
目次
派遣社員を受け入れる際は、禁止業務と契約範囲を確認することが重要です。契約外の業務や勤務条件を、派遣先が一方的に指示することはできません。
契約内容と異なる指示は、派遣契約違反やトラブルにつながる可能性があります。迷う場合は、現場だけで判断せず、派遣会社へ確認してください。
派遣社員に言ってはいけないこと・させてはいけないこと
社員と同じ感覚での指示や何気ない雑談が、派遣法違反や思わぬトラブルにつながることがあります。
本資料では、派遣先の担当者が知っておきたい「派遣社員に言ってはいけないこと」「させてはいけないこと」について、ポイントをわかりやすく整理しました。
現場担当者の方へも配布しやすいリーフレット版もご用意しています。ぜひご活用ください。
この記事をざっとまとめると
人材派遣には、派遣先企業にも守るべきルールがあります。派遣社員は即戦力として活躍できますが、正社員と同じようにすべての業務を任せられるわけではありません。
派遣先担当者がまず確認すべき点は、次の2つです。
業務内容や勤務条件を変更する必要がある場合は、派遣会社を通じて契約内容を確認します。口頭の指示だけで業務を広げないことが重要です。
派遣社員の就業に関する基本的なルールは、労働者派遣法で定められています。労働者派遣法は、派遣事業を適正に運営し、派遣社員の就業を保護するための法律です。
制度の変遷により、派遣が認められる業務範囲は広がってきました。一方で、現在も派遣が禁止されている業務があります。派遣先担当者は、制度の経緯よりも「禁止業務があること」と「契約外業務を指示できないこと」を押さえておくことが実務上重要です。

派遣社員には、法律上従事できない業務があります。代表的なものは、警備業務、建設業務、港湾運送業務、医療関連業務、士業、団体交渉などに関連する業務です。
判断するときは、部署名や職場の場所だけでなく、実際に担当する業務内容を確認します。業務の一部に禁止業務の要素が含まれる場合は、派遣会社へ確認してください。
警備業務は、派遣社員にさせてはいけない業務の1つです。施設や駐車場での巡回、来訪者の監視、事故や犯罪の防止を目的とする業務などが該当する可能性があります。
判断に迷いやすい例として、駐車場での車両誘導、不審者への声掛け、施設内の巡回があります。受付や案内に見える業務でも、実態として警備性がある場合は注意が必要です。
建設業務は、原則として派遣社員にさせてはいけない業務です。資材の運搬、組み立て、解体、修理など、建設工事そのものに関わる作業は注意が必要です。
ただし、建設現場にいることだけで判断するのではありません。たとえば、現場事務所での事務作業、工事写真の整理、安全書類の作成などは、実際の業務内容を確認したうえで判断します。
港湾運送業務も、派遣社員にさせてはいけない業務です。港湾での貨物の積み込み、荷役、検量などが該当する可能性があります。
一般的な物流業務と混同しないよう注意が必要です。倉庫内の事務、配送データの入力、入出荷管理などは、業務の実態によって判断が分かれる場合があります。
病院や診療所などにおける医療関連業務は、原則として派遣が禁止されています。医師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師など、医療専門職が行う業務が対象となる場合があります。
一方で、一定の条件では例外的に派遣が認められる場合があります。たとえば、産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した人の代替などです。
税理士や弁護士、社会保険労務士、司法書士などの士業の場合、それぞれの専門資格を保有した者が、それぞれ委託を受けて業務を行います。業務において指揮命令を他社から受けないことから、労働者派遣の仕組みにそぐわないため、対象から除外されています。
また、建築士事務所の管理建築士の業務は、専任であることが建築士法で定められていることから、派遣社員として派遣できません。
派遣先で、団体交渉や労働基準法に規定する協定締結を行う場合に、使用者側の直接当事者として派遣社員に人事労務管理関係の業務を行わせることは禁止されています。

法律上の禁止業務に該当しない場合でも、派遣社員に何でも指示できるわけではありません。派遣社員に依頼できる業務は、派遣契約で定めた範囲に限られます。
特に現場で起こりやすいのは、契約外業務の依頼、別部署への応援、契約にない出張や残業、二重派遣や偽装請負に関わる指示、飲み会や接待の強要、派遣先都合による休業や早退です。
派遣社員には、契約書に記載された業務以外を指示できません。業務内容が少し変わるだけに見える場合でも、契約外業務になる可能性があります。
たとえば、契約上はデータ入力のみの派遣社員に、電話対応、受付対応、他部署の資料作成、社員の勤怠確認を依頼する場合は注意が必要です。現場では一時的な依頼に見えても、契約内容と異なる場合があります。
必要な業務が増えた場合は、派遣社員へ直接依頼する前に派遣会社へ相談します。契約内容の確認や見直しを行ったうえで、対応可否を判断してください。
派遣社員を、契約で定めた所属部署以外の業務に従事させることは避けてください。派遣社員は、派遣先企業の人事異動の対象ではありません。
繁忙期の応援、短期間の部署変更、他チームの資料作成なども、契約内容と異なる場合は問題になる可能性があります。業務範囲や就業場所が変わる場合は、派遣会社を通じて契約内容を確認します。
出張、残業、休日対応、接待への同行などは、契約書に条件が記載されているかを確認してください。契約にない場合、派遣先が一方的に指示することはできません。
たとえば、「今日だけ残ってほしい」「急ぎなので出張に同行してほしい」「取引先との会食に出てほしい」といった依頼は、業務上必要に見えても契約確認が必要です。
対応が必要な場合は、派遣会社へ相談し、契約内容、勤務時間、費用負担、本人の同意などを確認したうえで進めます。
二重派遣とは、派遣会社から受け入れた派遣社員を、派遣先企業がさらに別の会社へ派遣することです。派遣社員の指揮命令関係が不明確になり、法令違反につながる可能性があります。

偽装請負とは、契約上は請負であるにもかかわらず、発注者が請負会社の社員へ直接指示しているような状態を指します。派遣契約と請負契約では、指揮命令を行う主体が異なります。
たとえば、受託している会社が就業先であっても、指揮命令者が自社社員であれば、二重派遣には当たりません。
飲み会、懇親会、接待への参加は、派遣社員の自由意思を尊重してください。業務に関連する場であっても、参加を強要することは避ける必要があります。
「全員参加だから」「来ないと困る」といった声かけは、任意参加であっても圧力として受け取られる場合があります。案内する場合は、参加が任意であることを明確に伝えてください。
派遣先の判断で、派遣社員を休ませる、早退させる、有給休暇の取得を促す場合は、事前に派遣会社へ相談してください。派遣社員に直接伝えると、賃金や契約に関するトラブルにつながる可能性があります。
派遣先企業が禁止業務や契約外指示を行った場合、契約上のトラブルや行政上の指摘につながる可能性があります。内容によっては、派遣先企業にも罰則が及ぶ場合があります。
派遣先担当者は、次の対応を基本にしてください。

本記事では、派遣社員にさせてはいけない業務や指示を中心に解説しています。一方で、派遣社員への発言にも注意が必要です。
特に契約更新、時給、個人情報、契約変更に関する話題は、派遣会社を通じて確認します。詳しい例は、別記事「派遣社員に言ってはいけないこととは?法律とマナーの両面から解説」で確認してください。
派遣社員と派遣先には、雇用契約はありません。契約更新に関する話は、派遣社員へ直接伝えないようにします。派遣社員の雇用主は派遣会社であり、契約更新は派遣会社を通じて調整する内容です。
契約について派遣社員と話してしまうと、トラブルになる可能性があります。必ず派遣会社の担当者と話すように心がけましょう。
派遣契約と同様ですが、どのような待遇を提示しているかも、派遣会社と派遣社員の間で取り交わされていることです。そのため、同じ派遣料金であっても、派遣会社が違えば、時給も異なります。派遣先担当者が時給について派遣社員と直接話してしまうと、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
住所、連絡先、学歴、職歴などの個人情報を、派遣社員へ直接聞くことは避けてください。業務上必要な場合は、派遣会社へ相談し、適切な手続きを確認します。
業務内容、勤務地、勤務条件などの契約変更に関する話も、派遣会社を通じて伝えます。派遣社員へ先に伝えると、不安や誤解につながる場合があります。
派遣社員を受け入れている現場部門では、運用ルールの誤解や情報不足により、契約外の業務指示や契約更新に関する直接の声かけなど、トラブルにつながる対応が発生してしまうことがあります。
本資料では、こうしたトラブルを未然に防ぐために押さえておきたいポイントをわかりやすく整理しました。
あわせて、忙しい現場担当者の方へ配布しやすいよう、必要なポイントを簡潔にまとめたリーフレットもご用意しています。ぜひご覧ください。
派遣社員と良好な関係を築くには、業務範囲と指示系統を明確にすることが大切です。禁止事項を避けるだけでなく、派遣社員が安心して働ける環境を整えましょう。
具体的には、業務手順を共有する、社内ルールを説明する、業務上必要なミーティングに参加してもらう、相談先を明確にする、といった対応が有効です。
一方で、正社員と同じ感覚で人事上の指示や契約変更を伝えないよう注意が必要です。派遣社員を受け入れる部署では、現場担当者にも派遣契約の基本ルールを共有してください。
派遣社員を、ほかの派遣社員の指揮命令者にすることはできません。指揮命令者には、派遣先の社員を選任します。業務に詳しい派遣社員が、作業手順を説明したり、ほかの派遣社員をサポートしたりすることはあります。ただし、業務の割り振りや優先順位の決定、残業の指示など、正式な指揮命令は派遣先の社員が行う必要があります。
業務上必要な範囲であれば、派遣先の指揮命令者から指導できます。たとえば、業務手順が守られていない、遅刻が続いている、報告や連絡が不足しているといった場合は、具体的な事実と改善してほしい点を伝えます。繰り返し指導しても改善が見られない場合や、対応に迷う場合は、派遣会社へ状況を共有して相談しましょう。
契約外業務は、原則として依頼しないでください。必要な場合は派遣会社へ相談し、契約内容の確認や見直しを行います。
所属部署や業務範囲が契約と異なる場合は、派遣契約上の問題になる可能性があります。契約内容を確認し、必要がある場合は派遣会社に連絡してください。
契約書に出張、残業、休日対応の条件があるか確認します。契約にない場合は、派遣会社を通じて調整してください。
地震や台風などの自然災害により、派遣先の事業所を一時的に休業する場合は、派遣社員も休業となります。そのため、派遣社員を休ませること自体が、やってはいけないことにあたるわけではありません。
災害発生時は、派遣先の社員と同様に、派遣社員にも休業や出勤見合わせなどの連絡を行います。その後、派遣会社にも休業の状況を共有してください。
派遣社員を受け入れる際は、法律で禁止されている業務と、契約範囲を超える指示に注意が必要です。派遣社員は即戦力として活躍できますが、正社員と同じようにすべての業務を任せられるわけではありません。
派遣先担当者は、業務内容、所属部署、勤務条件、指示系統を契約書で確認してください。契約外の依頼が必要な場合は、派遣会社へ相談し、必要に応じて契約内容を見直します。
現場担当者にも基本ルールを共有しておくと、契約外指示や不用意な声かけを防ぎやすくなります。判断に迷う場合は、現場だけで決めず、派遣会社へ確認しましょう。
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