
ジョブ型雇用の導入前に整えておくべき6つの施策とは
総合人材サービスのマンパワーグループ
採用
掲載日2021年8月17日
最終更新日2022年5月 9日
目次
雇用関係の助成金の中でも利用される機会の多いものにキャリアアップ助成金があります。パートタイマーや契約社員のキャリアアップをイメージしがちですが、派遣社員が派遣先に直接雇用される場合も、キャリアアップのひとつとして対象となります。今回は、派遣社員も対象となるキャリアアップ助成金について解説します。
「派遣先の講ずべき措置に関する指針」では派遣期間に制限を設けている一方で、一定の条件を満たした派遣社員を雇用する努力義務や社員募集情報の周知義務を設けています。どのような条件なのか、雇用の努力義務以外に定められていることはどのようなことか、詳しく知りたい方は下記をダウンロードください。
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主(会社)に対して助成金を支給する制度です。次の7つのコースが用意されています。
7つのうち、もっとも多く利用されているのが正社員化コースです。正社員化コースは、次の3つのケースにおいて支給対象となります。
例えば、派遣元(派遣会社)で1年間の有期契約で派遣されていた派遣社員を、派遣先で正社員として雇い入れる場合はAに当たります。
キャリアアップ助成金の対象となるにはいくつか要件があります。その中の一つに、正社員化等の際に"賃金を「5%」以上増額する"という要件がありましたが、令和3年4月1日からはこれが「3%」に縮小されました。ただし、以前は「賞与を含めて」増額の判断をすることができましたが、今後は「賞与を含めず」に判断をするよう変更されているため注意が必要です。
また、これまでも「勤務地限定正社員」または「職務限定正社員」を新たに規定して直接雇用等を行った場合について加算措置がありましたが(1事業所当たり1回のみ)、その加算対象に「短時間正社員」も追加されました(以下、「勤務地限定正社員」「職務限定正社員」「短時間正社員」をまとめて「多様な正社員」といいます)。多様な働き方が求められる時代になっていることを考えると、選択肢が増えるのはよいことと言えるでしょう。
正社員化コースは、正社員化等を行った人数に応じて、一人当たり下記の助成金が原則として支給されます。
また、下記の条件を満たした場合にはそれぞれ加算措置があります。
なお、令和2年(2020年)1月24日以降に新型コロナウイルスの影響により離職して就労経験のない職業に就くことを希望する人が、紹介予定派遣の後に派遣先で正社員として直接雇用された場合は、派遣期間が2カ月以上でも支給対象とする暫定措置が、令和4年(2022年)3月31日まで認められています。
派遣社員を正社員として自社で直接雇用する場合は1.に該当し、2.3.に該当しなければ、一人当たり下記の助成金が支給されることになります。
※無期雇用として直接雇用する場合は、派遣社員の加算はありません
さらに、生産性要件に該当した場合には加算が行われます。
生産性要件とは、生産性向上の取り組みを支援するために設けられた制度で、要件に該当すると助成金が割増されます。
生産性=付加価値÷雇用保険被保険者数
から計算され、生産性が3年度前に比べて6%以上伸びているか、1%以上伸びていて金融機関から「事業性評価」を得ている場合に割増の対象となります。
生産性要件の詳細や計算については厚生労働省のこちらのページをご確認ください。
正社員化コースは、1年度1事業所当たり20人分まで支給されます。
生産性要件に該当し、派遣社員を正社員として直接雇用した場合は、最大2,160万円が支給されることになります。(母子家庭等その他の加算措置は別途加算されます)
派遣社員を直接雇用する場合に支給対象となる事業主の主な要件です。
また、対象となる社員にも要件があるので確認しておきましょう。
ここでは主な要件を紹介しましたが、ほかにも必要な要件はあるため詳細はいずれも厚生労働省のHPやパンフレットで確認してください。
支給要件を満たしている場合でも、過去に労働保険料の滞納がある場合や、過去1年間に労働関係法令に違反している場合、キャリアアップ助成金は受給できません。例えば、未払いの残業代があったり、違法な長時間労働があったりすると支給されません。
また、派遣社員の場合は、派遣対象外となる業務への派遣、二重派遣など、違法派遣である場合も支給対象外となりますので注意してください。
正社員コースの受給までの大まかな流れは次の通りです。
キャリアアップ計画の作成においては、「キャリアアップ管理者」を選任しなければなりません。社長がキャリアアップ管理者になることもできるので、比較的小さな規模の会社でも対応は可能でしょう。
支給申請の際は多くの書類添付が求められます。出勤簿(タイムカード)や賃金台帳などの法定帳簿のほか、派遣社員の場合は直接雇用前の労働者派遣契約書や派遣先管理台帳などの書類も併せて添付する必要があるので、忘れずに保管しておきましょう。
助成金は要件にひとつでも該当しないと原則として支給されません。ここでは、助成金が不支給にならないための主な2つの注意点をお伝えします。
直接雇用を行う「前」に、就業規則等に直接雇用制度に関する規定が必要です。改定日なども確認されるため必ずチェックしておきましょう。
また、直接雇用制度については「手続」「要件」「採用時期」が明示されていて、正社員化した社員がそれに当てはまらないと対象にはならないため注意しましょう。
以下の賃金を除いた総額で比較されるため、あらかじめ把握しておきましょう。
キャリアアップ助成金は、支給額や支給要件の変更を繰り返しながら、長期間にわたって活用されてきました。それだけ支給対象となる会社が多かったと言えるでしょう。添付書類等は多いものの、きちんと法律や制度に従って雇用管理を行えば、決して受給が難しい助成金ではありません。派遣社員を正社員として直接雇用する際にはぜひ活用してみてください。
※準備をする際には、必ず厚生労働省のHPやパンフレットをよく確認しましょう。
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