内の活性化

    早期退職制度の導入により退職者が発生した場合、退職者が行っていた仕事は別の社員が担当します。また、辞めた社員の代わりに新しい社員が入社してくるケースもあります。

    このように、社員の担当業務や人材の入れ替わりが生じることで社内に新たな風が吹き、職場環境が活性化するという効果がみられます。新たな業務を担当することで社員の仕事へのモチベーションがアップするケースも多く、生産性向上へとつながる可能性があります。

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    早期退職制度を導入する際の懸念点・注意点

    ここからは、早期退職制度を導入することにより発生する懸念点・注意点について解説します。

    短期的にコストが増加する

    早期退職制度は、その名のとおり退職に関する制度であるため、制度を利用する人が多ければ多いほど、退職者が増加します。通常の退職金の支払いのほか、早期退職制度の優遇措置として退職金の上乗せや退職時に残っている有休の買い上げなどを導入している場合、本制度を利用する人が発生するごとにコストが増加することに留意してください。

    経営危機だと誤解される

    早期退職制度は、そもそもは企業の活性化や社員のキャリアアップを後押しする前向きな制度です。しかし、希望退職制度やリストラなどと混同されやすいことから、整理解雇・人員整理などのイメージを持たれるケースが多くみられます。

    極端な話になると「会社の危機なのでは!?」という不安を社員に抱かせ、退職するつもりのない社員が思い込みの危機から脱するために退職をしてしまう、という状況に陥りかねません。

    会社側は、早期退職制度の内容を社員へ周知し、正しい理解を得ることを第一に考える必要があります。

    想定以上の早期退職希望者が出る

    早期退職制度を利用する社員が会社の想定以上に多く、必要以上に退職者が出てしまうことで、事業運営に支障が出る可能性もあります。さらに、残った社員の負担が増え、その社員も仕事を苦にして早期退職制度を利用するという負の連鎖に陥る危険性は否定できません。

    会社側が取るべき対策としては、早期退職制度が適応される従業員の条件(勤続年数、年齢、部署、職種など)をあらかじめ設定し、必要以上の人材流出を防ぐ方法が挙げられます。ただし、ある一定層の人材を重宝するあまり、部署や社員ごとで制度付随の優遇措置内容に差異を設けることは、公平性の面において違法と扱われるケースがあるため注意しましょう。

    なお、優秀な人材を流出させないよう、早期退職制度の利用に会社の承諾を要するなどのルールを設けること自体は違法ではありませんが、民法における「社員が退職する自由」を阻害する行為と判断されないよう気をつける必要があります。

    将来を期待していた人材まで流出する

    早期退職制度に付随し、退職金などの優遇措置を設けることは、制度の利用促進に有効な方法です。しかし、制度の利用推進を目指し、あまりにも希望者に有利な内容で設定してしまうと、将来重要な役割についてもらいたいと考えていた人材あるいは、現職の管理職など残ってほしい優秀な人材までもが流出してしまう恐れがあります。

    前述したように早期退職制度の対象者範囲を設ける方法や、制度の利用状況を常に管理しながら、優遇措置の内容を定期的に見直すなどの方法を取る必要があるでしょう。

    労働者が制度の内容を誤解しトラブルが発生する

    早期退職制度は、定年年齢前に社員自身の意思で退職を選択する制度です。したがって、希望退職制度やリストラのような「会社都合の退職」ではなく、「自己都合の退職」と扱われる点に注意が必要です。

    退職する社員が、早期退職制度を利用すると会社都合退職による失業手当の優遇措置を受給できると誤解をしている場合、退職後に労使トラブルへと発展する恐れがあります。このようなケースを防ぐため、社員に対して正しい制度の理解を徹底することが求められます。

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    早期退職制度希望者への優遇措置の種類

    ここでは、早期退職制度の利用活性化を目的とした優遇措置の内容について、具体的に解説していきます。

    割り増し退職金

    早期退職制度の優遇措置として多くみられる方式が、「退職金の上乗せ」措置です。退職金制度の導入有無をはじめとした具体的な額や計算方法については会社の経営状態により異なることから、優遇措置の具体的な設定法も会社状況に応じて変わります。

    方法としては、例えば「一律の金額を上乗せする方法や年齢や勤務年数に応じて一定額を上乗せする方法」、「支給賃金額をもとにした一定加算などの方法」が挙げられます。また、定年まで勤めあげたとみなして退職金を支払う場合なども、社員に対して誠意を示す方法として有効です。

    特別休暇制度

    早期退職制度を利用する社員には、再就職先を求めて就職活動をする人もいます。制度利用者が転職活動などにまとまった時間を使えるよう、特別に休暇を付与する方法が特別休暇制度です。

    また、休暇に関する優遇制度としては、退職時に残っている有給休暇を平均賃金や基礎日数に応じた額で買いあげる方法なども効果的です。

    再就職支援制度

    早期退職制度を利用した社員すべてが容易に再就職できるわけではありません。退職時の年齢などによっては、そもそも求人募集の数が少ないなどの理由で転職に難航するケースが多くみられます。

    自律的に新たなキャリアを切り開く社員を後押しするという企業姿勢を大切にするためにも、再就職支援制度を設ける方法が非常に有効です。再就職支援のためのサービスは、人材紹介会社や再就職支援会社などと契約を交わすことで利用することができます。具体的には、退職者の再就職先の紹介や、履歴書の添削や面接の練習、あるいはキャリアカウンセリングなどにより、退職者を支援します。

    会社側が社員の再出発をきちんと支える姿勢を打ち出すことで、残った社員のモチベーションや会社に対する信頼感の維持にもつながりますので、真摯に対応する必要があるでしょう。

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    早期退職制度導入・実施の手順とポイント

    ここからの項目では、早期退職制度を導入するにあたり、必要となる手順や気をつけるべきポイントについて解説します。

    1. 目的設計

    会社が最初に行うべきことは、早期退職制度を導入する理由を明確にすることです。「ある一定層の世代のキャリア形成」や「セカンドキャリアを支援するため」、「組織の活性化」など、自社が求める早期退職制度による効果を洗い出し、目的を明らかにします。制度の内容を社員側へ周知させる際に、導入の目的があいまいでは社員を不安にさせてしまう恐れがあります。どのような目的で制度を導入するのかをはっきりさせておきましょう。

    2. 制度設計

    前項目で定めた制度の導入目的を達成させるため、制度の内容を具体的に定めていきます。

    まずは対象者を限定するのか否かを決定し、対象者を絞るのであれば、どのような職種や年齢、勤続年数の社員を想定するのかを入念に検討します。

    対象者を設定した後には優遇措置の内容を決定していきます。そもそも優遇措置を設けるか否かを検討し、設定する場合はどのような内容が効果的かを判断します。例えば、有給休暇の消化が思うように進んでいない会社の場合は休暇に関する措置、金銭的な面で退職社員を支援したいと考える場合は退職金の上乗せ措置など、状況に応じた内容で設定していきましょう。

    また、早期退職制度を利用した社員を、定年退職した社員と同様の扱いか否かについて、就業規則などであらかじめルール化しておく必要もあります。これは、定年退職と同様の扱いとした場合は、退職後に雇用保険から給付が行われる基本手当(いわゆる失業保険)の支給開始期間が異なるためです。

    定年退職扱いの場合は、通常の自己都合退職時に適用される3か月間の給付制限期間が免除されることになるため、社員にとっては「定年退職と扱われるか否か」が非常に重要なポイントです。

    3. 社員への制度周知

    制度設計ができたところで、次は早期退職制度について社員へ理解を求める段階へと入ります。早期退職制度の存在を知らない社員がいることを想定し、リーフレットや案内メール、研修などの方法を通じて、初めて知る人にも分かりやすい形で制度の目的や内容について理解を求めます。社員が制度内容を誤解することで後に労使トラブルへ発展する恐れがあるため、正しい内容の周知徹底は必要不可欠です。制度の不明点について相談する窓口を設ける方法も有効です。

    4. 希望者との面談

    社員に制度内容を周知したら、実際に早期退職制度の運用を開始します。運用開始後、どのような形で希望者と話し合いを進めていくのかについても、あらかじめ設定をしておく必要があります。

    希望者を募る方法についても、社員一人ひとりに確認していく方法や、希望者に申し出てもらう方法などが挙げられますので、会社の状況に応じた形を取ると良いでしょう。

    実際に申込みをした社員とは、個別の面談によって詳細を決定します。もしも退職してほしくない人材であった場合は、その社員がいかに会社にとって必要であるかを伝え、雇用条件の見直しも視野に入れた形で交渉を進めます。

    ただし、退職を禁じる方法などは法違反となる恐れがあるため、あくまでも「話し合い」によるスタンスを崩さないようにしましょう。

    5. 退職の手続き

    実際に早期退職をすることが決定した社員については、具体的な退職日や退職までの対応に関して内容のすり合わせを行います。優遇措置の適用についても話し合い、労使がともに合意の上で退職が実施されるよう、コミュニケーションを密に取る必要があります。

    また、合意に関する「誓約書」や退職後の情報漏えいを防ぐための「秘密保持契約書」を締結する方法も有効です。特に秘密保持契約については、転職が頻繁に行われるようになった昨今では、会社を守るためにも非常に重要な対処法です。

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    まとめ

    早期退職制度にはメリット・注意点の双方があることを正しく理解した上で、会社の成長のためにも前向きな目的で導入を検討することが有効です。まずは、会社の現状から問題点を洗い出し、解決をしていくためにはどのような方法が適切かを検討してみてはいかがでしょうか。

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    著者プロフィール

    加藤 知美(社会保険労務士)

    愛知県社会保険労務士会所属。総合商社、会計事務所、社労士事務所の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。 総合商社時では秘書・経理・総務が一体化した管理部署で指揮を執り、人事部と連携した数々の社員面接にも同席。会計事務所、社労士事務所勤務では顧問先の労務管理に加えセミナー講師としても活動。

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