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労働人口の減少は、ITエンジニア人材においても例外ではありません。 昨今では、海外エンジニア人材の採用により、ITエンジニア不足に対する活路を見出す企業も増えてきました。 今後の日本のIT産業の発展に欠かせない「海外エンジニア人材」の現状を、複数回にわたり詳しくレポートしていきます。
これまで本連載でご紹介した中国・インド・台湾・韓国の各国は、欧米IT企業や自国のメジャー企業が熾烈なリクルーティング競争を展開しており、IT人材獲得拠点としてまさにレッドオーシャンです。
そこで今、新たなIT人材輩出国としてベトナムやインドネシア、バングラデシュ等の「IT新興国」が注目を集めています。
ベトナムの大学進学率は約28%と決して高くはないですが、もともと勤勉な国柄であることから、国民の教育への関心は高く、1956年に創立されたベトナムで初めての技術系総合大学であるハノイ工科大学(HUST)のような都市部大学の理工系学部には、ベトナム全土から競争に勝ち抜いてきた優秀な人材が集まっています。
学生たちは英語の習得にも熱心で、諸外国の大学もベトナム人学生のための留学枠・奨学枠を設けるなど早期接触に動き出しています。上述のハノイ工科大学にも日本語の授業はありますが、漢字・ひらがな・カタカナと覚える文字種が多く、使用できる国が日本のみに限られている日本語よりも、事実上グローバルスタンダードである英語を選択する学生が多いようです。
また、近年ベトナムとの貿易や投資を通じた結びつきは、日本よりもアメリカ、中国、韓国などの方が強いこともあり、日本の存在感はやや後退気味と言えるでしょう。
国民の半分以上が農業などの第一次産業に従事しているベトナムでは、職業の選択肢が先進国ほど多くはないため、ITエンジニアという職業に就くことは新しいステータスになりつつあるのかもしれません。ベトナム国内のITエンジニアの年収については、3~5年の経験を持つweb開発エンジニアで日本円約300万円程度にまで上がってきています。しかし、優秀層ほど海外に出ていく傾向があり、ベトナム政府は、優秀な人材の海外流出に頭を悩ませているのが現状です。
マレーシア・インドネシアもベトナム同様に、国内トップ大学卒業のエンジニアが人気です。マレーシアでは国立マレーシア工科大学(UTM)、インドネシアでは国立インドネシア大学(UI)や技術系大学の国立バンドン工科大学(ITB)などが人気の大学です。ITエンジニアの年収相場は、3~5年の経験があるwebエンジニアで日本円約200万円相当と、上昇傾向にあります。
また、マレーシアはイスラム教が国教であり、インドネシアは国教ではないものの人口の約9割がムスリム(イスラム教徒)です。人材を迎え入れる体制として、礼拝の時間と場所の確保のためにオフィス環境を整えることや、就業規則の見直しも必要になるかもしれません。また、ハラールやラマダン、ヒジャブなどの習慣への理解も求められます。世界的には信仰人口の多いイスラム教ですが、日本ではムスリムは少数派の為、多くの日本企業にきめ細かい対応力が問われるでしょう。
バングラデシュとネパールは、ともに事実上の公用語が英語であり、公的機関や教育の場で多用されています。多くの国民が英語に慣れ親しんでいる点は、人手不足にあえぐ欧米の企業にとってメリットと言えます。バングラデシュが行う外資企業誘致のための各種優遇措置施策では、IT・ソフトウェア企業に対して法人税免税が謳われており、ハイテク・パーク(IT業界向けの工業地区)も設立されました。今後、バングラデシュとネパール両国の人材のIT産業への流入は加速する見込みです。
インドや中国よりも低廉な賃金で、基礎的な英語力があるエンジニアを確保できる点は魅力と言えそうですが、一方でバングラデシュとネパール両国に共通するのが、後発発展途上国に分類され、厳しい気候条件の国土で国民の6割以上が農業を中心とする第一次産業に従事しており、15歳以上の識字率が約5割という状況です。一定数のITエンジニアを輩出し続ける土壌が整っている状況とは言い難く、今後10年、20年かけてマーケットを観察する必要があります。
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