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新卒採用の基本がわかる資料
新卒採用の基本について知りたい方のために、一連の流れをわかりやくまとめた資料をご用意しています。ぜひご覧ください。
政府による就職・採用活動日程ルールの見直しや大卒求人倍率のコロナ禍前水準への回復傾向などを背景に、新卒採用スケジュールは一層の早期化・長期化の様相を見せています。
新卒採用に失敗する要因のひとつである「新卒採用スケジュール策定の失敗」を回避するために、人事採用担当者が知っておくべき2025卒新卒採用スケジュールのトレンドおよび、自社に合った早期化・長期化対策方法について解説します。
新卒採用のスケジュールを策定するにあたって目安となるのが、政府が主導して策定する「就職・採用活動に関する要請」です。
2020年3月卒以前までは「採用選考に関する指針」として経団連が加盟企業に要請するものでしたが、採用活動早期化によりルールが形式化してしまったことを踏まえ、指針を廃止。
2021年3月卒以降、政府がすべての企業を対象に毎年度要請を行うことになりました。
毎年3月下旬頃、その時点で2年生(大卒の場合)の採用スケジュールについての要請が発表されます。
2025年卒の新卒採用スケジュールに関する「就職・採用活動に関する要請」は内閣官房のホームページで2023年4月10日に発表されました。まずは2025卒で要請されている新卒採用スケジュールを確認しましょう。
広報活動開始: 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
採用選考活動開始: 卒業・修了年度の6月1日以降
正式な内定日: 卒業・修了年度の10月1日以降
これらのスケジュールは、経団連が要請していた「採用選考に関する指針」で策定された2017年卒対象の内容から変更がないまま続いています。学生が学業に支障なく就職活動に取り組めるよう、できるだけ急激な変化が起こらないように考えられています。
なお、内閣官房のホームページでは「2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」と記載されています。
「卒業時の西暦」で年度を表記している新卒採用の慣習と異なり「最終学年になった4月時点の西暦/年号」を用いているため、1年異なる表記になっていることに注意してください。
また、2025卒対象の年度以降が対象になるインターンシップに関しての大きな変更点がすでに発表されています。
これまでの「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省による三省合意)では、インターンシップで取得した学生の個人情報を採用選考活動に使用してはならないとされていました。
2025卒対象以降は、現行の日程ルールを原則としながらも、あらかじめインターンシップに採用活動の趣旨を含むことの明示を前提としたうえで、個人情報の採用活動への使用が解禁になります。
また、2026卒対象以降については、以下の条件を満たした場合、6月の採用選考開始時期にとらわれない自由な選考開始と個人情報の採用活動への使用が解禁になります。
加えて、インターンシップ中に得た評価などを採用活動開始以降に活用することが認められるようになります。
全体的な流れを踏まえ、自社の採用スケジュールを策定する際に重要なポイントについて解説します。
新卒採用は必ずしも全国・全大学一律で同じような動き方をするとは限りません。ターゲットとなる学生をイメージしつつ、採用人数を充足できる母集団を形成すること、および自社の採用に割けるコストや工数をどこに集中させるかということとバランスを取りつつ検討する必要があります。
採用スケジュールに直接影響する重要ポイントをピックアップしました。
ポイント | |
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採用人数 | 一般的に多ければ多いほど早期・長期の設定が必要です |
勤務地 | 一般的に都心部ほど早期・長期の設定が必要です |
募集職種 | 募集職種によって採用難度が大きく異なります |
選考手法 | 対応可能な面接官の人数やインターンシップ実施可否などが影響します |
大学との連携 | 学内合同企業説明会の参加可否、推薦の実施の有無などが影響します |
上記の重要ポイントを踏まえつつ、自社がもつリソースを最大限に活用すること、長期的な視点で柔軟に対応する姿勢が大切です。
それでは、採用活動のスタートから10月の正式内定までの流れを、最も一般的なスケジュールで解説します。
活動内容 | |
---|---|
前年5月~8月まで | 前年度の振り返りとインターンシップ |
前年9月~11月まで | インターシップをしつつ広報の準備 |
前年12月~2月まで | 人材像や人員数の最終確認 |
当年3月~5月まで | 採用活動をスタート |
当年6月~9月位まで | 内々定者フォローを実施 |
前年度の新入社員が4月に入社し、新人研修を経て配属された後の5月頃から、翌々年の新卒採用の検討を始めます。
学生の夏休み期間である8月・9月に長期インターンシップを実施する場合、6月・7月には広報・選考を実施しなければなりません。
大学3年生でのインターンシップを実施する場合、遅くても5月には計画をはじめましょう。
インターンシップ実施中・募集中は学生がホームページや企業SNSを注視する時期でもあります。
せっかくの広報チャンスを逃さぬよう、ホームページの刷新やパンフレット制作準備、翌年3月以降のナビサイトなどの広報コンテンツを決定する準備を行います。
ホームページ刷新などは製作期間に数カ月を要するケースもあるため早めの対応が必要です。
採用人数や募集職種、配属先などによって、採用難度は大きく変わるため、できるだけ早期に確認できるとよいでしょう。
また、新卒採用は直近の充足度だけでなく、数年単位での人材育成の視点からも検討する必要があります。
学生・企業ともに最も活発に就職活動・採用活動が行われる時期です。
政府が主導する選考活動時期では「採用選考活動開始: 卒業・修了年度の6月1日以降」となっていますが、学生を特定の時間・場所に拘束しないエントリーシートやオンライン筆記試験、動画選考に関しては6月以前に実施することも問題ないことが示されているため、多くの企業もこれらの選考をスタートさせます。
採用選考を実施し、内々定の通知を順次出したあとは10月の内定式に向けて内定者フォローを実施します。
社内報を送付したり、懇親会を開催したりといった内定者フォローを実施します。
このときに、長期間の研修での拘束や他社の内定辞退の強要など、自由な就職活動を妨げる行為を行ってはなりません。
新卒採用の計画を失敗しないために
新卒採用スケジュールを組む際に、必ず確認しておきたいポイントをピックアップして紹介します。
上記のようなポイントは毎年情報を更新しつつ、長期的に記録を取っておき、採用担当者に引継ぎをしましょう。
学生の就職活動スタートのきっかけは、大学内でのキャリアガイダンスや数百社規模で開催される就職ナビサイト主催の合同説明会、インターンシップサイトや就職ナビサイトの対象学年オープンなどさまざまです。どのような種類のインターンシップにどれくらいの学生が参加するか、また初めてインターンシップに参加する時期など、その年ごとにトレンドがあります。
経年調査をもとに今後の動きを予測する、大学訪問時にキャリアセンターからリアルな声を収集するなど、学生の動きを常に確認しましょう。また、採用に詳しい専門家のアドバイスを受けることも有効です。
一般的に大手企業を志望する就職意識の高い学生は3年生の6月~9月にかけてインターンシップに参加し、そこで出会った企業の早期選考に集中するというケースが増えています。
そのような就職意識の高い学生への認知度を高めるためには、7月までにインターンシップの詳細・受付を告知し、認知度を高めましょう。
採用選考に直結させることはできませんが、企業広報の手段の一つとして「オープンカンパニー(就業体験を伴わない企業研究のためのイベントや説明会)」があります。比較的気軽に参加できることもあり、幅広く参加者を募ることができます。
ターゲットとなる学生の属性によってスケジュールを変更した方がよい場合があります。
例えば体育会系の部活で選手として活躍している学生は、部活動に集中しており、大会への出場を優先して就活は後回しになるケースも少なくありません。
そこで、体育会系部活に所属する学生や海外大学に留学する学生など、早期の選考に参加できない学生も安心して大学生活が過ごせるよう、選考スケジュールを配慮し、4年生からの就職活動スタートでも問題なく対応することをあらかじめ広報することをおすすめします。
学校や専攻によっては、学校を通して求人をおこなった方が効果的な場合があります。
特に、専門学校については大学生よりも就職活動時期が遅いことが一般的です。学校指定の求人票フォーマットや学内合同説明会の有無を確認しましょう。
毎年採用者が出ているなど、ターゲットとする学校には、直接出向いて採用スケジュールを相談することをおすすめします。
なお、高専(高等専門学校)の本科生(5年間)については全国的にほぼ学校推薦を通じての就職活動が主流です。
推薦受付・選考期間が非常に短いため、必ず学校の就職担当教諭に確認しましょう。
公務員試験の最終合否発表は、応募先により9月になることがあります。
また、大学院進学を予定していたが急遽就職に変更するといったケースなど、4年生の秋・冬の時期に新しく就職活動を始める学生も少なくありません。
業種や職種に対して深く研究する時間がないまま就職活動をはじめざるを得ない学生のために、仕事の内容について詳しく伝えることはもちろん、福利厚生など働きやすさについてもわかりやすく伝える工夫が求められます。
「一次面接から合格連絡までの時間があきすぎて不安に感じた学生から問い合わせが来た」
「初回の説明会の設定枠が少なく、30分で満席になってしまった割に参加率が昨年より低い」
上記のように、前年度の悪かった点や良かった点を振り返り、分析を行い今年度の計画に盛り込みましょう。
特に、エントリー以降の申込率・参加率については時期別・属性別(学部学科や所在地など)にデータを取り、経年で比較できるよう記録に残しておきましょう。
また、説明会時やエントリー時にアンケートを実施し、要望を反映することも有効です。
競合他社への理解が採用力向上につながります。差別化をはかるためにも競合のHPや採用広報をチェックしましょう。
採用広報のスタート時期やインターンシップ開催の有無、内定出しのタイミングなども自社の採用スケジュールを検討する上で参考になります。
これらの一般に公開されている内容について自社と比較し、より学生の理解度を深める工夫に取り組みましょう。
3年生の6月からが「実質的なスタート」になっている現状に合わせ、新卒採用を早めに行うことにはメリットもデメリットもあります。
まずは新卒採用を早めに行うことのメリットから確認しましょう。
新卒採用の早期化により学生の動きが分散化する傾向があります。早期から広報に取り組むことで、さまざまなタイミングで就活を始める学生と接する機会を増やすことができます。
また、就職活動に対して前向きに取り組み、きちんと情報収集をして臨む優秀な学生のエントリーを集めやすくなります。
特に企業規模や採用人数に関係なく長期間の採用活動を前提として体制を組むことで、応募数や内定承諾数の状況に応じて柔軟に説明会や選考日程を設定することもできます。
後半の説明会開催追加や新たなエントリーシート締切は採用選考スタート時にすべて公開しておく必要はなく、随時必要に応じて追加設定しましょう。
早期選考はメリットばかりではなくデメリットもあります。
年間を通して新卒採用に注力するため、通年で対応できる新卒採用担当者が必要です。特に繁忙期は中途採用や教育研修と兼務することが難しくなるため、RPO(Recruitment Process Outsourcing:採用代行)などの活用も検討しましょう。
そして、早期選考のもっとも大きなデメリットは辞退の可能性が高くなることです。
早期に活動する学生には、少なからず下記のような人も含まれてきます。
「早期に民間企業の内定を獲得し、安心して公務員試験に挑戦したい」
「応募したすべての会社の内定が出そろってからどの会社に入社するかじっくり考えたい」
また、早期から採用活動を始めたからと言って必ずしも期待するほどの応募者が集まるとも限りません。人的労力も採用費も「無駄」なものになってしまう可能性があります。
自社にとってどんなメリットを優先し、どんなデメリットは受け入れることができるか、じっくり検討しましょう。
このような課題をお持ちの方は、マンパワーグループの採用代行サービスをご検討ください。新卒採用における様々な経験から、企業の状況に合わせた最適なプランをご提案します。
新卒採用スケジュールは政府が要請する活動時期のルールや景気動向などに大きな影響を受けて変化します。採用人数や配属先などの募集内容や採用担当者の体制含め、自社にとって動きやすいスケジュールとのバランスが合うように変化に対応しましょう。
そのためには、新卒採用に関する各種データや資料を定期的に確認することが第一歩です。
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