
ジョブ型雇用の導入前に整えておくべき6つの施策とは
総合人材サービスのマンパワーグループ
人事制度
掲載日2021年6月29日
最終更新日2022年5月 9日
目次
労働基準法とは、企業が労働者に対して最低限保障すべき労働条件の内容を定めた法律です。この法律に違反をすると最悪の場合、企業の存続に影響するようなリスクが生じる可能性があります。ここでは、労働基準法に違反をした場合にどのような罰則があるのか、また違反をしないためにはどのように対応すべきかを解説します。
労働基準法は、企業で働く労働者が一人の人間として最低限度の生活を送るために定められた法律です。労働基準法の基本となる理念は主に以下の2つが挙げられます。
1.企業が労働者を雇う際に設定する労働条件の最低基準を定め、労働者の生活を守ること
例えば、労働時間や休憩時間、休日の設定限度や給料、有給休暇や解雇制限など、多岐にわたる労働条件の限度が定められています。
2.労働者・使用者(企業)が対等な立場で労働条件を定めること
労働者と使用者(企業)に上下関係はなくお互い対等に契約を交わして企業活動が進んでいくことが定められています。
労働基準法で定められている内容は、あくまでも最低基準のものです。そのため、各企業は最低基準よりも上の条件で労働契約を交わさなければなりません。
また、労働基準法はすべての国民を守るために定められた法律であるため、労働者の雇用形態、背景、考え方や性別などに左右されることなく、すべての労働者に当てはまるものであることを覚えておきましょう。
企業が労働基準法に違反すると、その企業で雇用される労働者を肉体的・精神的に追い詰めるリスクがあります。そのため、労働基準法の違反行為は固く禁止されており、実際に違反をした場合には懲役刑や罰金刑などの罰則が科せられる可能性があります。さらに、厚生労働省による企業名の公表なども実施されていることから、対外的なダメージを受けることも想定されます。
労働基準法違反において、覚えておくべきポイントの一つに「両罰規定」があります。両罰規定は、企業に勤める社員が違反行為をした場合、その社員が所属する企業、つまり使用者も同様に責任を追わなければならない、ということです。
これは、社員は上長ひいては企業の指示のもとで行動する立場であり、社員に指示を行うことで利益を得ている企業ならば、社員の行動に責任をもつことが当然だと考えられるためです。したがって、企業側は企業で働くすべての労働者に対し、労働基準法の順守を徹底し、管理を行う必要があります。
厚生労働省から実施されている助成金制度には、労働関係の法律に沿って正しい労務管理が行われていることが受給要件として挙げられている場合があります。つまり、労働基準法に違反をした企業は、助成金を受給することができない可能性があるのです。当然守らなければならない基本である労働基準法に違反する企業のサポートは行わない、という国側の意向がうかがえます。
なお、労働関係の法律には、今回の労働基準法のほか、労働者災害補償保険法(労災保険)や雇用保険法などが挙げられます。
労働基準法違反は、
などから発覚するケースが多く見られます。
不透明な経済情勢が続いている昨今、労働者が企業側へ雇用に関する不満を抱き、社内外へその不満の内容を漏らすケースが増加しています。また、インターネットやSNSの普及により、これまでは何となく遠い存在であった労働基準法という法律に関する知識を得やすくなったことも、行政への訴えが増加した一因であると言えるでしょう。
ここからは、労働基準法違反の代表例を挙げていきます。労働に関するトラブルはさまざまですが、そのうち労働基準法に抵触する問題にはどのような内容があるのか確認しましょう。
強制労働とは、暴力や脅し、身体を不当な方法で拘束することにより、労働者に無理やり労働をさせることで、労働基準法では禁止されている行為です。
労働者の生活の権利を奪う悪質な行為であることから、強制労働の禁止に違反をした場合は1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金刑という、労働基準法違反の中では最も重い罰則が科せられています。
使用者が労働者を解雇する場合、労働者の生活保障のため、最低でも30日前には解雇の予告をする必要があり、解雇の予告が30日に満たなかった際には30日に満たない分の平均賃金を解雇予告手当として支払うことが労働基準法では義務づけられています。
もしも、解雇の予告・または解雇予告手当の支払いを法律に沿って実施しなかった場合は、労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
労働基準法では使用者は労働者を、休憩時間を除いて1週間あたり40時間、1日あたり8時間を超えて働かせてはならないと定められています。36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出を行った場合は、臨時的な特別の事情がある場合を除き、月に45時間、年間に360時間を上限として労働者に時間外労働をさせることができます。
もしも36協定の届け出を行わずに法定を超過する労働をさせた場合や、36協定の内容に違反をした場合は、労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
労働基準法では、使用者は労働者の労働時間を延長させた場合、あるいは休日に労働させた場合は、一定額の割増賃金を支払わなければならないと定められています。
もしも法律に沿った割増賃金を支払わなかった場合は、労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。これは、深夜(原則として午後10時から午前5時)に労働者を働かせ、一定額の割増賃金を支払わなかった場合も同様です。
労働基準法では、産前6週間の産前休業、産後8週間の産後休業中の女性労働者を就労させることや、妊産婦に時間外労働をさせること、育児時間(1日2回30分ずつの育児に費やす時間)を与えない行為を禁止しています。
これに違反をした場合は、労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
労働者が働く際に必要となる雇用条件をはっきりと提示しない場合、または社内ルールとなる就業規則を作成しない、正式な手続きで届け出を行わない場合、労働者が企業で安心して働くことができない状況となります。そのため、労働基準法では労働契約締結時の労働条件の明示や、就業規則の作成・届け出を義務づけています。なお、従業員数が10名に満たない企業の場合は、就業規則の届け出は免除されていますが、書面による労働条件の明示は義務づけられています。
これに違反をした場合は、30万円以下の罰金刑が科せられます。
一定の休憩や休日は、企業で働く労働者の心身を守るために必要となるものです。そのため、労働基準法では一定時間の休憩や休日の付与を義務づけています。
これに違反をした場合は、労働基準法違反として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
例えば、雇用契約中に社員が退職を申し出た場合、企業が契約不履行を理由として違約金や賠償金を求めることは、労働基準法上では禁止されています。
これに違反をした場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
労働基準法は、日々変化していく雇用情勢に応じて、随時改正が行われています。違反行為を起こさないように気をつけるためには、経営者をはじめ、人事労務や法務担当者が最新の法律内容を熟知しておく必要があります。さらに管理職へ教育を怠らず、日頃から「これは法律違反では?」と疑問を投げかけながら対応できるよう、意識づけを行う方法も有効です。
自社のルールと労働基準法の内容を照らし合わせるためのツールとして、厚生労働省が運営する「労働条件に関する総合サイト」や、各都道府県で公開している「労働法令に関するチェックリスト(※)
」などが挙げられます。そのほか、弁護士や社会保険労務士、労働基準監督署など法律の専門家の意見なども取り入れながら、正確な内容を把握できるような体制を企業内で整えていきましょう。
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