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労働人口の減少は、ITエンジニア人材においても例外ではありません。 昨今では、海外エンジニア人材の採用により、ITエンジニア不足に対する活路を見出す企業も増えてきました。 今後の日本のIT産業の発展に欠かせない「海外エンジニア人材」の現状を、複数回にわたり詳しくレポートしていきます。
IMF(国際通貨基金)の統計によると、2017年における台湾のGDP(国内総生産)は約5790億円。国民1人あたりの購買力平価(PPP)ベースのGDP(国内総生産)をランキングした、いわゆる「世界で最も裕福な国・地域ランキング」では世界19位にランクインしています。
アメリカ等の主要先進国と比較して面積も小さく人口も少ない台湾はどのようにして経済的発展を遂げたのでしょうか。ベトナム戦争時、アメリカが台湾から戦略物資を調達したことで、台湾は「台湾の奇跡」と呼ばれる飛躍的な経済発展を遂げました。
その後、1979年の第二次オイルショックの影響を受け、半導体やパソコン、液晶、自転車などの高付加価値産業への転換を行い、IT景気に乗ることで1997~1998年のアジア通貨危機を乗り越えました。そして今、台湾は新たな経済成長モデルを掲げています。
新たな経済成長戦略として高付加価値・イノベーションを掲げる台湾は、「アジアン・シリコンバレー」計画を推進しています。
桃園市を中心とした取り組みで、諸外国からソフトウェアに強い企業を呼び込み、自国の強みである製造業と組み合わせてIoTなどのサービス領域を拡大していく目論見です。
政府運営の「Invest Taiwan」というウェブサイトでは、テクノロジー企業の人材獲得を財務省が支援していく方針であることが述べられており、企業誘致への積極性を感じさせます。
実際、2018年以降ニュースとして、MicrosoftやAmazon・Google・Oath(旧Yahoo)・IBMなどのITメジャー企業が、AI(人工知能)の研究開発拠点(R&D拠点)の開設などで台湾に進出しているという動きが目立ちます。
台北市内にAIの研究拠点(R&D拠点)を開設すると発表。(2018年1月)
2017年に、台湾の携帯電話端末メーカーHTCよりスマートフォン部門(Pixel開発チーム)を買収。この結果約2,000人のHTC社員がGoogleに転籍。2018年には、台湾で新たに300人のエンジニアを雇用。
台湾にR&D拠点を開設すると発表。(2018年3月)
台湾国内のITエンジニアの数は現在約35万人で、今後は年間約2万人程度のペースで増えていくと予想されています。
台湾では科学技術の教育に力を入れていることから、多くの人材が物理学や数学などのAI研究の基礎となる教育を受けていることが魅力です。
実際、技術力の高さを理由に欧米メジャーTech企業(Amazon・Booking.comなど)や日系企業(メルカリ・楽天など)、またはシンガポールメジャーTech企業(Sea Groupなど)が、台湾現地にてエンジニア選考会を開催しており、今後もこのような動きが増えると思われます。
また、上述のような外資系IT企業進出による台湾現地での人材獲得が盛んなこと、さらに元来起業家精神の旺盛な台湾ではスタートアップも台頭してきています。2018年には政府によって台北市内に「TAIPEI TECH ARENA(TTA)」も開設され、優秀なエンジニアは活躍する舞台を選べる、台湾ではそんな土壌が整いつつあります。
現在、台湾のエンジニア平均年収は日本円で230万円相当ですが、外資系企業の進出とスタートアップの台頭で上昇傾向です。 開発経験5年以上のエンジニア層だと日本円にして450-600万円相当の年収、スタートアップではトップエンジニア獲得のために700-900万円相当のオファー提示も珍しくない状況とのことです。
地理的に近いことや日本語を学んでいる人の割合が多いこともあり、以前は台湾の人々にとって日本企業は比較的人気上位の就職先でした。 しかし近年は、中国やシンガポールのIT企業から高いオファーで抜かれる状態にあります。 また、台湾国内に外資系メジャー企業が拠点を設け始めたことで、自国を出ずにも最先端でグローバルな仕事に携われるということも、台湾ITエンジニア間での日系企業の人気が後退気味と言える理由かもしれません。
日本と台湾は歴史的な結びつきも強く、日本政府観光局(JNTO)の統計では、国・地域別の訪日観光客数は中国、韓国に次いで3位です(2018年)。 お互いの国に行き来がしやすい距離で、文化や習慣に共通点も多いことから、台湾のエンジニアにとって「最も近くて働きやすい外国」が日本なのではないでしょうか。 リクルーティングでは、待遇面以外でも動機づけを行うことが重要と言えそうです。
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