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【2021年】派遣法改正のポイント‐2020年改正も含めて紹介

掲載日2021年4月 8日

最終更新日2021年9月27日

目次

    1985年に制定され、労働市場の適正化や派遣社員の雇用の安定などを目的に改正が繰り返されてきた労働者派遣法。本項では2020年、2021年派遣法改正の内容を中心に紹介します。2021年の改正では派遣元の義務だけでなく、派遣社員を受け入れる派遣先企業の義務にも触れています。義務違反を避けるためにも、それらについて理解しておく必要があります。

    2021年派遣法改正のポイント

    派遣法は、主に「労働市場のマッチングを適正に行うこと」「派遣社員の保護と雇用の安定を図ること」を目的に誕生しました。

    制定当初は扱える業種は13業種のみでしたが、1996年に26業務へ拡大され、1999年には港湾運送、建設、警備、医療、製造などの禁止業務以外は原則自由化されました。その後2004年には製造業務への派遣が解禁、2006年には医療業務の一部が解禁されるなど、世の中のニーズに合わせ、改正が続きます。

    その後2012年に、日雇派遣の原則禁止や離職後1年以内の派遣受け入れ禁止などを盛り込んだ法改正が行われてからは、主に派遣社員の権利保護を目的とした方向の改正が続いています。

    その流れのなかで2020年および2021年の改正も、派遣社員と派遣先正社員の待遇格差是正、雇用維持やキャリア支援など、派遣社員の労働環境を改善していくための内容がメインとなっています。

    これら改正の大きなポイントは、派遣会社だけではなく派遣社員を受け入れる派遣先企業の義務にも触れている点です。派遣社員を受け入れている会社や受け入れる予定の会社も、改正の内容について十分に理解しておく必要があります。

    ここでは、2021年1月1日施行の4つの改正内容と、2021年4月1日施行の2つの改正内容、合わせて6つの改正内容について紹介します。

    <2021年1月1日施行>派遣法4つの改正内容

    2021年1月1日施行の法改正は4つです。派遣先企業が直接義務を負うのは1つだけですが、全体像を理解するため4つすべてを確認しておきましょう。

    1. 派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け(派遣会社の義務)

    派遣社員と雇用契約を結ぶ際、派遣会社が実施する「教育訓練」や「希望者を対象に実施するキャリアコンサルティング」の内容について説明することが義務付けられました。

    改正前から派遣会社には、派遣社員のキャリア形成支援制度を提供することが義務付けられていましたが、それを実際に利用してもらうために、一歩押し進めた形と言えます。

    2. 派遣契約書の電磁的記録を認める(派遣会社と派遣先企業への規制緩和)

    派遣会社と派遣先企業との間で締結される労働者派遣契約は、書面による作成が必須でしたが、電磁記録での作成も認められるようになりました。これによって派遣会社、派遣先企業双方の利便性が高まります。

    3. 派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について(派遣先企業の義務)

    今までは、派遣先企業における派遣社員の苦情については、雇用主である派遣会社が窓口となって対応していました。しかし改正により、労働関係法に関する苦情については、派遣先企業で誠実かつ主体的に対応することが義務付けられました。

    なお、今回の改正内容ではありませんが、苦情を受け付けた場合は、派遣先管理台帳にその内容や苦情を受け付けた日時、処理状況などを記載して派遣会社に通知しなければなりません。

    4. 日雇派遣について(派遣会社の義務)

    日雇派遣社員の過失による理由以外で労働者派遣契約を途中解除した場合、日雇派遣社員に対しても新たな就業機会を確保する、もしくは休業手当を支払うことが義務付けられました。

    <2021年4月1日施行>派遣法2つの改正内容

    ここで紹介する2つの改正は、どちらも派遣会社が負うべき義務ですが、派遣先企業と関係する事項もありますので、こちらもチェックしておきましょう。

    5. 雇用安定措置に係る派遣労働者の希望の聴取等(派遣会社の義務)

    派遣会社は、継続就業を希望する有期雇用派遣社員に以下の希望を聴取し、聴取の結果を派遣元管理台帳に記載することが義務付けられました。

    • 派遣先企業への直接雇用の依頼
    • 新しい派遣先企業の用意
    • 無期雇用派遣への転換
    • その他安定した雇用の継続を図るための措置

    6. マージン率等のインターネットによる開示の原則化(派遣会社の義務)

    従来より開示が義務化されていたすべての情報(※)において、インターネットで常時開示することが義務化されました。

    ※「派遣労働者の数」「労働者派遣の役務の提供を受けた者の数(派遣先数)」「労働者派遣に関する料金の額の平均額」「派遣労働者の賃金の額の平均額」「マージン率(派遣料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を、派遣料金の額の平均額で除して得た割合)」「教育訓練に関する事項」「その他当該労働者派遣事業の業務に関し、あらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項」(労働者派遣法第23条第5項)

    2020年の派遣法改正
    -いわゆる同一労働同一賃金の実現に向けて

    2020年4月1日にも重要な改正がありました。いわゆる「同一労働同一賃金」の実現に向けた改正です。ここでいう同一労働同一賃金とは、派遣社員と派遣先の正社員との不合理な待遇格差の解消を指します。

    この改正で派遣会社には、「労使協定方式」か「派遣先均等・均衡方式」のいずれかの方式で派遣社員の「同一労働同一賃金」の実現を図ること、待遇の内容や決定についての派遣社員への説明などが義務付けられました。

    一方、派遣先企業には

    • 派遣会社が「派遣先均等・均衡方式」を選んだ場合、派遣社員の比較対象となる自社の社員を選定し、待遇に関する情報を派遣会社に提供
    • 派遣料金の交渉における配慮
    • 業務遂行に必要な能力を派遣社員が得るための教育訓練の提供
    • 給食施設・休憩室・更衣室を利用する機会の提供
    • (派遣会社から情報提供の求めがあった場合)派遣社員の業務遂行状況やその他必要な情報の提供

    などが義務付けられています。

    「同一労働同一賃金」については、「労使協定方式とは?概要や派遣先がすべきことを解説」で詳しく解説しています。

    派遣先が講ずべき措置とは?

    労働者派遣法では、派遣社員が安心して就業できるように派遣先企業に も「派遣先の講ずべき措置」を定め、派遣先企業が遵守できるよういくつかの指針を公示しています。法律用語で記載されているため、理解が難しいこの「派遣先の講ずべき措置に関する指針」について下記の資料ではわかりやすく解説します。

    cover_tempguide-intermediate03.png  

    改正を繰り返す派遣法-改正内容をしっかり把握し適切な対応を

    2021年の法改正では、運用の改善や曖昧な規定が明確化されました。そのため従来から法令順守していた派遣先企業には、あまり影響はありません。しかしながら定期的に改正が繰り返される派遣法では、年々、派遣先企業に求められることが増えてきています。法律を理解し、正しく運用することで、派遣社員が安心して、長期的に就業する効果が期待できます。

    参考:

    厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和3年1月版・4月版)」を掲載しました|一般社団法人 日本人材派遣協会
    法律|一般社団法人 日本人材派遣協会
    労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等について(PDF)|厚生労働省
    平成30年 労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>(PDF)|厚生労働省
    派遣労働者の同一労働同一賃金について|厚生労働省

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