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企業が秋採用を導入するメリットとは?通年採用時代の新卒採用戦略

掲載日2025年6月11日

最終更新日2025年6月11日

企業が秋採用を導入するメリットとは?通年採用時代の新卒採用戦略

目次

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売り手市場・採用難が続くなかで、主に3月から6月にかけて採用活動を実施する「春採用」だけでなく、8月以降から採用活動を開始する「秋採用」が注目されています。

本記事では、秋採用ならではのメリットと実施時の注意点について解説します。

新卒の秋採用とは?

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新卒採用の一般的なスケジュールは、経団連主導の就活ルールに基づき、3月から企業説明会を開始し、6月頃に内定出し、10月1日に内定式という流れが標準とされてきました。これに対し「秋採用」は、厳密な定義はないものの、春採用が一段落した8月末頃から開始する採用活動を指します。

特徴的なのは、8月末から短期間で母集団形成を行い、9月中に選考を完了させ、10月に内定を出すと短期集中型の採用です。「通年採用」が年間を通じて継続的に採用活動を行うのに対し、秋採用は期間を区切り、短期間にリソースを投入する点が大きく異なります。

秋採用を行う企業の背景

秋採用は、もともと一部の企業が春採用の補完を主な目的として行っていたものです。

株式会社マイナビが2024年9月から10月にかけて実施した「2025年卒企業新卒内定状況調査」 外部リンクによると、2025年卒の採用充足率は70%(前年比5.8ポイント減)と過去最低となっています。



株式会社キャリタスによる「新卒採用に関する企業調査(PDF) 外部リンク」でも、採用充足率は全体で65.6%となっており、企業規模別にみると1000人以上では75.6%、100人以上999人以下では70.2%、299人以下で57.2%と企業規模が小さくなるほど採用充足率が低くなっていることがわかります。

また、企業規模が大きいほど充足率が高い傾向から、中小企業で早期に内定を獲得した学生が、就活解禁後に大手企業へ流れる「内定辞退」の現象も顕著になっています。



実際、株式会社リクルート調査の「就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点) 内定状況」 外部リンクによる内定保有人数に対する内定辞退人数を算出した内定辞退率は年々上昇傾向にあります。

大企業でさえも採用充足率が低下している、増加する内定辞退という背景から、「採り直し」や「追加確保」の手段として、秋採用を導入している企業が増えています。

秋採用を行う企業側のメリット

これまで秋採用を実施していなかった企業からすると意外かもしれませんが、秋採用には秋採用ならではのメリットがあります。

春の採用で不足した人材の補完が可能

株式会社リクルートが調査した「就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点) 内定状況」 外部リンクによれば、25年卒学生の7月1日時点の88%だった内定率が12月1日時点では96%と上昇しており、秋採用で内定を得ている学生が一定数いることが見て取れます。こうした学生にアプローチできる秋採用は、春採用で採用目標に届かなかった企業にとって、欠員補充や追加採用を行う「第二のチャンス」として効果的な手段です。

また、近年では、内定承諾後の辞退も増加傾向にあり、春採用で目標数に到達していても7〜8月頃に辞退が生じることも珍しくありません。秋採用は、こうした状況に応じて、数名単位で採用人数を柔軟に調整できるメリットがあります。

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採用競合が少ない市場環境

秋採用は注目が高まりつつあるものの、実施している企業はまだ少数派であり、春採用と比較して競合が大幅に少ない状況です。就職情報サイトや合同説明会においても、秋は掲載企業や参加企業数が減少するため、学生の目に留まりやすくなります。

学生側も「選択肢が多すぎる」という状況が緩和され、各企業をじっくり検討できるため、企業にとっては選考通過率の向上や内定辞退率の低下などの好影響が期待できます。

特に、秋から就活を再開した学生は、春採用の経験を踏まえて企業選びを慎重に行う傾向があり、就職の軸を見直している場合も多いため、企業とのマッチング精度が高まりやすい点も秋採用の特徴です。

春採用では出会えない優秀な人材との接点

春採用では出会えない優秀な人材との接点

秋採用には、単に「採用数の補填」のためだけでなく、春採用では出会いにくい独自の価値を持つ人材と接点が持てるメリットがあります。秋採用に参加する学生層には、主に以下のような特徴があります。

1. 明確な目的意識を持つ「再就活学生」

春に内定を獲得したものの、企業の実情や自身のキャリア志向と向き合い、再び就活を決断した学生です。

当初はネームバリューや待遇を重視していましたが、内定者期間中も自己分析を深め、進みたい方向がより明確になったことで、キャリアを追求するために再スタートを切っています。こうした学生は、就業の目的や将来像が明確で、企業選びにも慎重かつ意欲的です。

2. 専門性や経験に富んだ「時期的要因の学生」

留学、卒業論文、資格取得、部活動などに注力していたため、春採用の時期に活動できなかった学生です。

彼らは特定の分野に深く取り組んだ経験を持ち、専門性が高い傾向があります。また、周囲が就職活動をしている中でも流されずに自分の目標に集中し、物事に情熱を注げる特性があります。

3. 多角的な視点を持つ「進路変更学生」

当初は大学院進学や公務員志望だったが、方針を転換して民間企業への就職を選択した学生です。複数の選択肢を比較検討した経験から、職業選択に対する視野が広く、自身の決断に確信を持っていることが多いです。

これらの学生に共通するのは、周囲の流れに流されず、自分の意思でキャリアを選んでいる点です。また、自己分析が進んでいて、自身の強みや志向を明確に言語化できる能力が高い傾向があります。

春採用でもこうした人材は存在しますが、応募者の大多数がまだ自分のキャリア観を固めていない中でそれを見極めるのは非常に困難です。

一方で、秋採用の応募者はキャリアの選択理由が明確な人物が多く、企業も学生の意図や強みを見出だしやすくなります。適切なマッチングができれば高いパフォーマンスを期待できる点は企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

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秋採用の注意点・デメリット

秋採用の注意点・デメリット

一方で、秋採用を実施する上で知っておくべき注意点やデメリットも存在します。

母集団形成の難しさ

株式会社リクルートの同調査「就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点) 内定状況」 外部リンクによると、8月1日時点での進路確定率は80%と、秋採用の時期には、すでに多くの学生が内定を得て就活を終えています。この時期のスカウトサイトは反応率が低く、就職情報サイトなどでもエントリー数が伸びにくい傾向があります。

一定の母集団を形成するためには、通常以上に工夫を凝らした採用広報が必要ですが、それでも集められる学生数に限りがある点には注意が必要です。

春採用では「できるだけ母集団を最大化し、その中から適任者を選ぶ」という発想で進められるケースが多いですが、秋採用でそれと同じ発想で臨むと、期待値とのギャップが生じて失敗しやすくなります。秋採用では、選考精度を高める工夫が必要不可欠です。

タイトな採用スケジュール

秋採用が本格的になる9〜11月は、卒論・単位取得・就職準備など学生の予定が重なりやすい時期です。特に10月以降は多くの大学で授業が始まり、学生の選考に参加できる時間も限られてきます。選考プロセスは短期集中型で設計し、スピード感を持って進めないと他社に先を越されるリスクがでてきます。

学生の就活疲れとモチベーション低下

春から活動を続けているにもかかわらず内定に至らず、秋まで就活を継続している学生の中には、就活疲れや焦りを抱えている層も少なくありません。表面的には志望度が高く見える場合でも、実際には「とにかく内定が欲しい」という切迫感から応募している可能性もあります。

秋採用を追加採用の手段として実施する場合でも、入社後のミスマッチを防ぐには、学生のモチベーションや志望理由をしっかり見極めることが重要です。

入社までのフォロー期間の短さ

秋採用の内定者は、春採用に比べて入社までの準備期間が短くなります。そのため、入社前研修や懇親会などのフォロープログラムへの参加機会が限られたり、すでに形成されている内定者コミュニティに「後から来た」という心理的な障壁を感じたりするケースもあります。

内定時期が異なっていても、同期としての一体感や横のつながりを構築できるよう、フォロー施策の事前検討が重要です。

秋採用のスケジュールと準備の流れ

一般的な秋採用のスケジュールは下記のとおりです。

秋採用のスケジュールと準備の流れ

ただし、ターゲットとする学生層によって最適な時期は異なります。

例えば、公務員志望から進路変更する学生を対象とする場合は、公務員試験の結果が出る6月直後から活動を開始すると効果的です。一方、大学院進学からの転換を考える学生は12月以降に動き始めることも多く、後半からの採用活動への注力も視野に入れる必要があります。

このような学生の動向の違いを踏まえ、母集団形成は継続的に行いながら、応募があったタイミングで速やかに選考へ移れるフローを構築しておくことが重要です。

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新卒の秋採用を成功させるポイント

新卒の秋採用を成功させるポイント

秋採用を成功させるポイントを解説します。

秋採用向けの求人広告を出す

春採用と比較して母集団が小さい秋採用では、効果的な求人広告による認知拡大が特に重要になります。就職情報サイトに掲載しても、「採用充足しなかった企業」「春採用の名残」として埋もれがちなため、秋採用に特化した明確な訴求が必要です。

明確なキャッチコピー 「秋採用実施中」「秋からの就活を応援」など、秋採用であることを強調
ターゲット層に合わせた訴求 「公務員志望との併願可能」「大学院進学と悩んでいる方歓迎」など
特定の属性へのアプローチ 留学生、理系学生、研究熱心な層など、秋に就活を行う傾向がある属性を意識した広報

ターゲットを具体的にすることで、限られた母集団の中でも自社にマッチする学生からの応募を促しやすくなります。

短期集中型の選考設計を立てる

秋採用の時期は学生のスケジュールも限られており、他社もスピード感を持った選考を実施しているため、選考期間はなるべく短く設計するのがポイントです。「最短2週間で内定」などの明確な期間提示も応募促進に効果的です。

一方で、選考を簡略化しすぎると入社後のミスマッチが起こりやすくなります。各ステップで何を見極めるのかを明確にし、秋採用であっても「どういった人材を求めているのか」を春採用同様にしっかり練ることが必要です。単なる欠員補充としての採用活動では、「労多くして益少なし」となりやすく、注意が必要です。

内定後のフォローを欠かさない

秋採用では内定から入社までの期間が春採用と比べて短いため、密度の濃いフォロープログラムが不可欠です。すでに春採用の内定者フォローが進行している中での参加となるため、情報格差や「後から来た感」などの心理的要素を考慮した設計が必要です。

一例

定期的な個別面談 配属部署の社員との密なコミュニケーション機会
同期との接点づくり 春採用の内定者との交流の場の設定
小規模な懇親会や研修 少人数だからこそできる濃密な交流機会の提供

秋採用の内定者の中には「自分は単なる欠員補充」と感じている学生もいるため、個別面談や専用のフォロー企画など、短期間でも充実したフォローを実施し、「必要な人材として採用された」という実感をもってもらえるようにしましょう。

秋採用を支援します

限られた人数で採用を成功させるために、採用代行・コンサルティングサービスを提供しています。ご希望に合わせて、支援範囲を決定できるため、取り組みたい業務に集中することが可能です。ご相談やお見積りもお気軽にお申し付けください。

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まとめ

秋採用は、採用難の時代における目標達成の効果的な手段であるとともに、春採用では出会えない特徴的なバックグラウンドを持つ学生と接点を持つ貴重な機会です。

しかし、単に秋に採用活動を行うだけでは十分な成果を上げることは難しく、ポイントを押さえた戦略的なアプローチが不可欠です。

秋採用は、短期間で成果を出すための工夫が多く必要とされますが、採用目標人数の達成と、多様な視点・経験を持つ人材の確保という二つの目的を同時に実現できる有効な手段です。各プロセスを適切に設計し、計画的な準備を進めることで、秋採用の成功は近づきます。

マンパワーグループでは、採用代行サービスを提供しています。
本コラムで取り上げている企業課題に関するご相談や、弊社サービスに関するご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

本記事のポイント

明確なターゲティングと効果的な広報
秋採用に適した学生層を見極め、それに合わせた訴求を行う

効率的かつ質を担保した選考プロセス
短期間でも適切な評価ができる選考設計を行う

入社までの充実したフォロー体制
短期間でも内定者との信頼関係を構築し、同期意識を醸成する

著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社 RPO事業部

マンパワーグループ株式会社 RPO事業部

マンパワーグループの採用代行・コンサルティングサービスを専門にしている事業部。新卒採用・中途採用・パートアルバイト採用の事務代行やダイレクトリクルーティング、採用戦略、計画などのコンサルティングなど実績多数。リピート率90%を誇る高い品質でサービスを提供。