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高度な知識や経験があり、会社に貢献している管理職や専門職の社員から産前産後休業や育児休業、介護休業の申し出を受け、困ったと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。中小企業の社員が円滑に休業できるよう、厚生労働省は事業主向けの支援を用意していますが、会社としてまず心配になるのが、休業期間中の業務遂行をどうするかです。
企業によって異なりますが、管理職や専門職などの上級職を多く擁する世代は出産や育児、親の介護などのライフイベントが発生しやすい世代でもあります。ライフイベントを理由とする離職が増加しないよう、産前産後・育児・介護休業を推進する様々な法改正が施行されています。
政府は「2020年代早期に指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする」という目標を掲げています。ダイバーシティの尊重・働き方改革の影響もあり、管理職における女性の割合は年々高くなっていますが、目標には及ばないため、女性活躍推進法が成立しました。
女性活躍推進法とは、家庭生活と仕事の両立のしやすさや性別による雇用慣行の是正など、女性が社会で活躍できる基盤づくりのために企業をはじめとした社会全体で取り組むべき責務を定めた法律です。事業主に対しては、女性従業員比率や女性管理職比率など女性活躍に関する情報公表や、女性活躍の状況が基準に達していない場合、行動計画の策定・届出が求められています。大企業のみ義務づけられていましたが、改正により2022年4月から従業員数101名以上の企業も義務化の対象となります。
これに伴い、女性の管理職が増加し、管理職の産休・育休の取得が推進されると予測されます。
出展:内閣府男女共同参画局
厚生労働省が発表した令和2年度雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率は年々増加しており、2020年(令和2年)には12.65%が取得しました。増加傾向ではあるものの低水準であり、取得できたとしても約8割においては取得日数1か月未満と短期間です。業務の都合や男性の育休取得に対する職場の理解度によって、育休制度があっても申請を躊躇する社員も存在します。
このような課題を改善し、男女問わずライフワークバランスが取れた働き方ができるよう、2022年4月から改正育児・介護休業法が段階的に施行されます。男性も育休が取得しやすいような柔軟な育休制度や環境の整備が義務化されるので、男性の育休取得も増加すると推測できます。
マンパワーグループが2022年1月に実施した調査では、育児・介護休暇(休業)における各種制度の利用者状況を聞いたところ、どの制度においても男女とも3割強~6割弱の利用状況であることがわかりました。
国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施した「第15回出生動向基本調査」では、約4割の女性が出産・育児により退職をしています。また総務省の「平成29年度就業構造基本調査」によると、「介護・看護のため過去1年間に前職を離職した人」は、2017年時点で約9万人おり、深刻化する労働力不足の一因となっています。
社員が休業することは会社にとって大きな痛手ではありますが、労働力不足の昨今、新規採用するは非常に困難です。また採用できたとしても、戦力になるには時間がかかります。自社の業務を理解している社員には、産前産後・育児・介護休業などの理由で退職させてしまうのではなく、休業し復帰してもらうのが、結果的には安定した人材確保に繋がります。
また一方で、労働者の価値観も変化しており「ワークライフバランス」を重視する傾向にあります。就職・転職活動をする際に応募する企業の育休取得率や「えるぼし認定」の有無などをチェックした上で、就職する企業を選ぶ人も増加しています。産前産後・育児・介護休業の取得率向上は、新規で人材を採用したいと考えている企業にとって重要な施策となります。
社員から産前産後休業や育児休業、介護休業の申し出を受けたときの対応について解説します。
育休の取得率が低い会社の場合、休業を申し出ることは社員にとって勇気がいることです。休業期間中の自身の業務はどうなるのか、復帰した時の自身のキャリアはどうなるか、家庭と仕事の両立ができるのかなどの不安を感じます。そのため休業期間の確認だけでなく、復帰時のキャリアや働き方の希望などもしっかりヒアリングし、休業することへの安心感を与える必要があります。
休業することが決まったら該当社員の業務を一覧化し、必要性や重要性で分類した上で、必要性の低い業務は廃止するなどの業務を棚卸するのがよいでしょう。残った業務を重要度に応じて既存のメンバーに分担していきます。業務を振り分けられたメンバーの業務負荷が高まるので、並行して組織やチームの内の業務の棚卸しも必要です。
高度な知識や経験がある社員が休業する場合、既存のメンバーでは対応しきれないケースも発生します。もしくは既存メンバーの中から兼務者がアサインできたとしても、兼任者の業務負荷が大きくなりすぎて、業務成果を上げにくい環境となってしまうおそれもあります。
また業務負荷軽減のために新規採用という選択をした場合、「一定期間の就業」という条件のもと、高度な知識や経験を保有する人材を探していくのは時間を要し、かつ困難なことが容易に想像できます。
一般的に派遣サービスを利用するポジションは、事務処理やアシスタント業務、テレフォンオペレーターといった、いわゆる運用・サポートを行なうポジションが多いです。
派遣サービスを依頼する際に、「管理職・専門職」の業務を行える人材を派遣してもらうイメージは、あまりないかもしれません。しかし、実際にそのような人材をプールし派遣するサービスは存在しています。
対象となるスタッフは、フリーランスまたは転職活動の間にスキルアップを目指す専門性の高い50代以上のミドル・シニア層です。
人材の多くは、「財務・経理系」「人事・総務系」「マーケティング系」等、各種プロジェクトをリードしてきた経験を保有しています。
マンパワーグループのプロフェッショナル派遣「Pro Assign」を活用した休業カバーの例です。
マネジメント担当が産休を取得するため、産休期間中の4ヶ月間、プロフェッショナル派遣「Pro Assign」を導入。
アカウンティングマネジメント経験者が派遣されたことで、部門のディレクターと共に業務フローなどの改善を実施するなど、実務のサポートのみにとどまらない成果をあげた。
プロダクトマネジャーの介護休職に伴い、補充人員採用までの期間は別のプロダクトマネジャーが兼任していた。しかし、なかなかよい人材が見つからず、兼任者の負荷が日増しに増大していたため、プロフェッショナル派遣を導入。
派遣された人材は同業での経験者であったこともあり、スムーズな立ち上がりで兼任者の負荷軽減に貢献した。
派遣されるスタッフ側の視点からすれば、自身の強みを活かした就業機会を得ることにより、企業に貢献しつつ現役を続けていくことが可能な新しいワークスタイルであり、専門性の高い多くのミドル・シニア層に受け入れられています。
このような需要とお互いのメリットの共有という側面からプロフェッショナル派遣「Pro Assign」は成り立っています。
プロフェッショナル派遣「Pro Assign」を管理職や専門職の休業の解決策として選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
プロジェクトの立ち上げやマネジメント、専門職の急な欠員にも派遣サービスは利用されています。経験豊富なミドル・シニアを中心に、自ら動けるプロフェッショナル人材がプロジェクトの早期立ち上げや機会損失とならないようマネジメントを対応します。プロフェッショナル人材派遣に興味がございましたら、こちらからお問い合わせください。
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