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今こそIT人材は「採用」から「育成」へ

掲載日2020年12月17日

最終更新日2021年9月24日

目次

    DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、新たなビジネスの促進や変革を実現するためには、先端IT技術が必要不可欠です。しかしながら、世界的に見てDXが遅れている日本では、先端IT技術を持つ人材が枯渇しており、外部からIT人材を採用することが困難を極めています。そのため自社内でIT人材を育成する必要性を感じている企業が、これまで以上に増加しています。本コラムでは自社内でIT人材を育成する必要性や育成のポイントについて解説します。

    IT人材の現状

    2018年に経済産業省が発表した「DX推進ガイドライン」では、DXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と明示しています。このDXを推進するために重要な役割を担うIT人材の現状を解説します。

    日本におけるDX

    独立行政法人情報処理推進機構の「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)」によると2019 年と2020年の比較では、企業がDX に向けて着実に取り組んでいるものの、まだ多くの企業においてDX推進を取り組めていない、もしくは散発的な実施に留まっています。

    なかでも「人材育成・確保」は取り組めていない企業が多く、DX 推進に必要な人材の育成や確保に関しては全企業に共通する課題であると考えられます。そして新型コロナウィルス感染症の影響により、多くの企業がデジタルやオンラインの重要性を痛感した今、DX推進が加速し、人材確保がより深刻な問題になることが予測できます。

    IT人材の不足

    経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年時点でのIT人材の不足数は最大79万人と予測されています。日本のIT人材はIT関連産業に集中して就業していますが、IT関連産業以外でも需要が拡大しています。また労働人口の減少や、先端IT技術を取得した人材の育成が追いつかない、過酷な労働環境のイメージからIT人材を目指す人材が減少したことも要因となり、需要に対して人材の供給が追い付かない状況に陥っています。IT人材の不足は「ITエンジニア不足の現状と対応策、企業が行うべきことは?」で詳しく解説しています。

    IT人材育成のための経済産業省の取組み

    IT人材の不足はDX推進の足かせとなる懸念から、経済産業省ではIT人材を育成するさまざまな取り組みを行っています。

    高度IT人材に求められる能力の「見える化」

    ITに関する知識や技術、サイバーセキュリティに関する知識などの資格試験を実施し、保有スキルの見える化を図ったり、iコンピテンシ・ディクショナリなど、IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標を公開しています。

    DXや業務のデジタル化を検討している企業が、従業員の現状のスキルを把握し、経営戦略などの目的に応じて、従業員が今後身につけるべきスキルが向上できるような人材育成計画に活用することができます。

    ハイレベル若手IT人材の発掘&育成

    若者向けの講習会やコンテストの開催、参加者同士でディスカッションしながらAIでの課題解決法を身につけるプログラムなどを運営することで、IT人材の裾野拡大を図るとともに、コミュニティでの学びの場を提供しています。また今までデジタルスキルを学ぶ機会がなかった人向けに、無料のオンライン講座も開催しています。

    国際面での取組

    IT人材の流動性を高め、海外のIT人材を確保することを目的として、アジア地域でIT技術者を対象とする試験制度を創設し、日本の試験制度との相互認証を行っています。またJETROやHIDAと連携しアジアにおけるIT人材育成支援なども行っています。

    参考:IT人材の育成|経済産業省

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    IT人材に必要なスキル

    DX・デジタル化を推進するためのIT人材において強化すべきスキルは、ITスキルだけではありません。以下の3つの側面から、アプローチしていく必要があります。

    ITスキル

    先端IT技術を活用して新規事業を立ち上げたいのか、基幹システムを改修し業務効率を図りたいのかなど、タスクによって必要なITスキルは異なります。まず経営戦略としてデジタル化をはかりたいタスクを打ち出し、そのタスクを遂行するために必要なITスキルを明確にする必要があります。

    こういう新規事業の立上げを検討しているので、それに必要なスキルを学んで欲しいというメッセージを出すことで、学んだことが活かせる業務があることを理解でき、従業員の学ぶ意欲を高めることができます。

    経済産業省が公開しているiコンピテンシ・ディクショナリなどを活用してみるのも良いかもしれません。

    また2020年度に独立行政法人情報処理推進機構がIT人材に対して行った「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」では、先端ITに従事している人材が、今後学びたいスキルの上位は、次になります。

    • AI(Pythonなどのプログラミング言語や、数学・ディープラーニングなどの知識)

    • IoT(インターネットとモノを接続するので、ハードウェア・ソフトウェアの知識や、セキュリティなどの幅広い知識)

    • データサイエンス(データの抽出・分析、データ連携、データベース構築ができる、SQL・R・Pythoなどの言語や統計学や機械学習理論などの知識)

    コミュニケーション能力

    IT技術を活かして業務改革を行うには、社内の関連する部門と連携し、協業していく必要があります。また新規事業を立ち上げであれば、外部から情報収集していき、市場ニーズをくみ取ることが重要になります。ステークホルダーとなるユーザーの意見を聞き、調整し、関連する人を巻き込んでタスクを動かすコミュニ―ション力も重要になります。

    思考力

    組織やビジネスの課題に着目し、その課題のボトルネックを洗い出し、解決策を導き出す論理的思考力が必要です。またIT技術は速いスピードで進化していきます。すでに蓄積されたノウハウだけでなく、先進技術を積極的に取り入れ、柔軟な思考力で新たな解決策や事業を創造する力も必要です。

    IT人材育成のポイント

    経営戦略と長期的な視野

    DX推進にはデジタル技術を活用して、ビジネスをどのように変革するかなどの経営戦略が重要になります。経営層がデジタルに関する知識を高め、その戦略に応じた体制を構築し、会社がデジタルを活用して、どうしていくのかということを従業員にコミットします。自社のビジョンが明確になれば、社内にロールモデルがいなくても、スキルアップの必要性を従業員は理解することができます。

    また先端IT技術は世の中に事例が少ないです。そのため新たな挑戦に積極的に取り組むことを推奨し、自社内で新たな事例を創出しやすい環境に社内を変化させることも重要です。

    経営戦略の浸透、環境の変化などは、長期的に取り組む必要があります。長期的にはなりますが、デジタルを活用した明確な経営戦略や新しい挑戦を行える環境の会社は、優秀な人材が、惹き付けられる企業でもあります。優秀な人材の確保や定着にも、よい効果になるでしょう。

    新しい技術を学べる環境の提供

    経営戦略が変われば、従業員に必要とされる能力も変わります。そのため非デジタル人材に育成投資を図り、リスキリングすることが重要です。リスキリングとは、IT技術で新しいビジネスを創造できるような能力やスキルを従業員に再開発することです。手作業の業務をデジタル化することで、手作業の業務はなくなりますが、デジタルを運用・管理する業務は発生します。手作業を担当していた従業員を教育し、デジタルの管理業務を担当する事ができれば、企業は人材を有効活用していることになります。

    会社の中でノウハウが蓄積されている業務であればOJTのような教育で、従業員の能力やスキルの向上は図れますが、DX人材・IT人材に必要なスキルは、今はない業務や職務のために必要なスキルを身につける必要があります。自社で今後必要となるスキルを明示し、そのスキルを習得するために気軽に受講できるセミナーやオンライン講座を準備する、もしくは先進的な取り組みや事業をおこなっている外部機関や企業と連携するなどをする必要があります。

    またスキルを取得した従業員には、そのスキルが活用できる業務の提供や、そのスキルを活かして会社に貢献した従業員には、適正な評価を行い、インセンティブなどを支払うことも、従業員の学びのモチベーションに繋がるので検討する必要があります。

    マンパワーグループでは、デジタル化と雇用の関係を調査した結果をベースに作成した労働白書「スキル革命」など、グローバルネットワークを活かした独自の労働白書を提供しています。

    育成ができるまでは、人材派遣の活用も視野に

    従業員をIT人材に育成したいと思っても、従業員が日常業務に追われて、学ぶ時間を取る事ができないというケースがあると思います。しかしながら、この状態を放置しておくと、社内のDXやデジタル化推進が遅れ、他社との競争力が弱まる、といった悪循環に陥ります。このような状況を避けるには、人材派遣などの一時的な外部人材の活用も視野に入れておく必要があります。

    教育のための工数確保を図るために、従業員が行っている業務を即戦力となる派遣スタッフに担当してもらうなど、業務負荷軽減に特に効果を発揮します。

    人材派遣の依頼の仕方や受け入れ方を知りたい方へ

    人材派遣には派遣法に定められたルールがあります。自社の社員ではなく派遣元に所属する人材を迎え入れることになるため、労務管理や契約など自社社員と異なる対応があります。下記資料では知っておきたいポイントやよくある質問などもご紹介しています。

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    成功事例

    事例①(従業員数100名以下の印刷会社)

    既存の広告印刷事業の業績が悪化していたので、既存事業を活かしたインターネット情報サイトを立上げることにした。Webデザイナーの新規採用も行ったが、経営者自ら事業化に向けた指揮を行うことで、インターネットの知識のない既存の従業員たちも、自発的に学び、既存の事業の知識を活かしながら、安心して新事業に取りくんだ。

    情報サイト立上げ後も、情報サイトのブラッシュアップのため、定期的に社内コンペなどを実施。コンペでの提案が成功し、会社に利益をもたらした場合、ボーナスを支給する、提案が実現しなくても社員の責を問わないなどをすることで、新しい事業を成功して行こうという風土が醸成された。現在では、情報サイトは既存事業と同等の売上規模になり、収益率では既存事業を大きく上回る事業となった。

    事例②(大手機械メーカー)

    新規事業の創出や業務改革のためにDXを推進できる人材確保をしたいが、社外から新たな人材を獲得するには競争が激しいということと、業務改革には社内の知識を有している必要もあるため、社内大学を開講した。社内大学では、数学などの基礎知識からプログラミング、機械学習やAI応用まで幅広いIT技術の教育を行うとともに、AIやIoTを活用したビジネス創出を担う人材の育成や、AIやIoTの知識を身につけた人材を活かせるマネジメントの教育にも取り組んでいる。

    現在ではベンチャー企業と協業し、業務効率化を図るAIシステムの導入や、自社製品から得られるデータを活用した新たなサービスの開発も手掛けている。

    まとめ

    新型コロナウィルス感染症の流行により、企業はDXやデジタル化への関心が一気に高まりました。DX時代に生き残るためには、企業が環境の変化に応じて変化し、既存の従業員も変化できるようにサポートすることが重要です。自社にない知識やスキルを従業員が身につけるためには、今後身につけて欲しい知識やスキルを明確にし、学ぶ環境を提供し、その知識やスキルを活かし成果を出した場合には、適正に評価することが必要です。IT技術は日々進化しており、教育には時間がかかりますが、リスキリングは会社も従業員も飛躍的に成長できるチャンスにも繋がります。

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    IT未経験者向け育成・就業支援プログラムSODATEC

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    エンジニア不足が招く課題を解決すべく、エンジニアを志望する若年層の発掘・育成し、派遣しています。

    著者プロフィール

    マンパワーグループ株式会社

    世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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