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労使協定方式とは?派遣先のメリットと派遣先均等均衡方式との違いを解説

掲載日2021年5月 6日

最終更新日2023年3月29日

労使協定方式とは?派遣先のメリットと派遣先均等均衡方式との違いを解説

目次

知っておきたい派遣の基礎知識

派遣サービスを利用する場合、派遣法や同一労働同一賃金などで定められた企業側が対応すべきことを知っておく必要があります。

抑えておきたいポイントをひとつの資料に纏めました。ぜひご覧ください。

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派遣社員の同一労働同一賃金実現に向けて、2020年4月に「改正労働者派遣法」が施行されました。派遣会社も派遣先企業も、派遣社員の公正な待遇確保のため、さまざまな対応が求められています。

その大きなポイントのひとつが、 派遣社員の賃金決定について「労使協定方式」「派遣先均等・均衡方式」のいずれかを選択する義務です。派遣会社に課せられた義務ですが、派遣会社がいずれの方式を選んだ場合でも派遣先企業が講ずべき措置があります。

今回は労使協定方式とは何なのか、派遣先均等・均衡方式との違いは何なのか、派遣先企業がすべきことを解説します。

「同一労働同一賃金」とは?

2018年6月29日に「働き方改革関連法案」が成立しました。その重要項目のひとつに、いわゆる「同一労働同一賃金」があります。同一労働同一賃金とは「同一の労働に対しては同一の賃金を支払うべき」という考えのもと、正規社員と非正規労働者の待遇格差を禁止することを指します。非正規労働者のなかでも派遣社員の同一労働同一賃金については、2020年4月に施行された「改正労働者派遣法」で規定されています。

ここでの同一労働同一賃金とは、派遣先企業の正社員と派遣社員との間の不合理な待遇格差の解消を目的としています。この改正における注目点のひとつが、派遣社員の賃金の決定方法についての規定です。派遣会社は「労使協定方式」「派遣先均等・均衡方式」のいずれかを選択して、派遣社員の待遇を確保することが義務付けられました。

「労使協定方式」と「派遣先均等・均衡方式」の違いは?

労使協定方式と派遣先均等・均衡方式のいずれかを選択する義務は派遣会社に課せられているものですが、その遂行のため、派遣先企業が協力しなくてはならないことがあります。派遣社員を受け入れている、あるいは受け入れる予定がある場合、その違いについて理解しておかなければなりません。

労使協定方式とは?

「労使協定(※1)」を締結することにより、同一労働同一賃金に対応する方式です。

「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(※2)」以上の賃金にすることを定める労使協定を派遣会社と労働者の代表が結んだうえで、賃金を決めます。

この方式では、派遣先企業の正社員の賃金水準に必ずしも合わせていく必要はありません。そのため、派遣社員にとっては派遣先企業が変わっても賃金が下がる心配はないといったメリットがあります。

(※1)労働者(社員:この場合は派遣社員を含む)の過半数で組織する労働組合(労働組合がないときは社員の過半数を代表する人)と使用者(企業)との間で締結される書面による協定のこと。
(※2)厚生労働省が毎年6~7月ごろ職種ごとに定める、派遣社員が従事する業務と同種の業務に従事する正社員の平均的な賃金水準のこと。最新の適用分については、以下で公表されています。
厚生労働省:派遣労働者の同一労働同一賃金について

派遣先企業がすべきこと

労使協定方式では、仕事に必要な教育訓練を受ける権利や福利厚生施設を利用する権利などは、正社員と同じでなくてはいけません。

そのため、派遣先企業は、派遣会社に自社の教育訓練や福利厚生施設についての情報を提供しなければならず、提供がない場合は、派遣会社との間で労働者派遣契約の締結ができません。また、情報提供は口頭ではなく、書面の交付やFAX、メールなどによって行い、その写しを派遣終了日から3年間保存しておく必要があります。

比較対象労働者とは

比較対象労働者は、派遣社員と同じ業務に従事し、責任範囲も同等とされる派遣先の社員から選出します。比較対象労働者の詳しい選定方法は、大分労働局の「比較対象労働者の待遇に関する情報の提供 」をご覧ください。

派遣先均等・均衡方式とは?

派遣先企業の正社員の待遇と均等・均衡を図ることで、同一労働同一賃金に対応する方式です。派遣先企業の正社員との間に不合理な格差が生じないよう賃金を決めます。

「正規社員と非正規労働者の待遇格差を禁止する」という同一労働同一賃金の本来の意味を考えると、この方式が妥当と思われますが、派遣社員にとっては、場合によっては同じ仕事内容でも賃金が下がるリスクが生じます。また、後述のように比較対象労働者の選定や待遇に関する情報提供など派遣先企業の負担が多岐に渡ってしまいます。

そのため、多くの派遣会社が「労使協定方式」を選択しています。

派遣先企業がすべきこと

この方式では、派遣先企業は、自社の教育訓練や福利厚生施設についての情報に加えて、比較対象労働者(※)を選定し、その労働者の選定理由や待遇などに関する情報を派遣会社に提供する義務があります。提供がない場合は、派遣会社との間で労働者派遣契約の締結ができません。情報提供は口頭ではなく、書面の交付やFAX、メールなどによって行い、その写しを派遣終了日から3年間保存しておく必要があります。

(※)比較対象労働者の選定方法は以下厚生労働省の資料にてご確認ください。
厚生労働省:派遣先のみなさまへ(PDF)

派遣法で定められた派遣先が講ずべき10の指針とは?

  1. 労働者派遣契約に関する措置
  2. 適正な派遣就業の確保等のための措置
  3. 派遣先による均衡待遇の確保
  4. 派遣先の事業所単位の派遣期間の制限の適切な運用
  5. 派遣労働者個人単位の期間制限の適切な運用
  6. 派遣労働者の雇用の努力義務
  7. 派遣先での常用労働者(いわゆる「正社員」)化の推進
  8. 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止
  9. 派遣先責任者の選任
  10. 派遣先管理台帳の作成、記載、保存及び記載事項の通知

⇒解説資料をダウンロードする

同一労働同一賃金実現のために派遣先企業が他に対応すべきことは?

前述の賃金、教育訓練、福利厚生に関する派遣会社への情報提供の義務以外にも、派遣先企業がすべき対応がいくつかあります。派遣社員を正しく受け入れるためには、理解しておく必要があります。待遇、各種書類への記載事項、情報提供の3つに分けて紹介します。

待遇

派遣料金の交渉における配慮

派遣社員の待遇改善が行われやすいよう、派遣料金についての配慮が求められます。

例えば労働派遣契約締結時の派遣料金交渉時に、派遣社員の待遇確保のために派遣会社が妥当な金額を示したにもかかわらず、それ以下の金額にするといったことは避けなければいけません。また、労使協定方式において一般賃金が改定された場合、派遣先均等・均衡方式において比較対象労働者に昇給があった場合など、契約時・更新時以外のタイミングでも、派遣料金の改定に応じるといった配慮が求められます。

派遣料金については、「人材派遣の料金・費用|相場のつくられ方と仕組みを解説」で詳しく解説しています。

教育訓練

派遣会社の求めがあれば、自社の正社員と同様に、業務遂行に必要な教育訓練を受けさせなければいけません。

福利厚生

自社の食堂・休憩室・更衣室については、自社の正社員と同じように利用できるようにしなければいけません。

また、正社員が利用する自社にある売店や病院、保育所、図書館や保養施設など「食堂」「休憩室「更衣室」以外の施設についても、できる限り正社員と同様に利用できるよう配慮しなければいけません。

各種書類への記載事項

労働者派遣契約の記載事項

2020年4月より記載事項に次の2点が追加されますので、対応する必要があります。

✓ 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
派遣社員に任せる業務に伴う責任の程度を記載します。この内容は、派遣会社が派遣社員の賃金を決定する際の指標になります。

✓ 労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か
労使協定方式を採用した派遣社員の場合に限って受け入れるかどうかを記載します。限定しない場合は、派遣先均等・均衡方式で賃金を決定する派遣社員が派遣されてくることもあります。

派遣先管理台帳の記載事項

記載事項に次の2点が追加されますので、対応する必要があります。

✓ 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

✓ 協定対象派遣労働者であるか否かの別

協定対象派遣労働者とは、派遣元企業(派遣会社)と労使協定を締結した派遣社員のことを指します。賃金や待遇が労使協定により決定されます。

派遣会社と連携し情報を確認していきましょう。

情報提供

派遣会社の求めに応じて、自社正社員に関する情報や派遣社員の業務遂行状況など、派遣社員の待遇を適正に保つために必要な情報を提供するといった配慮をしなければいけません。

派遣先企業が知っておきたい基本的な労働法知識

こちらの資料では、同一労働同一賃金対応を含めた、派遣先に求められる基本的な労働法知識をわかりやすく解説しています。

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まとめ:派遣先企業がするべき対応をしっかり理解しよう

改正労働者派遣法の施行により、派遣社員の「同一労働同一賃金」の実現のため、派遣会社のみならず派遣先企業もさまざまな対応が必要です。
派遣社員を受け入れている、あるいはこれから受け入れる可能性があるのなら、不合理な待遇差を解消するための配慮・取り組みに必要とされる内容を十分理解し、派遣会社と互いに必要な情報提供を滞りなく実施することが求められます。

参考:派遣労働者の同一労働同一賃金について|厚生労働省

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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