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増加する叱れない上司 部下への正しい叱り方

掲載日2019年10月21日

最終更新日2024年5月20日

増加する叱れない上司 部下への正しい叱り方

目次

シリーズ:
心理学と脳科学から解き明かす 部下の本来の力を引き出す指導法


部下への指導法は「気合と根性」だけでどうにかなるものではありません。
本コラムでは、個人個人が本来持っている力を引き出すための指導法について、心理学と脳科学のフレームを用いながら4回にわたって解説します。


第1回 「守りに入っている?変化を恐れる社員への処方箋
第2回 「増加する叱れない上司 部下への正しい叱り方」
第3回 「部下の成長を促すために上司が行うべき行動とは
第4回 「仕事への好循環をもたらす部下とのコミュニケーション方法

叱れない上司が増加する理由とは

「背中を見て覚える」というマネジメントが当たり前であったひと昔前の時代と比較し、今の若手世代は上司に対して「丁寧な指導」を求める傾向があります。

上司は叱り方ひとつにおいても気を使わなければなりません。個性が重要視される時代、叱るときであってもそれぞれの個性にあわせた指導が求められます。

「厳しく注意しすぎると嫌われてしまうのでは?」という恐怖心や、「パワーハラスメント(パワハラ)」と捉えられてしまうリスク、採用難のなか退職されてしまうリスクなどから、「叱れない上司」が増加しています。

部下を育てる正しい叱り方とは

「正しい叱り方」とはどういうものなのでしょうか。叱る理由や目的、叱ることによる上司と部下双方にとってのメリットを踏まえて解説します。

「怒る」と「叱る」の違い

「叱る」と比較される言葉に「怒る」という言葉があります。

「怒る」ということは瞬間的・感情的なもので、自分の感情の高ぶりやイライラを相手にぶつけることが目的です。結果として相手を傷つけたり怯えさせたりして、互いの信頼関係は悪化する可能性があります。

一方で「叱る」ということは理性的・論理的なもので、相手のことを考え、相手の行動をより良い方向に変えることが目的です。その結果として相手との信頼関係はより強くなる可能性があります。部下を叱ることは、本来は部下の行動を修正し成長を促進させるために行うことであり、信頼関係が強くなっていくべきことなのです。

怒る 叱る
目的 自分の感情を相手にぶつける 相手の行動をより良くする
視点 自分のために自分が言いたいこと 相手のために相手に伝わること
結果 問題解決に近づかない
信頼関係は強くならない
問題解決に近づく
信頼関係は強くなる

叱ることのメリット

上司にとっての「叱る」ことのメリットとは部下の成長にほかなりません。正しい叱り方ができていれば、結果として部下との信頼関係の構築にもつながっていきます。

一方で、部下にとっての「叱られる」ことのメリットとは、自分の足りない部分や改善すべき部分に気づき、行動の変化や成長する機会につながることです。

このように正しい叱り方とは、部下の成長を考え部下が行動を改善していくことが目的のため、叱る側にも「叱るスキル」が必要です。この叱るスキルについては後の章で解説します。

ネガティブな情報をどう伝えるか

「反発されたり、嫌われたりするのでは?」「パワハラだと思われるのでは?」と躊躇せず、部下に現状を正しく受け入れてもらうためには、どのような伝え方をするべきなのでしょうか。
本資料にて部下の行動改善を促す「ネガティブフィードバック」について解説しています。

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叱らないことがパワハラになることも

先述した「パワハラが怖いので叱れない/波風を立てないようにそっとしておく」ことが、パワハラに該当するリスクがあるというのはどういうことでしょうか。
パワハラの定義と類型をおさらいしてみましょう。

パワーハラスメントとは

パワーハラスメントの定義

同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為。

パワーハラスメントの6類型

  1. 身体的な攻撃:暴行・傷害
  2. 精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
  3. 人間関係からの切り離し:隔離・仲間外し・無視
  4. 過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
  5. 過小な要求:業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  6. 個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること

出典:「職場のパワーハラスメントについて」(厚生労働省)外部リンク

部下を叱りたくないので放置することは、上記6類型の3.人間関係からの切り離し5.過小な要求に該当する可能性があります。

2019年5月に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」が成立。これらはパワハラ防止法、パワハラ関連法案などとも呼ばれ、2020年6月1日から大企業で義務化、2022年 4月1日から中小企業で義務化されました。

法対応はもちろんのこと、きちんと指導する基準と伝え方を理解するためにも、上記の定義と類型は押さえておきましょう。

パワハラが起きる背景の考察および、これから取り組むべき対策について動画で解説したセミナー「法令順守だけでは根絶できない!?パワハラが起きにくい職場のつくり方」を公開中です。こちらもぜひご覧ください。

動画セミナー:「法令順守だけでは根絶できない!?
パワハラが起きにくい職場のつくり方」を見る
外部リンク

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部下の叱り方(スキル)を身につける方法

「叱るメリット」「叱らないデメリット」を理解できたら、次は「叱り方(スキル)」です。

対応における論理構成は、下記のとおりです。

1 対象者本人は、どうなりたいのか(WILL)

ここが一番のポイントです。

会社の要望を伝える前に、対象者本人の希望を一旦吐き出させます。上司が誠実な傾聴の姿勢を示し、本人が安心して本音が吐き出せると「カタルシス効果(気持ちを発信して落ち着く)」と「親密化効果(聴いてくれた人に親近感を抱く)」が発揮され、その後のコミュニケーションの質が高くなります。

また、上司が対象者の希望や将来像を把握することで、指導・育成・目標も適切に設定しやすくなります。

2 上司としては、どうなって欲しいのか(MUST)

対象者に対する「期待・役割」を明確に言語化します。

数字だけではなく組織の中で期待したい役割や、こうあって欲しいという人材像も含めて伝えます。ローパフォーマー対応の相談にこられる企業のなかには、上司側・人事側がこれを明確にできていないケースがよく見受けられます。

3 双方の期待を満たすゴール設定(GOAL)

対象者本人と会社の見解・期待・目標がすれ違っている場合が多いため、双方のすり合わせをきちんと行います。

4 ゴールと現状のギャップは?埋める行動は?(CAN)

上司と対象者で、刷り合わせたゴールと現状のギャップを知り、達成するための具体的な行動を考えていきます。「実現可能」で「計測可能」な行動をしっかり話し合って合意します。

重要なのは、「気合」と「根性」を強制しないこと。

パフォーマンスの高い社員は自発的に気合や根性を発揮している場合が多いですし、そうでなくとも強制するのは逆効果です。まずは「誠意」と「論理」で向き合うことが、特に重要です。

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部下の成長を促す一工夫とは

前章では叱り方(スキル)について解説しましたが、ここでは叱る際に「工夫」するポイントについて解説します。叱る目的は「部下の成長を促すこと」であることを前提に押さえておきましょう。

叱るタイミングと場所を考慮する

「叱ること」は上司にとってもパワーが必要ですが、部下にとっても耳の痛い話は聞きたくないという思いがあります。それによって心理的な拒否反応を起こされてしまっては、せっかくの部下を思う言葉も響きません。部下が落ち込んだり、ショックを受けたりすることがないように「叱るタイミングと場所」は最大限考慮する必要があります。

例えば人前で大きな声で叱られてしまうと、部下は面目もつぶれ、羞恥心も感じてしまいます。その結果、必要以上に落ち込んで自分を卑下したり、言われたことを素直に受け取れなかったりなどマイナスの効果につながる恐れがあります。

また、叱るべきことから時間が経ってからの指摘も効果がありません。記憶が薄れていることに対して叱られても部下はピンとこないため、行動改善などを目的とする場合はその場で指摘する、またはできるだけ時間を空けずに叱ることが重要です。

ほめるべき点もセットで伝える

人は誰しも自分へのマイナスな指摘は受け入れにくい傾向があるため、プラスの指摘もセットにするとよいでしょう。

例えば、サンドイッチ話法と呼ばれる「叱る」前後に「褒める」ことを挟み「褒める」→「叱る」→「褒める」という流れをとることは、マイナスの指摘に対しての部下の忌避的な感情を和らげ、指摘を受け入れられやすくします。

サンドイッチ話法の具体例として、「さきほどのお客様への発言は失礼にあたるので変えたほうがいいね」と指摘するよりも、「いつも丁寧なお客様の対応をしているのは知っているのだけど(褒める)、先ほどのお客様への発言は失礼にあたるので変えたほうがいいね(叱る)。普段の君ならそんな言い方はしないはずだよ(褒める)」という流れで指摘するほうが、部下も素直に受け入れられるでしょう。

最後はしっかりとフォローを行う

叱ることがどのような影響を部下に及ぼしたか、その後の部下の様子を注意して見ることも重要です。

必要以上に落ち込んでいたり、動揺してミスが増えていたりした場合は、その後の適切なフォローが必要です。叱られたことを部下が前向きにとらえ、それによって部下の行動が変わり、成長促進につなげることが重要です。

また、上司と部下の信頼関係がない中で叱られても、よい効果をもたらしにくいため、日頃からコミュニケーションをとり、部下が上司に見守られていると安心感のある状況を作ることが大事です。

叱る前も叱った後も適切にコミュニケーションをとっていれば、叱ることを恐れる必要はありません。

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まとめ

変化の激しい時代に会社や部署を成長させていくためには、上司の考えや仕事の進め方を一方的に押し付けるのではなく、メンバー一人ひとりが主体性をもって意見やアイデアを出せる組織にしていく必要があります。そのような頼もしいメンバーに部下を育てていくためにも「正しい叱り方」は上司にとって重要なスキルです。正しい叱り方とそのスキルを身につけることで、部下だけでなく自分自身の成長にもつなげていきましょう。

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シリーズ:
心理学と脳科学から解き明かす 部下の本来の力を引き出す指導法

第1回 「守りに入っている?変化を恐れる社員への処方箋
第2回 「増加する叱れない上司 部下への正しい叱り方」
第3回 「部下の成長を促すために上司が行うべき行動とは
第4回 「仕事への好循環をもたらす部下とのコミュニケーション方法

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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