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オンボーディングとは OJTやオリエンテーションとの違い、効果

掲載日2022年4月 5日

最終更新日2022年6月22日

目次

    離職率が高く、慢性的な人手不足で継続的に採用活動をしている企業が、人材戦略として取り組むべきことは「採用した人材を定着させること」です。

    本記事では、人材の定着のために重要な施策の一つである「オンボーディング」について、同じく新人教育の場で導入されているOJTやオリエンテーションなどの施策との違いなどを含めて解説します。

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    オンボーディングとは

    「オンボーディング」を端的に言うと、「新たに入社した人材が会社に馴染み、能力を発揮して活躍できるようにすること」です。

    人材が退職してしまう理由の多くは人間関係です。同僚、先輩、上司と人間関係が築けず、孤独感に悩んでしまうこともあるかもしれません。また、どんなに能力が高かったとしても、誰かの協力なしでは能力を発揮して良い仕事をすることはできません。
    社員がこのような状況に置かれてしまうと、自分に無力感を覚えてしまい、会社にいる意義を見いだせずに辞めてしまうのです。

    新卒・中途にかかわらず、入社時は誰もが分からないことだらけです。特に新卒の場合は、社会人になったばかりで何をしていいのかも分からず不安でしょう。効果的な組織の条件に、心理的安全性(どんなことを発言・質問・相談しても大丈夫だと信じられる状態)があることが挙げられます。オンボーディング施策によってメンバーが気軽に相談できる環境があれば、不安も和らぎ安心して仕事に取り組めるようになります。

    オンボーディングの目的は以下の3つです。

    • 社内での良い人間関係を築くこと(コミュニケーションの促進)
    • 能力を早期に発揮できるように育成すること(教育)
    • 企業の方針と自分の仕事がどう結びつくか、何を期待されているかを理解すること(企業文化の理解)

    オンボーディング施策は、人材の定着率の高い企業では自然発生的に取り組まれてきたというケースもありますが、人材定着率の向上や組織力強化のため、施策の構築に意識的に取り組む企業も増えています。

    オンボーディングとOJTの違いは

    入社後の教育で最もポピュラーなものに「OJT」が挙げられます。OJTとはOn The Job Trainingの略で、新入社員や業務の未経験者に対し、先輩や上司が業務の実践を通じて仕事のやり方や業務知識を教え、育成していく実践的教育手法です。
    それでは、オンボーディングとOJTは何が違うのでしょうか?

    オンボーディング

    OJT

    目的

    組織への順応と能力発揮

    業務面での即戦力化

    期間

    継続的

    一時的

    教育内容

    一般的な内容、企業文化

    業務に必要な知識、ノウハウ

    担当

    人事(人材開発部門)

    仕事に精通する上司、先輩

    【目的】

    オンボーディングの目的は、新たに入社した人材が企業に馴染み、能力を発揮して活躍できるようにすることです。一方で、OJTは即戦力化を目的としています。

    【期間】

    オンボーディングは入社後に平均3か月程度行われ、その後も定期的に1on1ミーティングで近況を確認することもあるので、長期にわたって継続的に行われる施策です。
    OJTは、仕事をある程度覚えたら独り立ちさせることが多く、一時的なものです。業務内容や人によっては、数日~1週間といった短期間で終わるケースもあります。

    【教育内容・担当】

    オンボーディングの教育内容は多岐にわたります。社会人としての一般常識から社内のルール、そして 経営理念や企業文化といった自社で働くにあたって必要な価値観などです。
    そのため、直属の組織の教育担当者ではなく、人材開発部門(あるいは人事部門・総務部門)の教育担当者が担当する場合もあります。対して、OJTの教育内容は仕事に関する内容で即戦力を育てるという目的から、その多くが仕事に精通した上司や先輩が担当します。

    オンボーディングは、関わる社員も教育内容も広範囲にわたりますが、OJTはオンボーディングの一部として組み込むことが可能です。仕事を覚え、同じ部署の社員と良い関係性を築くには、OJTが有効だからです。

    オンボーディングとオリエンテーションの違いは

    新入社員の入社後によく行われる「オリエンテーション」は、会社概要や社内のルールなどを伝える説明・教育の場で、通常1日で行われることが多いです。

    オンボーディングとオリエンテーションの違いは以下のとおりです。

    オンボーディング

    オリエンテーション

    目的

    組織への順応と能力発揮

    会社のことを知ってもらう

    期間

    継続的

    1日~数日

    教育内容

    一般的な内容、企業文化

    社内ルール、会社概要

    担当

    人事(人材開発部門)

    人事(人材開発部門)

    オリエンテーションで行う内容は、入社した企業のことを知り、馴染むためにも必要であることから、オリエンテーションもOJTと同様にオンボーディングの一環として組み込むことが可能です。

    オンボーディングと一般的な研修の違いは

    研修は、一般的に社員のスキルアップを目的として行われます。業務面から人間的成長まで幅広い内容のものがあります。オンボーディングと研修の違いは以下のとおりです。

    オンボーディング

    研修

    目的

    組織への順応と能力発揮

    スキルアップ

    期間

    継続的

    数時間~数日

    教育内容

    一般的な内容、企業文化

    業務において必要な知識

    担当

    人事(人材開発部門)

    人事(人材開発部門)

    社員が能力を発揮できるように支援をすることは、オンボーディングの目的の一つです。そのため、研修もまた、オンボーディング施策のひとつとして組み込むことが可能です。

    オンボーディングとオフボーディングの違いは

    オフボーディングとは、「社員が退職の意思表示をしてから、退職するまでのサポートをすること」を表す言葉です。目的は、退職する社員とも良好な関係を築くことです。
    オンボーディングは「入口の施策」、オフボーディングは「出口の施策」といえるでしょう。

    オフボーディングを行うことで、退職者の企業に対する心証を損なうことなく、退職後もよい口コミを広げてくれる可能性があります。また、数年後に元社員の再雇用制度で復職したり、副業人材や取引先として新たな協力関係を築いたりと、優秀な人材とのつながりを保つことも可能です。
    オンボーディング同様、オフボーディングもとても重要な施策です。

    オンボーディングが注目される背景・目的

    日本では労働力人口が減少しており、一部の人気のある企業以外は人材確保に苦戦しているというのが現状です。「新入社員がまたすぐ辞めてしまったから、また採用しなければ」と採用活動だけを行っていては、人手不足の根本的な解決にはなりません。

    定着率に着目せず採用を続けている企業は、例えて言えば、大けがをして出血しているのに傷口をふさがないで輸血をしている状態といえます。
    つまり、その状態ではいつまで経っても慢性的な人手不足から抜け出すことはできません。それどころか慢性的な人手不足が続くと、既存の社員は疲弊し、さらに退職者が出てしまう恐れがあります。
    まず大事なのは、傷口をふさぐこと、つまり社員が辞めてしまうことを防ぐため、オンボーディングに取り組むことなのです。

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    オンボーディングによる4つの効果

    オンボーディングを実施することにより、どのような効果を得られるのかを解説します。

    社員のエンゲージメント向上

    エンゲージメントとは「組織と個人が一体となって双方の成長に貢献し合う関係」を意味します。オンボーディングを行うことで、社内において良い人間関係が築かれるようになり、仕事もしやすくなります。自らの成長を感じることで、仕事に対してより前向きな姿勢になっていくでしょう。

    社員のエンゲージメントが高まることで、おのずと組織も成長します。組織が成長していけば、待遇面の向上、仕事面における成長の機会など社員にとってもよい影響が出始めWinWinの関係を築ける好循環が起きます。

    採用コストの削減

    社員が短期間で退職してしまうとそれまでの給料、教育コスト、採用コストなどが無駄になります。また、新たな人材獲得のために採用コスト・工数も発生します。定着率改善に取り組むことで、不要なコストの発生を抑制できます。

    チームの結束力アップ

    まず、新入社員が入社する前の事前準備の段階で、既存メンバーの間で業務に対する考え方や人となりをより深く知る機会が生まれます。

    また、先輩や上司に質問や相談しやすい環境を意識的に醸成していくことで、新入社員とメンバーとの信頼関係が早期に構築されやすくなります。そして、新入社員が一生懸命に働く姿が既存メンバーの刺激になり、チーム内の活性化も期待できます。

    生産効率の向上

    オンボーディングができている企業では新入社員が早く成長し、比較的早く即戦力になっていきます。また前項で述べたようにチームの結束力が強く、お互いに助け合ったり、協力して仕事をしたりということがスムーズにできるので、業務効率もよくなります。

    また、迎え入れる側のメンバーもオンボーディングの準備として「どうすれば効率的に進めることができるのか」「この業務を行うことの背景・目的は何か」などをかみ砕いて考えるため、業務の棚卸による効率化あるいは企業のビジョンやミッション等への理解を深める機会に繋がり、組織全体の生産効率の向上にも効果が期待できます。

    オンボーディングを導入するときの5つのステップ

    実際にオンボーディングをどのように導入すればいいのかを、筆者がコンサルティングで支援を行っている動物病院の新卒の実例を用いて説明します。
    ちなみに、筆者はオンボーディングと言わず、あえて「新人の受け入れ態勢」と言っています。そのほうが、院長やスタッフがイメージしやすいからです。
    それぞれの企業でイメージしやすいキーワードで取り組むとよいでしょう。

    1.準備

    毎年4月に獣医師、動物看護師、トリマーの新卒が入社します。既存のスタッフには、毎年1月からその年の新卒の受け入れ態勢について考えてもらいます。誰を教育担当にするかを決め、新人に何を教えるか、教え方はどうするかなどをスタッフ全員で話し合います。病院によっては、院長にも加わってもらいます。

    大事なのは、既存のスタッフたちが先輩としての自覚を持ち、常に見られていると意識して模範となる行動をすることです。教える側の意識、行動についても話し合ってもらいます。

    2.目標設定

    筆者はスタッフの皆さんに、「新人が育つか否かは入社後の3か月で決まる」と伝えています。
    まず既存のスタッフには、「新人に3か月後にどのような状態になっていてもらいたいか」ということを考えてもらいます。そこから逆算して、1か月目、2か月目、3か月目に教えることを整理し、育成カリキュラムを作成します。

    カリキュラムがあると、「人によって教える順番や言っていることが違う」ということを防げ、どの新人がどのレベルまでできているかも把握しやすくなります。

    3.原案作成

    オンボーディングの原案としてオリエンテーション、入社3ヵ月後の理想像、新人の教育カリキュラム、教育担当者の選任などを考えます。

    入社から教育までの一連の流れを作ること自体も大事ですが、受け入れ側の育成のスタンスや教え方を全員で考え、共通認識を持つことがオンボーディングを行うにあたって重要なポイントとなります。

    4.実行

    オンボーディングを行っていくとスムーズに進むこともありますが、思ったとおりの結果にならないこともあります。実行していく中で何か問題や、課題が出てきた時には都度メンバーで考え、解決もしくは改善していくことが必要となります。

    まず関係者とオンボーディングの目的と役割について認識を合わせます。進めていく中で、予想通りに進まないことも出てきますが、都度メンバーと問題を共有し、解決をはかりましょう。
    オンボーディング対象者の疑問や不安に気づき、早めに解決に取り組むことで離職防止にもつながります。

    5.見直し

    とある病院では、1年目のスタッフに「自分達が教わっていたときはどのような点がよく、さらにどう改善するとよりよいのか」を話してもらい、それを基に翌年のプランをバージョンアップさせています。

    オンボーディングは作ったら終わりではなく、毎年試行錯誤をしながら取り組んでいくことで、自社独自の良い制度が築かれていくのです。

    まとめ

    これからは少子高齢化がより顕著になり、労働力人口が減少してきます。そして働く人の価値観も多様化してきています。既に企業は人材を選ぶ側から選ばれる側へと変わってきていることから人材を採用できる会社とできない会社の二極化が進むことが予想されます。

    さらに、離職率が高い会社と、離職率が低く定着率が高い会社の二極化も進むでしょう。人材の定着、そして事業の成長のためにも、オンボーディングに取り組むことは必須といえるのではないでしょうか。

    本コラムで取り上げている企業課題に関するご相談や、弊社サービスに関するご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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    著者プロフィール

    野崎大輔(組織人材開発コンサルタント

    グラウンドワーク・パートナーズ株式会社 代表取締役  組織人材開発コンサルタントとして企業の組織作り、人材育成で支援した企業は社員の定着率が向上し、組織拡大に貢献した実績を多く持つ。一方で特定社会保険労務士としての一面も持ち、問題社員対応を専門とした人的リスクマネジメントにも精通している。 著書に「ハラ・ハラ社員が会社を潰す」(講談社+α新書)があり、テレビ出演、取材などのメディア実績も多数

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