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36協定をしていても違法な残業(時間外労働)になる4つのケース

掲載日2022年10月 4日

最終更新日2023年2月 8日

36協定をしていても違法な残業(時間外労働)になる4つのケース

目次

社員が時間外労働をする場合は、時間外・休日労働に関する協定届(以下、「36協定届」)を所轄の労働基準監督署(以下、「労基署」)に届出る必要があります。ただし、届出さえすればどんなに残業をさせても問題ない、ということではありません。今回は、36協定届を届出ていても違法となってしまう時間外労働について解説します。

違法な残業(時間外労働)の実態

厚生労働省によれば、2021年度に労基署が監督指導を実施した32,025事業場のうち10,986事業場(34.3%)において、36協定がないままの時間外労働や、36協定の限度時間を超えた時間外労働など、労働時間に関する違法が指摘されました。

また、時間外労働があったにもかかわらず残業代が払われていなかった場合や、長時間の時間外労働の際に必要となる健康障害防止措置が未実施であったなどの法違反を含めると、実に調査対象事業場の約3/4にあたる23,686事業場(74.0%)で法違反が指摘されています。

違法の可能性が高いとされた事業場が調査対象とされていると考えられるため、この割合がすべての事業場に当てはまるとはいえませんが、36協定などの時間外労働に関する認識が不足している事業場がまだ多数存在していることは明らかでしょう。

出典:長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導結果を公表します│厚生労働省(PDF) 

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残業(時間外労働)には36協定の届出が必要

時間外労働をする労働者が一人でもいる事業場は36協定届の届出が必要です。ただし、法定労働時間(1日8時間・週40時間など)の範囲内での残業であれば必要ありません。

36協定には時間外労働を行うことができる上限時間(限度時間)を定める必要があります。一般の労働者の場合は、1か月45時間、1年360時間などが限度時間となります。

36協定違反はどのように発覚する?

では、どのような場合に36協定違反が発覚するのでしょうか?

まず考えられるのは、申告監督と言われるいわば「駆け込み」です。

労働者が労基署に相談などを行い、調査が必要と判断された場合に実施されます。時間外労働が行われている事実が確認できるにもかかわらず36協定届の届出がない場合はその時点で違法となるため、労基署が調査を実施する可能性が高いといえます。

また、定期監督といわれる毎年の厚生労働省の方針に基づき対象事業場を選別して行う調査や、労災事故が発生した場合の事業所調査において発覚する場合もあります。

このように、労基署の調査があった場合に違反が明らかになります。

36協定に違反した際の罰則

もし36協定に違反した場合、使用者が6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります。この場合、使用者とは労働基準法第10条において「事業主又は事業の経営担当者その他の事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」とされているため、法人としての会社だけでなく、社長や管理者などが罰せられる場合もあります。

なお、通常はいきなり逮捕されるようなことはありません。まずは行政指導としての「是正勧告書」などが交付されます。勧告内容が事実であれば、会社はそれに従って是正を行う必要があります。もし勧告に従わず是正を行わなかった場合は、逮捕などの強制捜査が行われ検察庁に書類送検される場合もあります。

出典:労働基準法│e-Gov法令検索 

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36協定を届出していても違法な残業(時間外労働)になる4つのケース

36協定届を届出していても違法な残業(時間外労働)になってしまうケースを4つご紹介します。

労働者代表を会社が決めている

36協定は会社と労働者代表の間で締結します。その際、労働者代表は労働者の間で選挙などの民主的な方法で選出されている必要があります。例えば労働者代表を会社が指名している場合などは、そもそも36協定自体が無効とされてしまうことで、時間外労働そのものが違法とされてしまう場合があります。

あらかじめ定めた具体的事由に該当しない

36協定を締結する際、業務の種類ごとに時間外労働をさせる必要のある具体的事由を定めます。この事由に該当しない場合、時間外労働をさせることができません。例えばその事由が「決算事務」としか定められていなかった場合、「決算事務」以外で時間外労働をさせることはできませんので注意しましょう。

36協定の限度時間を超えている

36協定を締結する際、1日・1か月・1年について時間外労働の上限時間(限度時間)を定めます。この時間を超えてしまった場合は違法となります。例えば、通常の法定限度時間である1か月45時間・1年360時間を上限と定めた場合、時間外労働が毎月45時間あると8か月で360時間に達してしまうため、それ以降は時間外労働ができないことになります。

なお、36協定に「特別条項」を設けることで1か月や1年の法定上限時間を超えることも可能になります。ただしその場合でも、1か月の上限は時間外労働と休日労働を合計して100時間未満(2~6か月平均で月80時間)、1年の上限は時間外労働について720時間以内とされているため、これを超えることはできません。

残業代が支払われていない

36協定届の届出により時間外労働をすることは可能です。ただし、当然ですが時間外労働をした時間分については残業代(割増賃金)の支払いが必要です。また、固定時間分の残業代を支払っているような場合は、実際の時間外労働時間が固定時間分を超えている場合には、その超えた時間分の残業代を追加で支払わなければなりません。

なお 2023年4月1日以降は、大企業・中小企業にかかわらず月60時間を超える時間外労働の割増賃金率について「50%以上」に変更されますのでご注意ください。

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36協定違反にならないためには

36協定違反にならないためには以下の点に注意しましょう。

  • 労働者間で代表を選任する(会社が指定しない)
  • 具体的な内容を労使で協議する(会社が一方的に決めない)
  • 届出した36協定を周知する(常に見られる状態にしておく)
  • 労働時間の管理を行う(時間外労働を把握する)
  • 長時間労働があった場合は、必要な措置を講じる(放置しない)

その上で、できる限り時間外労働を減らすように努力することが大切です。労働基準法が時間外労働などについて割増賃金を支払うことを定めているのは、時間外労働などを抑制することが目的です。不必要な仕事を減らすことで、時間外労働の削減につながることもあります。それでも仕事が減らない場合は、新しく人を採用することも検討しましょう。

もしそれが季節的な仕事や期間が限定されるような仕事であれば、人材派遣サービスを利用することも解決策の一つとなるかもしれません。

ノンコア業務を社員から切り出して残業の抑制を

派遣サービスは、以下のような理由で活用されています。残業時間を減らすには、業務の再配分やIT技術の導入などによる効率化が求められます。過渡期の対処として派遣サービス利用もご検討ください。

  • 期間が限定されている業務
  • 産休・育休、介護や病休などの代替要員として
  • 繁忙期の人手不足を補うために
  • 社員をコア業務に集中させるための、一時的なサポート

▽人材派遣サービス詳細
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<マンパワーグループの特徴>
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まとめ

36協定届については2021年4月から様式が変更されました。特に特別条項を設ける場合は必要となる措置が定められています。まずは現在の協定内容を確認し、違法な残業となることのないように注意しましょう。

著者プロフィール

山口剛広(特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント)

山口剛広(特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント)

山口社会保険労務士事務所 代表 2002年山口社会保険労務士事務所を開業。企業のパートナーとして、争いを未然に防ぐための労務相談に力を入れている。公的機関で相談員を務めるなど〝相談ができる社労士″として活躍している。行政や省庁が実施する「労働条件審査」においては数十社に及ぶ審査実績がある。

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