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二重派遣に該当する行為とは?基本的知識と違法となるケースを解説

掲載日2021年4月22日

最終更新日2022年5月12日

目次

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    業務形態の複雑さが進む中、気づかずに二重派遣を行ってしまったというケースがあります。二重派遣には厳しい罰則規定があり、場合によっては関わりのある企業すべてが罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。派遣先企業として、「知らなかった」「気づかなかった」では済まされません。

    ここでは二重派遣を回避するための基本的な知識、罰則対象となるケース、ならないケース、具体的な罰則などを解説していきます。

    二重派遣とは

    二重派遣の定義

    二重派遣とは、派遣会社から派遣された派遣社員を、派遣先企業が別の企業へ労働力として提供することを指します。

    正常な派遣の在り方と二重派遣を図解で説明します。

    下記は人材派遣の関係図です。労働者派遣では、派遣会社と派遣社員の間で「雇用契約」が結ばれています。派遣先は、派遣会社と「派遣契約」を結ぶことにより、雇用関係はない派遣社員を派遣してもらい、労務の提供を受けることができます。

    派遣社員は、派遣先企業の指示のもと業務を行いますが、雇用主はあくまでも派遣会社です。

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    一方、派遣先が雇用関係のない派遣社員に命じて、取引先の業務に就かせた場合、二重派遣となります。この場合、雇用関係も派遣契約もない企業が業務を指示することになってしまいます。

    例えば、派遣先企業が取引先の業務を受託している場合、仮に取引先の建物内で業務を行っていても、指揮命令者が派遣先企業の社員であれば問題ありません。しかし、取引先の社員が派遣社員に業務指示を出している場合、二重派遣の状態となります。

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    二重派遣禁止の理由

    二重派遣は、法律により禁止されています。禁止されている主な理由として、次の3つが挙げられます。

    業務内容・労働条件が守られにくくなる

    通常の人材派遣では、派遣元と派遣社員の間、派遣元と派遣先企業の間で契約が交わされ、労働条件や業務内容が定められます。

    しかし二重派遣が行われると、それらの契約が守られなくなる可能性が出てきます。契約外の業務を押し付けられる、休憩時間が取得できない、残業が労働条件より大幅に増えるなど、派遣社員にとって不安要素が増える状況に陥りやすくなると考えられます。

    雇用に関する責任の所在が曖昧となる

    業務中に派遣社員がケガを負ったような際には、派遣元が労災の申請を行って対応します。しかし、二重派遣の場合には派遣元、派遣先、再派遣先のどこが責任を負うのかということで混乱が生じます。

    状況確認に手間取りやすく、また責任のなすりつけ合いを防ぐためにも二重派遣は禁止されています。

    派遣社員が不利益を被る可能性がある

    仲介が入ることにより手数料が差し引かれ、派遣社員の賃金が安くなる恐れがあります。実際に過去に摘発された例では、派遣社員に手渡される賃金から相当額が中間搾取されていました。

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    二重派遣の罰則

    二重派遣は決してあってはならない行為として、厳しい罰則が定められています。罰則の具体的な内容と、罰則を受ける企業について解説します。

    二重派遣と認められた場合の罰則規定

    職業安定法

    二重派遣は、職業安定法の第44条に抵触する行為です。

    【第44条】
    何人も、次条(第45条)に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない


    二重派遣はこの労働者供給事業行為に該当します。なぜなら、派遣先企業と派遣社員には、雇用関係がありません。この場合、支配関係のみが成立しているとされ、労働者供給行為に該当します。

    厚生労働大臣の許認可なく労働者供給行為を行った場合、職業安定法違反となり、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(職業安定法第64条第9号)が科せられます。

    労働基準法

    二重派遣は、労働基準法第6条「中間搾取の排除」にも抵触します。

    第六条
    何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。 第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。


    これは、企業と労働者の間を取り持つことでマージンを搾取することを禁じたものです。こちらも、派遣先企業と派遣社員には雇用関係がないため該当します。派遣会社と派遣社員には、雇用関係があるため、この「中間搾取の排除」には該当しません。

    派遣先が他の企業に派遣社員を派遣し、手数料を得た場合には、「1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」(労働基準法118条)が科せられます。

    罰則を受けるのは誰か

    職業安定法第44条の違反に当たる場合は、派遣先企業及び再派遣を受け入れた企業が罰則の対象となります。ただし、再派遣先の企業が二重派遣となることを知らずに受け入れていた場合には罰則の対象となりません。二重派遣であることに気づいたにも関わらず、継続して派遣社員を就業させていた場合には罰則の対象とされます。

    労働基準法第6条の違反に当たる場合は、派遣社員の再派遣を行った派遣先企業のみが罰則の対象となります。

    いずれの場合でも、派遣された労働者に対しての罰則規定はありません。

    派遣法に違反しないために

    派遣サービスを活用する際に覚えておきたいのは、派遣法というのが存在し、さまざまなルールがあるということです。 この法律は派遣元だけに適用されるものではなく、サービスを利用する派遣先にもルールが存在します。 自社社員と管理が異なる場合もあれば、同様のところもあります。概要について知りたい方は下記の資料をダウンロードください。

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    業務委託・出向・準委任 二重派遣との違いは?

    契約にはさまざまな形態がありますが、二重派遣に当たるのかどうかわかりにくいものもあります。各契約の概要と、二重派遣の関係について解説します。

    業務委託

    業務委託とは、定められた一定の業務を他企業や個人に委託する契約です。業務委託には「請負契約」「準委任契約」と呼ばれるものも含まれます。

    「請負契約」は請負人が業務を完遂することを約束し、その成果に対して依頼した企業が報酬を支払うという形の契約です。一方「準委任契約」では、一定のスキルや知識・経験のある人に対して業務を依頼しますが、成果物を納めるという契約ではありません。定められた時間で依頼者の業務を手伝う、代行するという形です。依頼する内容は、契約や遺言といった法律行為以外の業務であることが定められています。

    基本的に、業務委託では依頼者に直接的な指揮命令権はありません。

    出向

    出向は、企業が該当する社員との雇用契約を維持したまま、関連する企業や事業所で業務に従事させる方法です。社員の籍は元の企業にあり、給与の支払いについても責任を負います。業務の指揮命令権は、業務を行う出向先の企業が持ちます。

    自社が受託している委託業務への従事

    派遣先企業が派遣社員を、業務委託契約している企業で働かせること自体は違法ではありません。ただし、あくまで指揮命令を派遣先企業が行っている場合に限られます。派遣社員が現場で業務委託契約の発注企業から指示を受けている場合には偽装請負となり、二重派遣に該当します。このような実態は労働者派遣にもかかわらず、形式的に業務請負としている偽装請負で摘発されたケースは多数あります。

    同様に、派遣社員を別会社に出向させることも違法です。指揮命令を出すのが出向先の企業であれば、雇用関係のない派遣社員を労働力として供給することになり、職業安定法第44条で禁止する「労働者供給事業」に該当します。

    派遣先企業以外の人間が派遣社員に業務指示を出す状況は、すべて「二重派遣」となることを理解しておきましょう。

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    派遣先企業の二重派遣回避策

    認知度の高い大企業であってもたびたび二重派遣が発生し、問題視されています。派遣先企業として、二重派遣を回避するために留意すべき点について解説します。

    指揮命令系統の確認

    指揮命令を誰が行うかによって、二重派遣かどうかが判断されます。派遣社員の行う各業務について、直接的な指示が誰からなされるのかを明確にしておきます。指揮命令者は、個別契約書(労働者派遣契約書)に記載されていますが、実際に指揮命令を行っているかどうかが重要です。


    また、二重派遣に関する知識を社内に浸透させ、外注時に指揮命令系統の確認を怠らないよう周知することが重要です。
    協力会社を利用する立場には必須として、社員に対してコンプライアンス教育など知識習得の機会を設けるのもよいでしょう。

    参照:厚生労働省 記入例 労働者派遣(個別)契約書

    契約内容・勤務実態の確認

    派遣社員がどの企業と労働契約を結んでいるのか、それが自社の派遣契約している企業と同一かを確認します。

    自社が再派遣先となっていないか、実際は派遣社員ではなく委託契約を結んでいる人材であるにも関わらず、派遣社員と同じように指揮命令が発生していないかなどをチェックしましょう。

    派遣社員の雇用主が自社の派遣契約の相手と異なる場合には、二重派遣の可能性があり、委託契約であれば偽装請負の疑いがあります。

    また、指揮命令体制がルーズになっていないか、契約内容以外の仕事をさせていないかなども定期的にチェックし、二重派遣防止に努めましょう。

    派遣社員からの聞き取り

    実態の確認には、派遣社員本人への聞き取りをすることも必要です。実際に誰から業務指示を受けているのか、ほかの場所で働くように言われたことはないか、契約前に聞いていた以外の仕事をしたことがないかを確認します。

    聞き取りの際には個人情報に配慮し、回答したことによって派遣社員に不利益が発生しないよう、十分に注意を払いましょう。

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    まとめ:二重派遣は社会から信頼を損ねる行為

    二重派遣の禁止は派遣社員を不利益から守り、派遣事業の適正化を図るためのものです。そのため、二重派遣をしていると認められた場合には、職業安定法や労働基準法に基づき、厳正に対処されます。

    実社会では二重派遣の抜け道として、さまざまな契約形態を駆使する悪意ある事業者も存在します。気づかずに二重派遣になってしまったとしても、社会的信用の低下は免れません。二重派遣を断固として防止するため、派遣社員が常に契約内容に沿った業務を遂行しているかをチェックし、指揮命令系統を随時確認するよう努めることが大切です。

    参照:厚生労働省 二重派遣は派遣法違反ですか

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    著者プロフィール

    マンパワーグループ株式会社

    世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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