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マンパワーグループの採用代行・コンサルティングサービス
採用代行は、限られた採用担当者で採用活動を効率化し、規模を拡大する際に利用されるサービスです。
「担当者が不足していて手が回らない」
「内定者フォロー施策を立案してほしい」
「内定者フォローに注力したいので、事務処理を代行してほしい」
こうした悩みは、採用代行サービスを利用することで解決できる可能性があります。マンパワーグループでは、新卒・中途・パート・アルバイトなど、各雇用形態において採用代行・コンサルティングサービスを提供しております。
内定から入社までの期間、内定者をサポートする「内定者フォロー」は、新卒採用が長期化したことで、ますますその必要性が高まっています。本記事では、新卒採用における内定者フォローの具体策や、失敗しやすい落とし穴などについて解説します。
内定者フォローとは、採用が決定した新卒の内定者が入社するまでの期間に、企業が内定者に向けて実施する各種サポートのことです。
内定者フォローを行う目的や内定通知から入社までの期間などによって、適切な施策は異なります。
それでは、まずなぜ内定者フォローが重要なのか、背景を詳しく見ていきましょう。
近年は新卒採用の通年化や幅広い学年を対象としたオープンカンパニー・インターンシップなど、採用活動が長期化しています。早期選考も盛んで、内定の早期化も目立ちます。そのため、内定の通知から入社までの期間が短い中途採用よりも、新卒採用では内定者フォローの重要性が高くなっているのです。
はるかに長い期間を内定者として過ごす学生に対して、 企業と内定者が良好な関係性を保ち、辞退防止などのために行う活動が、内定者フォローです。
「売り手市場」を背景に、学生は複数の会社から内定をもらうことが珍しくありません。
選考期間の長期化や選択肢が広がった分、「まずは入社しやすそうな会社から確実に内定を得て、さらにその後人気の高い大手企業の採用試験に挑戦する」など、内定辞退を前提とした計画を立てる学生も多くいます。
企業規模や知名度によらず、これまで内定辞退率が非常に低かったという企業でも、想定を超える辞退者が出てしまう課題が起きるようになりました。
さらに、内定辞退をしないことを誓約する内定承諾書や入社意思確認書を提出させた場合でも、職業選択の自由が保障されているため、学生が内定を辞退する権利は変わりません。そして、多くの学生がこのことを一般的な知識として理解しています。
採用活動が長期化ことを踏まえると、企業は内定承諾してから数か月後に辞退が起きる可能性を考慮する必要があります。
「内定を出すまで」の主導権は企業側が握っていますが、「内定を出してから」は学生側に主導権が移ります。学生側が選べる立場にあることを理解しておく必要があるでしょう。
内定者フォローの目的は主に4つに分類されます。
「内定者」とひとくちに言っても、状況や心境は学生によって大きく異なります。例えば、次のようなタイプに分けることができます。
ただ、学生がどのタイプなのかを企業が正確に把握するのは現実的には難しいでしょう。
重要なのは、学生の立場を理解し、入社までの期間に「この会社で本当に良いのか」「4月からの生活がどうなるのか」といった不安を和らげ、企業と内定者の間に信頼関係を築くことです。
内定者の中には、不安が高じて「内定ブルー」と呼ばれる心理状態に陥ることもあります。そのため、内定者が安心して学生生活を終えられるよう配慮することが、フォローの第一歩となります。
仮に学生が内定を辞退することを選んだ場合でも、信頼関係が構築されていれば、以下のような前向きな行動が期待できます。
「迷惑をかけて申し訳ない。一日でも早く連絡しよう」
「さらに行きたい企業の内定を得たので辞退するが、本当に良い対応をしてくれた会社として応援したい」
「最後まで迷った。後輩にはこの会社を就職先として勧めたい」
このような反応を得られれば、企業のイメージ向上や、将来的な取引関係、さらには転職市場での再接点などにつながる可能性があります。
信頼関係を築くことは、内定者フォローの最優先事項です。たとえ辞退する学生がいたとしても、企業の評判やブランド価値を守る重要な役割を果たします。
学生の半数以上が「内定」を得て入社を承諾する内定承諾書を提出した後も、就職活動を続けているという調査結果があります。内定者フォローの最も大きな目的は「内定辞退の防止」です。
調査データ:就活生の約半数が内定承諾後の就職活動を継続。内定承諾後も就活を継続したリアルな理由とは?
前述したとおり、内定辞退者を0に抑えることは現実的な目標ではありません。しかし、採用活動は内定を出した時点で採用活動が終わるわけではなく、内定後のフォローを通じて入社にもっていかなければいけません。
多くの学生は、内定を得た後も複数の企業を比較検討しています。内定後も継続的に企業の魅力を伝え続けなければ、たとえ第一希望だった場合でも、他社に選ばれてしまうリスクがあります。
特に、社会人経験のない学生にとっては、特定の企業が唯一の選択肢であるケースは少ないものです。学生は自身の経験をもとに企業を判断することが難しいため、選考を進める中で心変わりをする可能性が高いことを念頭に置く必要があります。
内定者フォローを通じて、辞退の可能性が高い学生を早期に把握することができます。こうした情報をもとに、追加採用やリスク回避の施策を迅速に講じることで、採用計画全体への影響を最小限に抑えます。
せっかく迎え入れた新入社員がわずかな期間で早期離職してしまうことは、会社にとって大きな損失です。
この早期離職の大きな原因のひとつに「リアリティショック」、つまり入社前に抱いていた、その会社や仕事へのイメージと入社後の「リアル」に大きな乖離があり、そのことにショックを受けてしまうというものがあります。
調査データ:人事担当者に聞いた、新入社員・若手社員の「リアリティショック」の現状と対処法
配属希望の職種やエリアと実際の配属先が異なった、といった大きな違いで受けるショック以上に、「希望通りの配属先なのに、イメージしていた仕事内容と違った」方がむしろ大きなショックを受けるかもしれません。
採用選考中には公開していなかった福利厚生サービスの情報提供やオフィス内への招待など、実際に働く場・毎日の生活・仕事で必要なことなどをイメージできる情報を提供することで「思っていた仕事や社風と違う」というリアリティショックを回避し、早期離職を防止しましょう。
内定者フォローとして具体的にどのような施策があるか、具体的な実施例を紹介します。
内定者フォローで欠かせない施策のひとつが、内定式です。企業規模や地域を問わず開催されることが多く、毎年「10月1日の風物詩」としてテレビのニュースに取り上げられます。また、10月1日以外に6月1日、7月1日頃に「内々定式」を実施するケースもよく見られます。
採用の早期化により、内定出しのタイミングが早かった内定者については、内定者懇親会などの名目で定期的に顔を合わせたりオンラインミーティングを実施したりといった方法もあります。
学生への安心感を与える
学生に正式に内定を伝えることで、自分の進路が確定したという安心感を与えることができます。また、入社意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
企業の一員としての意識を醸成
自分が企業の一員であるという意識を学生に持たせ、社会人になる心構えのきっかけとなります。また、「メンバーのひとりとして歓迎されている」ことも実感できるでしょう。
内定者同士のつながりを促進
内定者同士が顔を合わせることで、入社前から仲間意識を作りやすくなり、入社する動機が強くなる可能性があります。
企業文化や価値観の共有
社長や幹部の挨拶を通じて、会社のビジョンや文化を伝える場になります。
内定式・内定者懇親の注意点
ひとつは、内定式の案内が遅れたり、そもそも内定式が開催されなかったりすると、学生に不安を与える可能性があります。
もうひとつは、対面するために起きてしまう問題です。例えば、以下のような学生の声に配慮する必要があります。
「他の同期入社予定のメンバーと合わない気がした」
「親切だった人事担当者と雰囲気が違う社員が出てきて戸惑った」
「形式的で歓迎されている感じを受けなかった」
これらのマイナス印象を防ぐためには、イベントの事前準備や参加社員への協力と理解、注意点の説明などを行い、学生に一貫してポジティブな体験を提供することを心がけましょう。
「内定と電話で伝えられた後、何も連絡がないが本当に私は内定者なのか不安」
「親切だった人事担当者と雰囲気が違う社員が出てきて戸惑った」
「形式的で歓迎されている感じを受けなかった」
など、連絡の頻度について不安を感じる学生も少なくありません。
定期的なコミュニケーションは、このような不安を払しょくするために有効です。
とはいえ、毎日・毎週のような頻度で連絡する必要はありません。学生に負荷のかからない連絡方法として、ホームページの更新情報をメール配信したり、社内に配布する社内報を送付したりなどの方法もあります。
「入社後、先輩社員や上司とスムーズに打ち解けられるか不安」
「本当に社風が合っているか、いまひとつ確信が持てない」
こうした学生の不安を解消するのに効果的なのが、採用担当者以外の社員との交流です。
入社後に日常的に関わることになる配属予定部署の年次の近い先輩社員やメンター候補との交流の場を設けることで、学生の不安を軽減し、安心感を与えることができます。
交流の場は、形式や内容を工夫し、タイミングや目的に応じて設計することが重要です。
カジュアルな場で気軽に話せる機会
→社員や内定者同士でゲームや雑談を通じて親睦を深めるイベントを開催する
1対1でじっくり話を聞ける機会
社員が内定者の不安や疑問に丁寧に答え、より深い理解を得る場を作る
さらに、普段は学生が接点を持つことが少ない経営者や役員と直接会話できる場を設けることも有効です。全社を挙げて内定者を歓迎している姿勢が伝わることで、学生に企業への信頼感や期待感を与えることができます。
「社会人として少しでも早く戦力になりたいと考えている」
「会社が新入社員として期待を寄せ、社員教育に投資をしようとしてくれている証だと思う」
こうしたやる気あふれる内定者のニーズに応えるのが、内定者向け研修や勉強会の開催です。
推奨される資格取得などの通信講座や語学力向上、業界新聞や社会人マナーを学べる本の提供など、様々な選択肢があり、人事採用担当者の負荷が小さいこともメリットです。
ただし、開催日数や勉強会への過度の強制をしないよう、十分な配慮が必要です。
このような点に配慮してプログラムを組むことで、学生に過度な負荷をかけることなく実施できます。
意欲の高い内定者は、内定者同士でSNS等を通じてコミュニケーションを図ろうとする場合があります。しかし、企業の管理外で行われるこうした交流は、誤解やトラブルを引き起こすリスクも伴います。
コミュニケーション自体を禁止するよりも、企業が公式にコミュニケーションの場を提供し、内定者フォローに繋げる方がリスク管理に取り組みやすくなります。
近年では、内定者同士が個人情報を公開することなく安心して交流できる「内定者向けオンラインプラットフォーム」が増加しています。これらのプラットフォームでは、以下のような機能が提供されています。
内定者同士の交流支援
個人情報を開示せずに気軽に会話や意見交換ができる掲示板などで、コミュニティを構築できる
採用担当者や先輩社員への質問機能
採用担当者や先輩社員に質問ができる、個別相談はメール機能を使うなどで手軽に利用できるようにする
研修・勉強会のサポート
内定者研修や課題の配信、進捗管理機能などがあり、内定者が多い場合などは工数を大幅に削減できる
オンラインイベントの記録
オンライン懇親会や勉強会を自動録画する機能で、参加できなかった学生もフォロー可能となる
進捗管理ができたりする機能やログイン履歴が確認できるなど、内定者フォローの手間を軽減しつつ、内定者同士のコミュニケーションを促進できます。
商品発表会や展示会、株主説明会などの対外イベントの見学や、社員運動会やお花見といった社員同士の懇親を深める社内イベントなどに招待することで、内定式など学生が主体のイベントとは違った社内の雰囲気を感じ取ってもらうことができます。
マンパワーグループの調査でもオフィス見学などは、効果が高いと多くの人事担当者が感じているようです。
調査データ:内定者フォローの施策TOPは「オフィスや現場の見学会」。効果のある施策や人事担当者が抱える課題とは?
開催できる機会は少ないため、不参加でも不利益はないこと、あくまで見学であり無理に都合をつける必要はないことなどはしっかり伝えた上で案内しましょう。
流通小売・飲食・介護・物流・教育業界など、もともと業務でアルバイトやパート、契約社員を多数抱える業界、また比較的商品知識の習得が難しくない業界の営業職などで、入社までの期間、内定者アルバイトを経験してもらうことも内定者フォロー施策です。
ただし、業務として従事させる以上、最低賃金・社会保険なども対応したうえで正当な賃金の支払いと契約を交わすことが必ず必要です。「内定者研修」等の名称で無償労働を課すようなことがあってはなりません。
さらに、内定者アルバイトの業務が忙しくて卒業論文が間に合わず、単位が取得できなかったなどということがあっては本末転倒です。内定者本人が希望したとしても、過度な就労時間にならないよう採用担当者がコントロールし、定期的に配属現場に確認に行くなどの配慮が必要です。
マンパワーグループの新卒採用支援
マンパワーグループでは、新卒採用の事務代行からコンサルティング、内定者フォローなどを提供しています。詳しくは下記の資料をご覧ください。
新卒採用成功のために重要な内定者フォローですが、その施策の内容によってはかえって内定辞退を引き起こしてしまう要因となったり、無駄な時間・経費を浪費することに繋がったりする可能性もあります。
内定者フォローを実施するうえで、検討しておきたいリスク要因とその回避方法について解説します。
過度な干渉は学生から敬遠される要因です。注意点を挙げてみます。
SNSで入社前から内定者同士繋がれることや、他社の内定者フォロー状況をネットや実際の情報で知ることができることから、このような内定者フォローを実施する会社に対して「いわゆるブラック企業ではないか」と逆に不安を抱かせる可能性が高まります。
内定者によって「過度」と感じる連絡の頻度は異なりますが、返信が必要な連絡は日時に十分な余裕を持たせること(目安:1カ月)を意識してください。
内定者フォローの施策を検討する際、企業側の都合や利益だけを基準にしていないでしょうか?
学生にとって、内定者フォローが本当に有益なものとなっているかを確認することが重要です。そのためには、学生目線に立った評価や意見を取り入れることが欠かせません。
その手段の一つが内定辞退者アンケートです。内定辞退者アンケートでは、内定辞退の理由や内定先企業についてのヒアリングを行うことが一般的ですが、アンケートの設問や実施方法によって、得られる回答内容や「本音」の深さが大きく変わります。
<一例>
さらに、入社に至った内定者へのアンケートやインタビューも実施し、内定者フォローがどのように役立ったかを把握しましょう。入社後の視点から得られる意見は、フォロー施策の改善にとって非常に貴重です。
また、他社の内定者フォロー施策を調査し、自社の取り組みと比較することも効果的です。他社が実施している独自のアイデアや成功事例を参考に、施策をブラッシュアップする機会を定期的に設けることで、学生にとってより魅力的な取り組みとなります。
内定者フォローを計画・実施する際、企業内部だけでは十分なリソースやノウハウを確保するのが難しい場合もあります。特に、内定辞退率の改善やフォロー施策のブラッシュアップを求められる状況では、採用コンサルティングや採用代行サービスの活用が効果的です。
採用コンサルティングサービスでは、専門家が自社の内定者フォロー施策を総合的に分析し、具体的な改善提案を行います。
経験豊富な専門家の意見を取り入れることで、採用活動全体の質を向上させることができます。
採用代行サービスは、内定者フォローを含む採用プロセス全般を外部の専門チームが支援するサービスです。
企業の負担を軽減しながら、高品質なフォロー施策を実現できます。特に、限られたリソースの中で効率的にフォロー施策を展開したい企業にとって最適な選択肢です。
内定辞退者への調査を行うことで、内定者フォローをさらに良いものに改善するヒントが得られます。また、内定者フォローには問題がなく、別の課題(採用プロセスや企業の魅力付けなど)が見えてくる場合もあります。
第三者が実施するインタビューやアンケートのメリットは、学生が率直かつ客観的な意見を述べやすくなる点です。希望があれば、自社の社員としてインタビューやアンケート調査を行うことも可能です。
これらの取り組みを通じて、内定辞退率の改善だけでなく、採用活動全体の質の向上も期待できます。
内定者フォローは新卒採用を成功に導くための重要な、最後のフェーズです。学生一人ひとりの状況を見極め、タイミングに合わせたコミュニケーションをとることが求められます。
また、内定者フォローの時期は、翌年度以降の新卒採用の情報発信時期、インターンシップ時期とも重なり、採用担当者の忙しさは年々増す一方です。社内の協力や外部サービスなどをうまく取り入れながら、効果的に内定者フォローを行っていきましょう。
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