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【キャリアアップ助成金】派遣社員の直接雇用も対象となる助成金

掲載日2021年8月17日

最終更新日2023年11月27日

【キャリアアップ助成金】派遣社員の直接雇用も対象となる助成金

目次

雇用関係の助成金の中でも利用される機会の多いものにキャリアアップ助成金があります。パートタイマーや契約社員のキャリアアップをイメージしがちですが、派遣社員が派遣先に直接雇用される場合も、キャリアアップのひとつとして対象となります。今回は、派遣社員も対象となるキャリアアップ助成金について解説します。

派遣先企業には派遣社員を雇用する努力義務があります

「派遣先の講ずべき措置に関する指針」では派遣期間に制限を設けている一方で、一定の条件を満たした派遣社員を雇用する努力義務や社員募集情報の周知義務を設けています。どのような条件なのか、雇用の努力義務以外に定められていることはどのようなことか、詳しく知りたい方は下記をダウンロードください。

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キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主(会社)に対して助成金を支給する制度です。次の7つのコースが用意されています。

    1. 正社員化コース
    2. 障害者正社員化コース
    3. 賃金規定等改定コース
    4. 賃金規定等共通化コース
    5. 賞与・退職金制度導入コース
    6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース(※2022年9月30日に廃止)
    7. 短時間労働者労働時間延長コース

7つのうち、もっとも多く利用されているのが正社員化コースです。正社員化コースは、次の3つのケースにおいて支給対象となります。

A:有期社員 → 正社員
B:無期社員 → 正社員

例えば、派遣元(派遣会社)で1年間の有期契約で派遣されていた派遣社員を、派遣先で正社員として雇い入れる場合はAに当たります。

令和3年度(2021年)4月1日からの要件緩和

キャリアアップ助成金の対象となるにはいくつか要件があります。その中の一つに、正社員化等の際に"賃金を「5%」以上増額する"という要件がありましたが、令和341日からはこれが「3%」に縮小されました。ただし、以前は「賞与を含めて」増額の判断をすることができましたが、今後は「賞与を含めず」に判断をするよう変更されているため注意が必要です。

また、これまでも「勤務地限定正社員」または「職務限定正社員」を新たに規定して直接雇用等を行った場合について加算措置がありましたが(1事業所当たり1回のみ)、その加算対象に「短時間正社員」も追加されました(以下、「勤務地限定正社員」「職務限定正社員」「短時間正社員」をまとめて「多様な正社員」といいます)。多様な働き方が求められる時代になっていることを考えると、選択肢が増えるのはよいことと言えるでしょう。

【2022年4月変更】正社員化コースの変更点は?

2022年4月1日の改正では、正社員化コースについて有期社員から無期社員への転換における助成が廃止されました。これまでは「有期→無期」「無期→正社員」への転換ごとにそれぞれ助成金の受給が可能でしたが、今後「有期」からの転換は、「正社員」へ転換を行わないと助成金の対象とはならないことから、少しハードルが高くなります。ただし、派遣社員に関しては以前から「有期→無期」は助成金の対象とはされていなかったため、今回の変更について影響はありません。

一方で拡充された点もあります。これまでも、人材開発支援助成金における特定の訓練の修了後に正社員化した場合に助成金が加算される措置がありましたが、今回の改正でその対象に「人への投資促進コース」も追加されることになりました。派遣社員の直接雇用については、そのうち「①定額制訓練」「②高度デジタル人材訓練」「③長期教育訓練休暇等制度」の3つの訓練メニューが対象となります。

なお、2022年10月1日以降は対象となる社員の定義が以下のように変更されるため、助成金を受給するためには変更後の定義に該当している必要があります。たとえば2022年10月1日付けで有期社員を正社員に転換する場合は、少なくとも2022年4月1日以前から下記の定義に当てはまる有期社員(非正規労働者)でなければなりません。2022年8月1日に定義に該当する就業規則を施行した場合、定義に該当するには2023年2月1日以降に転換する必要があります。

正社員の定義                                                      

2022年3月まで 2022年4月の変更
同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用される労働者

同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用される労働者。
ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る

非正規労働者の定義

2022年3月まで 2022年4月の変更
6か月以上雇用している有期または無期雇用労働者

賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者

キャリアップ助成金の支給額

正社員化コースは、正社員化等を行った人数に応じて、一人当たり下記の助成金が原則として支給されます。                                                      

中小企業の場合 大企業の場合
有期社員 ⇒ 正社員 57万円 42万7,500円
無期社員 ⇒ 正社員 28万5,000円 21万3,750円

特定の条件を満たすことでの加算

また、下記の条件を満たした場合にはそれぞれ加算措置があります。

  1. 派遣社員を派遣先で正社員または多様な正社員として直接雇用した場合
    →28万5,000円
  1. 母子家庭の母等または父子家庭の父を直接雇用した場合
    →[有期→正規]9万5,000円   [無期→正規]4万7,500円

  2. 人材開発支援助成金の特定の訓練終了後に正規雇用労働者へ転換等した場合
    →[有期→正規]9万5,000円   [無期→正規]4万7,500円
  1. 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、その雇用区分で直接雇用した場合(1事業所当たり1回のみ)
    →中小企業9万5,000円  大企業7万1,250円

なお、2021年12月から2025年3月までの期間は、これまで就労経験のない職業に就くことを希望する人が、紹介予定派遣期間中に派遣元で一定の研修を受けた後に派遣先で正社員として直接雇用された場合、コロナ特例として派遣期間が2か月以上でも支給対象になります。

派遣社員を正社員として自社で直接雇用する場合は1.に該当し、2.3.4に該当しなければ、一人当たり下記の助成金が支給されることになります。

(1)のケース 中小企業の場合 大企業の場合
有期社員 ⇒ 正社員 85万5,000円 71万2,500円
無期社員 ⇒ 正社員 57万円 49万8,750円

「生産性の向上(生産性要件)」による加算

さらに、生産性要件に該当した場合には加算が行われます。

生産性要件とは、生産性向上の取り組みを支援するために設けられた制度で、要件に該当すると助成金が割増されます。

生産性=付加価値÷雇用保険被保険者数

から計算され、生産性が3年度前に比べて6%以上伸びているか、1%以上伸びていて金融機関から「事業性評価」を得ている場合に割増の対象となります。

生産性要件の詳細や計算については厚生労働省のこちらのページiconをご確認ください。

Figure3.jpg

受給の上限

正社員化コースは、1年度1事業所当たり20人分まで支給されます。

生産性要件に該当し、派遣社員を正社員として直接雇用した場合は、最大2,160万円が支給されることになります。(母子家庭等その他の加算措置は別途加算されます)

正社員化コースの支給対象になる要件

派遣社員を直接雇用する場合に支給対象となる事業主の主な要件です。

    • 就業規則等に派遣社員を正社員等として直接雇用する制度が規定されていること
    • 6カ月以上継続して同一の派遣社員を受け入れていたこと
    • 直接雇用したのち、6カ月以上継続勤務しその期間分の賃金を支払っていること
    • 直接雇用後の6カ月の賃金が、直接雇用前の6カ月間の賃金より3%以上増額していること
    • 直接雇用する日までの6カ月間と、直接雇用した後の6カ月間に、事業主都合の解雇等を行っていないこと
    • 雇用保険や社会保険に加入していること

また、対象となる社員にも要件があるので確認しておきましょう。

    • 6か月以上継続して同一の派遣先の業務に従事していたこと
    • 過去3年以内に、その派遣先で正規雇用等されていなかったこと
    • もともと正規雇用等の予定ではなかったこと

ここでは主な要件を紹介しましたが、ほかにも必要な要件はあるため詳細はいずれも厚生労働省のHPやパンフレットで確認してください。

出典:キャリアアップ助成金パンフレット│厚生労働省icon

支給対象外となるケース

支給要件を満たしている場合でも、過去に労働保険料の滞納がある場合や、過去1年間に労働関係法令に違反している場合、キャリアアップ助成金は受給できません。例えば、未払いの残業代があったり、違法な長時間労働があったりすると支給されません。

また、派遣社員の場合は、派遣対象外となる業務への派遣、二重派遣など、違法派遣である場合も支給対象外となりますので注意してください。

正社員化コースの助成金受給までの流れ

正社員コースの受給までの大まかな流れは次の通りです。

Figure4.jpg

キャリアアップ計画の作成においては、「キャリアアップ管理者」を選任しなければなりません。社長がキャリアアップ管理者になることもできるので、比較的小さな規模の会社でも対応は可能でしょう。

支給申請の際は多くの書類添付が求められます。出勤簿(タイムカード)や賃金台帳などの法定帳簿のほか、派遣社員の場合は直接雇用前の労働者派遣契約書や派遣先管理台帳などの書類も併せて添付する必要があるので、忘れずに保管しておきましょう。

不支給にならないための注意点

助成金は要件にひとつでも該当しないと原則として支給されません。ここでは、助成金が不支給にならないための主な2つの注意点をお伝えします。

就業規則等の記載は要注意

直接雇用を行う「前」に、就業規則等に直接雇用制度に関する規定が必要です。改定日なども確認されるため必ずチェックしておきましょう。

先述のとおり、2022年10月1日以降に直接雇用する場合の対象労働者について、「賃金の額または計算方法が"正規雇用労働者と異なる雇用区分就業規則等"の適用を6か月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者」に定義が変更されますので注意してください。

また、直接雇用制度については「手続」「要件」「採用時期」が明示されていて、正社員化した社員がそれに当てはまらないと対象にはならないため注意しましょう。

賃金3%以上増額の対象に含まれない手当がある

以下の賃金を除いた総額で比較されるため、あらかじめ把握しておきましょう。

  • 通勤手当・住宅手当・食事手当などの実費補填的な手当
  • 歩合給・休日手当・時間外労働手当などの毎月の状況により変動する手当
  • 賞与などの定期または臨時に支給される手当

まとめ

キャリアアップ助成金は、支給額や支給要件の変更を繰り返しながら、長期間にわたって活用されてきました。それだけ支給対象となる会社が多かったと言えるでしょう。添付書類等は多いものの、きちんと法律や制度に従って雇用管理を行えば、決して受給が難しい助成金ではありません。派遣社員を正社員として直接雇用する際にはぜひ活用してみてください。

※準備をする際には、必ず厚生労働省のHPやパンフレットをよく確認しましょう。

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著者プロフィール

山口剛広(特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント)

山口剛広(特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント)

山口社会保険労務士事務所 代表 2002年山口社会保険労務士事務所を開業。企業のパートナーとして、争いを未然に防ぐための労務相談に力を入れている。公的機関で相談員を務めるなど〝相談ができる社労士″として活躍している。行政や省庁が実施する「労働条件審査」においては数十社に及ぶ審査実績がある。

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