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派遣契約を更新しない場合の手順とは?|派遣先が知っておくべき法律も解説

掲載日2026年2月10日

最終更新日2026年2月12日

派遣契約を更新しない場合の手順とは?|派遣先が知っておくべき法律も解説

目次

派遣先が講ずべき措置とは?13の指針について解説

派遣法では、派遣社員が安心して働けるよう、派遣先企業に守るべきルール(派遣先の講ずべき措置)を定めています。 本書では、その指針を法律用語ではなく、わかりやすい言葉で解説しています。

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派遣社員の契約を更新しない判断は、派遣先企業にとって慎重な対応が求められる場面です。

契約更新をしない場合、派遣先は適切な手続きと正当な理由を備えなければ、法的トラブルや損害賠償のリスクを抱えることになります。

リスクを避け、円満に契約終了としたい場合、正しい法的知識と適切な実務フローを理解しておくことが必要です。

本記事では、派遣契約の更新をしない場合に企業担当者が知っておくべき実務対応や法的ルールについて解説します。

派遣契約終了に関する実務対応の流れ

派遣契約終了に関する実務対応の流れ

派遣契約を更新しないと決めた場合、派遣先は派遣会社に対して、最低でも契約満了日の30日以上前にその旨を伝えることが必要です。

これは派遣会社が派遣社員に対して、契約終了の予告を30日前までにおこなう必要があるためです。また、派遣社員が次の仕事を探す期間を確保するためにも、早期に伝えることが望ましいです。

ここでは、トラブルなく契約を終了させるための具体的な実務フローを以下の4つのステップで解説します。

  1. 契約途中か満了時かを確認
  2. 正当性の確認
  3. 派遣会社への連絡
  4. 終了に向けての引き継ぎ準備・業務整理

1.契約途中か満了時かを確認

契約を終了の手続きに入る前に、まず今回のケースが「契約期間満了による終了」なのか「契約期間途中での解除」なのかを確認します。

契約状況によって取るべき対応や法的な要件が大きく異なるため、契約書を正確に把握しましょう。

満了時(雇止め)

契約期間の満了をもって有期労働契約を終了することを「雇止め」といいます。

派遣会社は、以下のいずれかの条件の派遣社員に対して、契約終了の予告を30日前までに本人へ伝える義務を負っています。

  • 契約更新が3回以上
  • 継続雇用期間が1年を超える

派遣先は、派遣会社が予告期間を確保できるよう、契約満了日の1ヶ月以上前には通知しましょう。

中途解除

契約期間の途中で派遣先の都合により契約を終了することを「中途解除」と呼びます。中途解除は、やむを得ない事情がある場合を除き、原則として認められていません

もし中途解除が避けられない場合には、派遣先は派遣会社と十分な猶予をもって協議し、派遣社員の雇用安定に配慮した対応が求められます。たとえば、派遣会社による別案件の紹介が進められるよう、可能な範囲で協力する姿勢を示すことが重要です。

派遣先として就業機会の斡旋ができない場合は、最低でも30日前までに派遣会社へ予告する必要があります。これは、派遣会社が派遣社員に対して30日前までに解雇予告等を行う義務を負っているためです。


そのため、派遣先からの中途解除の申し出が30日前の場合、実務上は対応が間に合わず、極めて遅い対応となります。中途解除を検討する際は、30日前を目安とせず、それ以前の早い段階で派遣会社へ相談することが前提です。

30日前に予告ができない場合、派遣先は派遣会社に対して次のような損害賠償を支払う可能性があります。

  • 派遣会社が派遣社員に支払うべき解雇予告手当に相当する額の負担
  • 休業手当が発生した場合、休業手当相当額以上の額の負担

これらの損害賠償については、厚生労働省が定めている「派遣先が講ずべき措置に関する指針」にも記載がされています。

中途解除は期間満了による終了よりも正当性の基準が厳しく判断される傾向にあるため、慎重な対応が必要です。

参考:派遣先が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省 外部リンク

2.正当性の確認

契約を更新しない判断をする前に、その理由に客観的な正当性があるかを必ず確認してください。

厚生労働省が示している正当な理由の例は以下のとおりです。

  • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
  • 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため
  • 担当していた業務が終了・中止したため
  • 事業縮小のため
  • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
  • 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため

引用:雇止めの予告、雇止めの理由の明示、契約期間についての配慮(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)|厚生労働省 外部リンク

上記の理由は、主に派遣会社が派遣社員を雇止めする際に必要となる正当な理由です。

派遣先都合での終了がこれらの理由にもとづかない場合、派遣会社での雇止めが難しくなり、損害賠償請求などのトラブルに発展する可能性があります。

とくに、能力不足や勤務態度不良を理由とする場合は、具体的な事実や記録を準備しておくことが重要です。

3.派遣会社への連絡

派遣契約を更新しないことを検討し始めたら、速やかに派遣会社の担当者へその旨を連絡します。

法的な予告義務は派遣会社が負うものですが、派遣先としては派遣会社が適切に対応できる期間を確保するため、契約満了日の1ヶ月以上前、理想的には2ヶ月前までに通知することが望ましいです。

後のトラブルを防ぐため、更新しない理由は客観的な事実にもとづいて説明することが極めて重要です。

伝える内容

伝えるべき内容は、中途解除か満了かによって異なりますので、以下のリストを参考に伝えましょう。

ケース 伝える項目
中途解除の場合
  • 契約を解除する具体的な時期
  • 解除に至ったやむを得ない理由
  • 損害賠償などの補償に関する話し合いの申し入れ
満了により終了する場合
  • 次回の契約を更新しないという明確な意思表示
  • 契約が終了する具体的な日付
  • 更新を見送ることになった理由

派遣会社から派遣社員の評価を求められた際は、個人的な感情ではなく、具体的な理由を添えて客観的事実を伝えることが厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」によって定められています。

業務の遂行状況を理由として更新を見送る場合には、派遣社員個人の能力だけに着目するのではなく、以下の点も含めて確認することが重要です。

  • 業務内容や期待水準が事前に十分共有されていたか
  • 必要な説明があったか
  • 教育、フォローが行われていたか など

そのうえで、どの業務において、どのような点が期待水準に達していなかったのかを、具体的な事例や記録にもとづいて整理し、派遣会社へ共有します。

形式例

更新しない旨の通知は、電話などの口頭連絡だけで済ませるのではなく、必ずメールや書面で記録を残すようにしましょう。

記録が残っていないと、後日トラブルになった際に「いつ通知したか」「どのような理由だったか」を証明することが難しくなるためです。

通知書やメールには、以下の項目を伝えておくとよいでしょう。

  • 対象となる派遣社員名
  • 所属部署
  • 契約終了予定日
  • 終了理由

文例

株式会社〇〇
派遣営業部 〇〇様

いつもお世話になっております。
株式会社△△ 人事部の△△です。

現在ご派遣いただいております以下の派遣社員について、
契約満了をもって更新を見送らせていただきたくご連絡いたします。

【対象派遣社員】
氏名:
所属部署:
契約終了予定日:

【更新を見送る理由】
担当していただいていたプロジェクトが20××年×月末をもって終了するため

貴社におかれましては、派遣社員ご本人への適切なご対応をお願いいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

4.終了に向けての引き継ぎ準備・業務整理

派遣先は、契約期間内に業務を完了させる、または後任者へ適切に引き継ぐよう、業務量の調整やスケジュール管理をおこなう必要があります。

後任者への引き継ぎ資料やマニュアルの作成を指示する場合は、契約期間内の業務として扱い、残業が発生しないよう十分な時間を確保してください。

また、派遣社員に有給休暇が残っている可能性があるため、派遣会社と連携して最終勤務日がいつになるかを確認して、引き継ぎスケジュールを組むようにしましょう。

派遣先が講ずべき措置とは? 13の指針について解説

派遣先に課せられている「派遣先が講ずべき措置」をわかりやすく解説した資料です。

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派遣契約終了に関連する法的ルールの解説

派遣契約終了に関連する法的ルールの解説

派遣契約の終了を検討する場合、関連する法的ルールを理解しておく必要があります。

ここでは、派遣管理担当者が必ず押さえておくべき3つの重要なルールを解説します。

雇止め法理

雇止め法理とは、契約が過去に何度も更新されているなど、実質的に無期契約と同じような状態になっている場合に、社会通念上相当と認められない雇止め(契約の更新拒否)が制限される法律上のルールです。

労働者が「契約が更新されるだろう」と期待することに合理的な理由がある場合も、雇止め法理の適用対象となります。

つまり、長期間にわたって契約更新を繰り返してきた派遣社員について、派遣会社は正当な理由なく突然契約を終了することはできないということです。

過去の更新回数や勤務期間、更新時のやり取りなどを確認し、派遣社員が更新を期待する合理的な理由があるかどうかを慎重に判断する必要があります。

3年ルール

労働者派遣法では、派遣社員が同じ派遣先の同じ事業所・同じ部署で働ける期間は、原則として最長3年までと定められており、これを「3年ルール」と呼びます。

3年の期間制限期間が経過した日の翌日を「抵触日」と呼び、その日が過ぎてしまうと同じ部署でその派遣社員を受け入れ続けることはできません。

そのため、派遣先は3年を迎えるタイミングで、以下の選択肢から派遣社員の今後を選ぶ必要があります。

  • 直接雇用に切り替える
  • 他の部署に異動してもらう
  • 契約を終了する

抵触日を理由として契約が終了する場合は、法律にもとづく制度上の制限によるものであり、派遣先の都合による雇止めとは性質が異なります。

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(派遣先にも適用)

男女雇用機会均等法では、妊娠・出産や育児などを理由とした不利益取扱いを禁止しており、この規定は派遣社員についても派遣先に適用されます。

たとえば、妊娠・出産を理由に契約を更新しない、派遣社員の交代を派遣会社に求める、就業を拒むといった対応は、不利益取扱いに該当する恐れがあります。厚生労働省も、派遣契約に定められた業務を遂行できるにもかかわらず、妊娠を理由として交代や拒否を求める行為を問題例として挙げています。

契約満了という形式であっても、判断理由や経緯が問われる点を理解し、派遣会社と連携しながら慎重に対応しましょう。

派遣社員の受け入れでは、派遣会社任せにできない派遣先の対応が数多く定められています。本資料では、派遣法で求められる「派遣先の講ずべき13の措置」を中心に、期間制限の管理、均衡待遇への対応、派遣先責任者の役割、違反時に生じるリスクまでを確認できます。

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よくあるトラブルと対策

よくあるトラブルと対策

派遣契約の更新見送りに関しては、いくつかの典型的なトラブルが繰り返し発生しています。

ここでは、実務上よく見られる3つのトラブル事例と、それぞれの具体的な対策方法を解説します。

通知が遅れた

派遣先によくあるトラブルとして、通知の遅れが挙げられます。

派遣先から派遣会社への「更新しない」という連絡が遅れると、派遣会社が派遣社員に対して法律で決められた30日前の予告ができなくなります。

この場合、派遣会社は派遣社員に対して解雇予告手当を支払う義務を負い、損害賠償を派遣先に請求してくる可能性があるでしょう。契約終了は、派遣社員への影響が大きいため、可能であれば2ヶ月前などに余裕を持って連絡するようにしましょう。

更新ありと期待させてしまった

派遣先の指揮命令者が「長く働いてほしい」「次は新しいプロジェクトを任せる」などの発言をすると、派遣社員に更新期待権が生じる可能性があります。

更新期待権が認められた場合、合理的な理由のない雇止めが無効と判断されるリスクがあるため注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐには、派遣社員との直接の契約更新権限を持たない派遣先が、安易に継続する発言をしないよう、社内で周知徹底や教育をおこなうことが必要です。

とくに、派遣社員が優秀で業務が円滑に進んでいる場合でも、契約更新の可否については言及を避けるよう、指揮命令者等への教育をおこないましょう。

派遣社員に直接伝えてしまった

派遣社員の雇用主はあくまで派遣会社です。契約の更新や終了を伝える権限も責任も、すべて派遣会社にあります。

もし、派遣先が直接、派遣社員に継続の有無を伝えてしまうと、実質的な雇用関係があるのではないかと疑われ、法的トラブルの原因になる恐れがあるため注意が必要です。

また、口頭であっても契約に関する発言は法的効力を持つ場合があり、後から取り消すことが困難になるケースも考えられます。更新しない意向は必ず派遣会社の担当者へ伝え、派遣会社から派遣社員へ正式に通知してもらうというルートを厳守しましょう。

派遣契約を更新しない際によくある質問

派遣契約を更新しない際によくある質問

ここでは、派遣契約の更新に関してよくある3つの質問に回答します。

派遣社員本人から直接、更新しない理由を聞かれたらどう答えるべきですか?

派遣先が直接、派遣社員に詳細な理由を説明する法的義務はありません。

派遣社員の直接の雇用主はあくまで派遣会社です。トラブル防止の観点からも、公式なやり取りは派遣会社を通しましょう。

もし派遣社員から直接質問された場合は、「契約に関するご質問は、ご所属の派遣会社にお問い合わせください」と丁寧に案内することが適切な対応です。

「雇止め理由証明書」は派遣先が発行するのですか?

「雇止め理由証明書」を発行する義務があるのは、派遣社員の直接の雇用主である派遣会社ですので、派遣先が作成する必要はありません。

ただし、派遣会社は証明書を作成するために、派遣先に対して、具体的な理由を確認してくることがあります。その際、派遣先は客観的で具体的な事実を速やかに派遣会社へ提供できるよう準備しておく必要があります。

更新しない場合、慰謝料や違約金は発生しますか?

契約期間満了による終了の場合、適切な手続きと正当な理由があれば、原則として慰謝料や違約金は発生しません。

一方、契約期間途中での解除(中途解除)の場合は状況が異なります。労働者派遣法にもとづき、やむを得ない事情がない中途解除については、休業手当相当額などの損害賠償を求められる場合があります。

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「派遣先の講ずべき措置」の解説と派遣先がすべきことが一冊に

派遣社員の受け入れにあたり、派遣先企業が講ずべき措置について「13の指針」として整理した実務ガイドです。法令で求められる対応や、職場での適切な運用についてわかりやすく解説しています。

<この資料でわかること>
・ 派遣先が守るべき13の指針の概要
・ 各指針ごとの具体的な対応内容
・ 法令違反を防ぐためのポイント

派遣先の講ずべき措置とは? 13の指針について解説

まとめ

派遣契約を更新しない判断をする際は、まず派遣契約書を再確認することから始めましょう。

契約書に記載されている通知期限や解除条件を正しく把握した上で、派遣社員の勤務状況に関する客観的な記録を整理し、正当な理由を用意することが大切です。

そして何より重要なのは、判断を先送りにせず、できるだけ早い段階で派遣会社の担当者に相談することです。

早めの行動と誠実な対応こそが、派遣社員や派遣会社、そして自社にとって最もリスクの少ない円満な解決へとつながります。本記事で解説した流れと注意点を参考に、トラブルのない円滑な契約終了を実現してください。

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界70カ国・地域にオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。

リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。