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週休3日制とは 導入のメリットやデメリットを解説

掲載日2022年11月28日

最終更新日2024年4月16日

週休3日制とは 導入のメリットやデメリットを解説

目次

働き方改革への取り組みが進展する中で、週休3日制の導入に関する注目が高まってきています。企業や従業員の意識が、長時間労働を前提とした働き方から生産性を重視する働き方へと変化してきていることが主な要因としてあげられます。

今回は週休3日制の運用パターンや、導入することのメリットやデメリットについて解説します。

大企業を中心に週休3日制を導入する企業が増加

週休3日制とは、週内に必ず3日間の所定休日がある働き方のことです。

働き方の多様化や、長期労働の改善、コロナ禍でテレワークが広がったことにより、企業も従業員も生産性の向上について考える機会が増え、週休3日制導入の注目へと結びついています。
加えて企業側は、勤務形態に柔軟性を持たせて、幅広い層からの労働力確保につなげたいという考えもあるでしょう。

このような背景から、運送や外食、保育などの人手不足が顕在化している業界、電子機器メーカーやアパレルなどのグローバルな市場展開を行う業界、ITなどのテレワークになじみやすい業界などで週休3日制への取り組みが広がっています。

一例としては、ソフトウェアなどのサービス事業を営む企業が「生産性の向上」と「創造性の向上」を目的に実施した週休3日制への取り組みがあります。

週休3日制導入に伴い、短い時間で効率よく働くための取り組みとして、多くの時間を費やしている会議時間の短縮や、オンライン会議の活用、ツールの活用による効率化などを行いました。

その結果、印刷物や電力などの経費削減、会議のリモート率の向上などの目に見える効果があり、この施策を評価すると答えた従業員は9割を超え、全社一斉のチャレンジが業務効率化の新たなモチベーションになったとする社内アンケートの調査結果が出ています。

制度変更や業務改善などの企業変革を成功させるためのキーマンは管理職

人事制度の変更などの大規模な制度変更には、社員のコンセンサスを得ることが重要です。
そのためには、経営者と現場をつなぐ「管理職」が変革推進者として効果的なメッセージの発信やモチベーション管理を担っていくことが成功の大きなポイントになります。
本資料では、変革推進者として管理職に必要とされるマインド・スキルおよび、その習得のための施策について解説しています。

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週休3日制の運用パターン

週休3日制には、「給与維持型」「総労働時間維持型」「給与減額型」の3つの運用パターンがあります。

給与維持型

給与維持型とは、次の方法で運用するパターンです。

  • 週内の所定労働日数を1日減らす
  • 1日の所定労働時間は変化しない
  • 従業員の給与額は変化しない

「1日8時間 週40時間」の勤務であったものを、「1日8時間 週32時間」の勤務として週休3日制を実現するパターンです。

このパターンでは、すべての従業員が1.25倍の昇給を実施されたことと同じ結果が生じます。1.25倍とは、週5日間の所定労働時間と引き換えに一定額の給与が支給されていたことに対して、今後は週4日間の所定労働時間に同額の給与が支給されるため、給与の価値が上昇します。(5日間÷4日間=1.25倍)

そのため給与維持型では、1.25倍以上の生産性の向上を実現する必要があるため、業務の仕組みや進め方などの見直しを行う必要があります。

給与維持型のメリット

  • 従業員の給与が維持されるため、モチベーション低下や離職のリスクを回避できる
  • 従業員の週の所定労働時間が減少するため、ワークライフバランスが実現でき、エンゲージメントの向上につながる

給与維持型のデメリット

  • 実労働時間が変わらない場合、残業が発生するため、これまで必要なかった時間外割増がつくことによる人件費が増加する
  • 生産性をあげ効率的に業務を行う仕組みを整えないと、業績に影響する可能性がある

総労働時間維持型

総労働時間維持型とは、次の方法で運用するパターンです。

  • 週内の所定労働日数を1日減らす
  • 1日の所定労働時間を増やす
  • 従業員の給与額は変化しない

1日8時間、週40時間の勤務であったものを、1日10時間、週40時間の勤務とすることで週休3日制を実現するイメージです。
労働基準法の関係上、1日の法定労働時間である8時間を超えた所定労働時間を設定することは原則できませんが、変形労働時間制を導入することで対応が可能になります。

総労働時間維持型の場合、週内の総労働時間は変化しないものの稼働日数が減るため、業務の仕組みや進め方などの見直しが必要です。

総労働時間維持型のメリット

  • 従業員の給与が維持されるため、モチベーション低下や離職のリスクを回避できる
  • 企業にとって従来の週の所定労働時間を維持できる

総労働時間維持型のデメリット

  • 1日の業務時間と業務量が増えるため、不満をもつ従業員も出る
  • 勤務日の労働時間が長時間化するため安全衛生面での管理により一層の注意が必要

給与減額型

給与減額型とは、次の方法で運用するパターンです。

  • 週内の所定労働日数を1日減らす
  • 1日の所定労働時間は変化しない
  • 従業員の給与額を減らす

1日8時間、週40時間の勤務であった場合、1日8時間、週32時間と引き換えに、従業員の給与も20%(1-(32時間÷40時間))減額するパターンです。

給与減額型は、3つのパターンの中で企業側のリスクが最も低いですが、労働条件の引き下げを伴うため、従業員の同意が必要になるなど導入へのハードルは高くなります。
週休3日制を希望する従業員との間で、個別に週休3日制導入後の給与などに合意を得た上で、新たに雇用契約書を締結する運用が望ましいでしょう。

給与減額型のメリット

  • 企業の人件費負担が軽減される
  • 企業の人件費負担軽減に伴い社会保険料等の負担も軽減される

給与減額型のデメリット

  • 従業員の給与が減額されるので、モチベーション低下や離職が増える可能性もある
  • 新たな雇用契約の手続きが必要になる場合もある

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週休3日制導入のメリット

週休3日制を導入することにより、企業と従業員の双方に以下のようなメリットが発生します。

企業のメリット1:離職率の低下と応募者数の増加

週休3日制の導入によりメリハリのある働きやすい職場環境が作られることによって、従業員からの満足度が向上し、離職率の低下につながります。また、週休3日制を導入していない企業との差別化ができ、応募者数の増加などの効果も期待できます。
国内の人口減少による労働力不足が深刻化する中で、企業の経営を維持するために必要な人員を確保できるので大きなメリットといえます。

企業のメリット2:生産性・収益性の向上

週内の所定労働時間や所定労働日数が減少しても、必要な業務を今までと同じように遂行していくためには、生産性の向上に取り組む必要があります。さらに休日が増えることによる従業員のモチベーションアップも、生産性の向上に寄与するでしょう。
その結果、同一の労働時間で実現される売り上げや利益が増加し、企業の収益性の向上につながります。

従業員のメリット1:十分な休養による、疲労やストレスの解消

週内の休日が1日増えることで、十分な休養による従業員の疲労解消、心身のリフレッシュやストレスの軽減が期待できることもメリットの一つです。
さらに、所定の3日間の休日に有給休暇を加えることで大型連休を取得するといった活用方法も増えるため、旅行などプライベートの時間も充実するでしょう。

従業員のメリット2:子育てや介護によるキャリアの中断を防げる

子育てや介護による労働機会の損失が社会問題化しています。
優秀な人材が子育てや介護のために戦線を離脱することで、企業は生産性が低下し、従業員本人にとってもキャリアアップの機会を失います。

しかし、週休3日制を導入することで、従業員が仕事から解放される時間が増え、子育てや介護と仕事の両立がしやすくなります。今までの社会では両立が難しいことで離職していた従業員も、離職をせずに子育てや介護に対応することができる可能性が広がります。

従業員のメリット3:自己投資や自己研鑽に時間を使うことができる

週内の休日が1日増えることで、自己投資や自己研鑽のために使える時間が増えることも従業員のメリットの一つです。

業務に直接関係するスキルの習得以外にも、趣味や地域活動への参加、興味のある分野に対する勉強など、自分自身がチャレンジしてみたいことに時間を使うことができます。

自己投資や自己研鑽によって身に付けたスキルや経験、あるいはそれらによる内面の成長などが業務の成果にも反映されれば、企業にとっても相乗効果が期待できるでしょう。

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週休3日制導入のデメリット

週休3日制を導入することにより、企業では以下のようなデメリットが発生します。

人事評価などの管理・処理が煩雑化する恐れがある

週休3日制の導入が対象者のみの実施となった場合、週休2日制と週休3日制の従業員が混在することになります。そのため一括で管理することが難しくなり、勤怠だけでなく給与の管理や処理が煩雑化する恐れがあります。

また、人事評価を行う際にも、週休2日制と週休3日制の従業員では業務遂行のスケジュールが異なるため、仕事の質や能力のレベル、勤務態度などを把握する目的で、勤務時間をもとに個人の働きぶりを評価することが難しくなります。

そのため、昇進昇級などの格差がついたり、従業員が不公平感を感じたりすることを避けるためにも、成果による評価を重要視しなければなりません。

さらに、休日が増えることで、従業員から副業や兼業を望む声が高まることも想定されます。就業規則の変更など従業員の副業や兼業への対応も考える必要があります。

増員が必要になることがある

製造の現場など、常に一定の人数の稼働を確保する必要のある業種の場合は、週休3日制の導入により従業員の稼働日数が減少することで、新たな増員が必要になってしまう場合があります。
その結果人件費負担が増加し、企業の収益性が悪化につながる可能性もあります。

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週休3日制を取り入れるときのポイント

週休3日制を取り入れるにあたって、以下のことに留意する必要があります。

経営方針や経営課題に最適な選択であるか検討する

週休3日制には、前述のようなさまざまなメリットとデメリットが存在します。
そのため、自社の状況から想定されるメリットとデメリットを洗い出し、検証や試算を行ったうえで、今後の経営方針や経営課題に対する手段として週休3日制の導入が最適であると判断できる場合、デメリットとなる部分への対応も考えた運用を制度化することが望ましいです。

対象とする従業員の範囲を明確にする

週休3日制を導入する場合、どの従業員に対して適用するのかは企業が任意で決めることができます。
職種によっては、ビジネス機会の損失や増員による人件費負担の増加など、週休3日制を適用することで企業の経営に悪い影響を及ぼす可能性もあるため、週休3日制の導入によるリスクの程度を把握した上で、対象とする従業員の範囲を明確にする必要があります。

社内に週休3日制が適用される従業員とそうでない従業員が混在する場合、適用されない従業員から不満が生じることを防止するために、仕事の負担度合いや成果に応じて給与や賞与を決定するなどの人事制度の見直しを考える必要があります。

従業員の意見を聴いて制度を作成する

労働時間や給与などの労働条件に変化が生じるため、従業員の意見を聴き、対象となる従業員との間でコンセンサスを形成した上で制度化することが重要です。

特に、給与減額型での週休3日制を導入する場合は給与の減少が生じるため、対象となる従業員からの個別の同意が必要となります。

体制の整備やツールの導入を検討する

週休3日制の導入により従業員同士が顔を合わすことのできる機会が減少し、社内のコミュニケーションの滞りが懸念されます。

また、営業日あるいは社員個人の稼働日が減ることで、取引先や見込み顧客とのコミュニケーションも減ってしまい、新たなビジネスチャンスが生まれにくくなることも懸念事項のひとつです。

従業員同士の情報の共有などを円滑に行うために、社内で定期的な面談を行う仕組みを取り入れて社内の連携体制を強化したり、チーム間でのスケジュールを共有するツールを活用したりするなど、リスクを回避するための環境づくりを検討しましょう。

プロジェクトの推進力・実行力向上が必要な場面には

新システム導入や制度改定など、プロジェクトの推進力・実行力向上が必要な場面には、プロフェッショナル派遣サービスの利用が効果的です。 プロフェッショナル派遣サービス ProAssing(プロアサイン)は、ミドルシニアの上級職経験者や高スキルのフリーランスを中心にエキスパートを派遣します。
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週休3日制を導入している企業の事例を紹介

実際に週休3日制を導入した企業の取り組み内容や導入成果について解説します。

事例1:A社 給与減額型

広告関連サービス事業を営むA社は、2017年より「給与を減額する形での週休3日制」を、育児や介護などの家族のサポートをしながら働ける環境を提供し、多様な働き方を支援する目的として導入しました。

具体的な制度内容は、従業員からの申請に基づき、もともとの所定休日である土曜日と日曜日以外の曜日を所定休日とすることで、週休3日制を実現させました。週休3日制の給与は、週休2日制の給与より20%の減額となります。

A社の週休3日制の特徴は、月単位で利用できることです。そのため、子どもが夏休みに入る8月だけ週休3日制にするといった利用も可能となります。
制度を導入したことで、望む働き方ができ、対象となる従業員のやる気を高めることを実現しています。

事例2:B社 総労働時間維持型

人材関連サービス事業を営むB社は、2021年に「年間の所定労働時間や給与を変えずに年間平均で週休約3日となる制度」を、多様な人材がより柔軟性や創造性を高めて働くことを目的として新たに導入しました。

具体的な制度内容は、従業員が取得日を自由に決められる所定休日を有給休暇とは別に設けることで年間の所定休日日数を145日間として、週平均2.8日間の休日がある状況を実現させました。
同時に、1日あたり所定労働時間を7.5時間から8時間へ変更するによって、年間所定労働時間や給与などの変更がないように調整しています。

この制度を導入し、年間の所定休日日数を増やしたことで従業員が仕事の進め方などを工夫する動きが広まり、年間の所定労働時間が50時間減少するなど会社全体として生産性の向上を実現しています。

まとめ

週休3日制は、働き方改革の推進や従業員満足度の向上などへの利点がありますが、生産性を高める働き方や業務の仕組みの最適化が欠かせません。
導入を検討する場合は今回紹介したポイントを押さえつつ、よりよい仕組みづくりや業務の見直しを検討してみてください。

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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