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企業がキャリアパス制度を導入する5つのメリット|事例あり

掲載日2021年4月13日

最終更新日2024年5月20日

企業がキャリアパス制度を導入する5つのメリット|事例あり

目次

社員はキャリアに不安を持っている

終身雇用制度の崩壊への流れやIT化への加速、社会変化の影響による迫られる業務の変更など社員は、少なからず自身のキャリアについて不安を抱いています。

自身のキャリアに対して能動的に動ける人材は、経験することやスキル・知識習得に意欲的であり、企業にとっても大きなベネフィットがあります。

社員のキャリアに対してどのようなアプローチがあるか、どうやったら社員自身がキャリアを自律的に形成していけるかについて解説した資料をご用意しております。

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現代は、社員が主体的・自律的にキャリアを形成することが求められています。

自身のキャリアは自分で決めるものだということは大前提ですが、目指すべきゴールが明確にあると、多くの人がモチベーションを維持しやすくなるものです。

一方で、社員の主体的・自律的なキャリア形成をアシストするために、企業が道筋を示すことも重要です。

本ページでは、その道筋=キャリアパスについてわかりやすく解説し、制度を導入するために必要な手順や効果的な制度とするためのポイント、企業事例を紹介します。

キャリアパス・キャリアパス制度とは?

キャリアパスとは

キャリアパスとは、職歴を意味する「キャリア」と道筋を意味する「パス」を組み合わせた言葉です。

一般的には、企業内で社員が目標とするポストや職務に就くために必要な業務経験やルートといった道筋が、キャリアパスで、わかりやすく言うと異動や昇進するためのルートです。

また、その道筋を社員に対して明確に示したものを、キャリアパス制度と言います。一例をあげると、社員が目指すキャリアについて必要な経験やスキルなどの道筋を具体的にします。

社員が望むポジションに至るまで、いつまでに、どのような業務・スキルを、どのぐらいのレベルで身につけるべきかを示すことで、目的意識を持たせ、モチベーションを高く保つ効果が期待できるため、導入する企業が増えています。

キャリアプラン・キャリアデザイン・キャリアアップとの違い

道筋を意味するパス、計画を意味するプラン、設計や創意工夫を意味するデザインと、どれも同じ意味合いのように感じますが、概念は次のように異なります。

キャリアプラン

キャリアプランとは個人が自身の職歴について、自発的に将来の目標や、その目標に向かうための計画を立てることを指します。キャリアパスのようにひとつの企業内での目標や道筋を示すものではなく、キャリア形成のための転職や独立も選択肢に入ってきます。

キャリアデザイン

キャリアデザインは、キャリアプランと同じく個人が自発的に将来の目標やそれへの計画を立てることです。ただし、キャリアプランは「職歴」の目標・計画を立てることですが、キャリアデザインは、キャリアだけでなくプライベートも含めた自己実現のための目標・計画を立てることを意味します。

キャリアアップ

キャリアアップは、よりより高い資格・能力を身につけ、役職や経歴を向上させることを指します。キャリアアップがキャリアの道筋であるのに対し、キャリアアップはその道筋の中で発生するイベントであり、キャリアプランと同様にキャリア形成のための転職や独立も選択肢に含まれます。

キャリアパス制度が導入される理由

終身雇用や年功序列制度が機能していた時代は、年を重ねるごとに給与が上がり、キャリアの道筋も比較的わかりやすく、社員も自身のキャリアについて深く設定する必要はありませんでした。 

しかし、終身雇用の崩壊や社会情勢による企業の経営状況の目まぐるしい変化、「一社で勤め上げる」という求職者の価値観の変化など、社員自身もキャリアのゴールを設定しにくくなっています。

キャリアパス制度は、キャリアについて考えるきっかけとなり、また明確になることから、社員の不安を軽減し、意欲を高めるものとして導入が進んでいます。

キャリアデザイン研修の重要性と進め方がわかる

  • キャリア不安の解消に有効なアプローチとは
  • キャリアデザイン研修の効果・メリット
  • キャリア意識を組織に根付かせる3つのポイント

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企業のキャリアパス制度導入による5つのメリット

社員のモチベーション向上

キャリアパスを明確に示すことで、会社における自分の将来像を描くことができ、モチベーションアップにつながります。

今の業務が将来のなりたい姿にどうつながるか、どんな目標を設定すべきか、身につけておくべきスキル・経験は何か、など能動的に業務に取り組む意欲を培います。

ミスマッチ防止

自社のキャリアパス制度を公開することで、求職者は入社後に成長して活躍する自分をイメージしやすくなります。自身の希望と合致していれば、入社意欲は高まります。

また、求職者が描くキャリアプランと企業で示されたキャリアパスを比較することで、入社可否の判断がしやすく、ミスマッチ防止にも役立ちます。ミスマッチは早期退職や生産性低下の原因になり得るため、採用の段階で食い止めておきたいところです。

業績向上への発展が期待できる

社員のモチベーションが向上し、採用のミスマッチを回避し意欲の高い人材の確保ができることで、組織が活性化し、結果的に業績アップにつながることが期待できます。

定着率の向上

会社がキャリアパスを提示することは、企業が社員の成長を望んでいるというメッセージになります。そのサポートする姿勢は、成長意欲の高い社員の定着に繋がります。

優秀な人材の獲得

キャリアパス制度を採用段階で公開することにより、社員のキャリア形成にたいして積極的にサポートする企業という印象を与えることができ、成長意欲の強い人材を獲得することができます。

キャリアパス制度導入の失敗例

自身の望むキャリアを築けないと感じてしまう

会社が提示したキャリアパスについて、自分が望むものとは違うと感じる社員もでてきます。その場合、転職を検討する社員も出てくることでしょう。

キャリアパス制度の組み立て方や面談などのアフターフォローで溝を埋めることも可能なので、誤解を生まないよう丁寧な説明が求められます。

部下にとって耳の痛いことをきちんと伝えるスキル

社員のパフォーマンスや勤務態度の改善を伝えたいが、モチベーションが低下してしまわないか、パワハラと言われないかと不安に思う管理職は少なくありません。

このようなネガティブなフィードバックを行うためには、「どう伝えるか」が重要です。部下へのフィードバックの方法に困っている方向けの解説資料をご用意しています。

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モチベーション低下につながることも

管理職や募集が少ない部門・ポジションなど、到達点がいわゆる狭き門の場合、キャリアパスがあったとしても全員がそこに進めるではありません。

選抜にあたっての条件があることはやむを得ませんが、能力以外での要素で実現の可能性が低い条件が設定されている場合には、特に注意が必要です。

「本社オフィス勤務であることが必須」という条件を見て、遠方で勤務する社員が「自分にはどうせ無理だ」と感じてしまうなど、十分な実力のある人材のモチベーションの低下を招いてしまう恐れがあります。

制度導入を失敗させないためには

制度導入の失敗を防ぐためには、社員から見たキャリアパスのメリット・注意点を理解しておくと、キャリアパス制度を効果的に活用でき、社内周知・定着に役立てることができます。

社員からみたキャリアパスのメリットと注意点

メリット1 客観的に自身を振り返ることができる
    • これまで経験した業務、身につけたスキルは何か
    • これからどのような業務・ポジションを経験したいのか
    • 社内にはどんなキャリアパスが用意されていて、現時点からどうすれば達成できるのか

キャリアパス制度をきっかけとして、社員はこのように自分自身について深く考えることになります。

キャリアパスと自分の現在地を照らし合わせることで、客観的にキャリアについて考えることができ、業務への取り組み姿勢にも変化が起きてきます。

メリット2 努力の方向性が定まり、スキルアップしやすい

キャリアパスを明確・具体的にすることで、社員は行動を起こしやすくなります。目指す方向性がはっきりし、望むキャリアを得るために必要な努力を選択することができ、スキルアップにつながります。

メリット3 業務に対して意欲的になる

会社の目標が自身の目標へと置き換わることで、モチベーションがアップし、業務に対して意欲的に取り組む効果があります。

注意点1 ひとつのキャリアパスに固執して可能性を狭めてしまう

社会はさまざまな要因から変化が早くなっており、企業もそれに合わせて商材やサービス、体制などを迅速に対応させています。

最初に作成したキャリアパスに固執してしまうと、企業の方針とのズレが生じてしまっていたり、違うチャンスが生まれていることもあります。そうなると社員自身の可能性を狭くしてしまうことになります。そのため、キャリアパスは一度提示してしまえば終わりではなく、適宜見直す必要があります。

注意点2 希望のポジションに必ず就けるとは限らない

キャリアパスを作成し、それに向けた努力をしたとしても、必ずしも望むポジション・業務に就けるわけではありません。努力しても望むキャリアパスを得られないと感じ、意欲を失ってしまったり、企業に対して不満を持つ可能性もあります。

能動的にキャリアを考えられる人材へ

社会の変化や自身の環境変化に応じてキャリアを能動的に考えることができ、方向修正を行える人材を育成するための制度構築の解説資料をご用意しています。

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キャリアパス制度の導入方法・手順

実際にキャリアパス制度を導入する際は、どのような手順で構築していけばよいでしょうか。一般的にキャリアパス制度を構築するには、人事評価制度の要素となる「等級制度」「評価制度」「給与制度」に加え、「研修制度」を作成する必要があります。

例えば次のような手順で構築していくことになります。企業の状況によって適した手順は異なりますので、あくまでも一例として参考にしてください。

業務ボリュームが一時的に高まる制度時こそ、一時的にプロの手を

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ステップ1 等級制度を作成する

各職種について、階層とその業務内容を明示し、各階層に求められる能力やスキル、資格などを明確にします。

階層は部長、課長、主任などの役職で設定するのが一般的ですが、役職名のない段階や同じ役職でも、経験年数や取得資格などによって細かく設定していくのがよいでしょう。社員が比較的近い未来の自分をイメージすることができ、次のステップへのモチベーションが保ちやすくなります。

ステップ2 研修制度を作成する

社員がキャリアパスに即して次の階層に上がるための知識やスキルを身に付けることができる研修制度を整えます。職種や階層に応じて適切なタイミング、内容の研修を企画することが大切です。

企業における研修には、実務を通して学ぶ「OJT」、一定期間、実務から離れてセミナーや勉強会などを開催する「Off-JT」、社員が自主的に学ぶために経済面での援助を行う「SDS」の主に3種類があります。それらを適宜組み合わせて、効果的な研修制度を作成します。

ステップ3 評価制度を作成する

キャリアパスの階層に応じて社員を評価するための、評価制度を整えます。

企業における評価は一般的に、社員の能力やスキルなどで判断する「能力評価」、社員が出した成果で判断する「業績評価」、社員のやる気や勤務態度などから判断する「情意評価」の3種類があります。

3種類の評価を元に具体的な評価項目を策定し、自社に合った評価基準を設定します。設定した基準により、社員が次の階層へ昇格できるかが決まることになりますので、すべての社員が納得できるような、公平で透明性のある評価基準が求められます。

また、評価する手法としては、あらかじめ設定した目標への達成度を評価する「目標管理制度(MBO)」、上司だけでなく同僚や部下などさまざまな視点から評価する「360度評価」などがあります。こちらも同様に公平さが保てる手法を採用することが大切です。

なお、仕事に必要な「知識」「技術・技能」「職務遂行能力」を、業種別、職種・職務別にまとめた「職業能力評価基準」を厚生労働省が提示しています。そちらも活用できますので、下記リンクよりご確認ください。

職業能力評価基準の策定業種一覧| 厚生労働省 

ステップ4 給与制度を作成する

設定された階層に応じて、それぞれ賃金を設定します。階層が上位になるほど、求められる能力は高くなり、責任も伴います。そのため、階層に応じた給与の差をつけることが重要です。

ただし、社員のモチベーションは、出世によって給与が上がってアップするというよりも、業務内容に見合わない給与への不満によってモチベーションが低下しやすい傾向にあるといわれます。「この給与ではやっていられない」といった不満がないような、給与制度の構築が求められます。

ステップ5 フォローアップ体制を構築する

キャリアパス制度は、制度をつくったことがゴールではありません。正しく社員に理解され、活用されていくべきものです。そのためには、定期的な面談の設定や異動した社員のサポートなどフォローアップ体制を構築しておきます。

面談を行うなかで、キャリア構築へのアドバイスや必要とする教育・研修等の把握、適切な異動などの実施が可能となります。

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キャリアパス制度の効果的な運用のポイント

キャリアパス制度を形骸化させることなく、有効に活用するためにはいくつかのポイントがあります。

社員の希望や適性を考慮する

キャリアパスを一方的に社員に押し付けてしまうと、本人の希望と乖離が起きてしまい、モチベーション低下や離職などを引き起こす原因となります。

管理職を目指す社員もいれば、リーダーの適性があってもプレイヤーでいたい社員もいます。また、現在の業務に本人が適性を感じていないことや、ステップアップのために別の業務にチャレンジしたいと考えるケースもあるでしょう。

本人の希望と乖離が起きないように、事前にヒアリングを行い、社員自身が納得する最適なキャリアパスを提示することが大切です。

柔軟性をもった複数の選択肢を

キャリアパスをひとつしか用意していない場合、さまざまな外的要因などの変化に対応できません。そうした場合、当初のキャリアパスが実情とかけ離れたものになることがあります。

例えば、「業績悪化や経営方針の転換など企業側の事情で、目標に設定していたポストが空いていない、あるいはなくなった」「社員自身の気持ちに変化が生じ、当初目標としていた職務への興味がなくなった」などのケースが考えられます。また、出産や育児、介護といったライフイベントの影響を受けることもあります。

このような変化は、どの企業でも誰でも起こる可能性があるため、キャリアパスは複数用意することが理想的です。キャリアパスの柔軟な変更は、社員のモチベーション維持につながります。

ロールモデルを示す

キャリアパスを提示してみても、実感が湧かないなどが起こりえます。社内でロールモデルを設定し、そのキャリアパスを見せることで説得力が生まれます。

キャリアパス制度を定期的に見直す

定期的な見直しは重要です。キャリアパスどおりに進んでいる人と、実現しない人で何か共通点がないか、制度に盲点がないかなどをチェックします。

例えば、出産や育児休暇のためにキャリアが一時中断した社員が不利になっていないか、管理職になる人材に偏りはないか、などを見ていきます。

また、社会の変化もキャリアに関わることが多くあります。コロナ禍は、社員のキャリア形成にも影響がありました。働き方の見直しや所属する業界について、改めて考えなおすきっかけとなりました。このような社会的変化による従業員の意識変化についても、情報収集を行い、適切な制度変更を行うことが大切です。

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キャリアパス制度導入企業の事例

キャリアパス制度を導入し、活用している企業の一例をご紹介します。

女性管理職の割合が上昇/金融系企業

大手金融系企業では、産休・育休を取得した上で活躍している女性社員をロールモデルに据えました。社員コミュニティなどを通じてロールモデルのキャリアパスに触れる機会を増やし、研修体制や環境整備を充実させたことで女性管理職の比率が上昇しました。

また、様々な属性を持つ社員のキャリアパスを新卒採用サイトに多数掲載することで、社会人経験のない学生がより具体的にキャリア形成を想像できるようにしています。

社員の意識改革に成功/メーカー

情報通信機器やヘルスケア製品などを手掛ける精密機器メーカーでは、社員が自律的に自身のキャリアを考える取り組みが行われています。

全従業員に対して3年後のありたい姿を考える機会を毎年提供。現状把握と、この1年で身につけたいスキルや経験を目標・計画に落とし込みます。半年に一度、上司との面談を行い、進捗や振り返りを確認しています。

キャリアをサポートする体制として、定期的な社員研修や能力開発のための施策を展開。公募制度や(フリーエージェント)制度を導入するなど、自己のキャリア開発に積極的にチャレンジできる土壌づくりを推進することで、自発的にキャリアサポートを求める社員やスキル・能力研修に参加する社員が増え、キャリアに対する意識が変わった手ごたえを得ています。

厚生労働省からも表彰/社会福祉法人

障がい者や高齢者の総合福祉サービスを提供している社会福祉法人で実施されているのは、年4回の面談と資格取得者に対する手厚いサポート体制です。資格取得者に対する報奨金支給や有給取得しやすい環境の提供をしています。

人材獲得が厳しい業界であるため、評価制度を整え契約社員・正社員への登用も積極的に実施。新たに短時間正社員制度を導入するなど、フルタイムでの勤務が困難な職員に対しても柔軟に対応できる体制を敷いており、明確なキャリアパスと体制は、厚生労働省からも表彰されています。

厚生労働省では、従業員のキャリア支援に積極的に取り組む企業の好事例を表彰しています。各企業の細かい取り組み内容を知ることができる資料が用意されていますので、ご興味のある方は厚生労働省の「キャリア支援企業表彰 好事例集外部リンク」をご覧ください。

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多様なニーズに対応でき、公平性の高いキャリアパス制度の導入を

キャリアパス制度の構築において重要なのは、いかに社員のモチベーションを維持し、自社の業績向上へつなげられるかということです。そのためには、社員の多様なニーズに配慮した、公平感のある制度にすることが大切です。ご紹介した内容を参考に、質の高いキャリアパス制度を構築してください。

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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