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注目のアルムナイ採用とは|特徴と効果、導入ポイントを解説

掲載日2021年1月21日

最終更新日2023年3月29日

注目のアルムナイ採用とは|特徴と効果、導入ポイントを解説

目次

アルムナイ採用とは、退職や転職したOB・OGなどを採用の対象とした手法です。在籍経験があることからパフォーマンスの予測がしやすく、信頼性も高いこの層を改めて迎える施策が今、注目を集めています。ここでは、アルムナイ採用のメリットや導入するためのポイントについて解説します。

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アルムナイとは

アルムナイは英語の「alumni」で、alumnusの複数形で、「卒業生、同窓生、校友」を意味します。採用におけるアルムナイとは企業を退職や転職したOB・OGなどのことを指し、アルムナイ採用とは退職もしくは転職した人材を再雇用する採用手法です。

アルムナイ採用に積極的な企業では、独自のアルムナイ制度を構築し、離職者との継続的なコミュニケーションを維持しています。いつでも再就職可能な下地が整えられているため、離職者も抵抗なく復帰することができ、速やかな人材採用が可能です。

アメリカの大手SNSでの調査では、離職者の再入社の割合が2018年上半期には3%近くに達しており、過去10年間で2倍以上となりました。なかには、十数パーセントもの値を示す企業も存在しており、採用でイニシアティブをとる戦略的な取り組みとして多くの企業が導入しています。また、アメリカの大手ソフトウェア企業の調査では、全米企業ランキングTOP500の企業のうち、98%が何らかのアルムナイ制度を導入しているとされています。

日本でも近年、グローバル企業の日本国内での導入を皮切りに、人材獲得の有効策としてアムルナイ制度を採用する動きが見られるようになってきました。

ジョブリターン制度との違い

ジョブリターン制度とは、出産や育児、介護など個人的でやむを得ない理由で退職した人が復職を希望した場合に再雇用する制度です。転職や起業のように自ら新しい場を求めて退職した場合を含みません。

アルムナイ採用は、さまざまな理由で企業を去った人を対象とする点がジョブリターン制度と異なります。

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アルムナイ採用が注目される背景

日本のアルムナイ採用の現状

厚生労働省が2014年に実施した「出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業」によると、再雇用制度を設けている企業は全体では 16.7%ですが、従業員数1,001人以上の大企業では 36.4%が再雇用制度を実施しています。再雇用の際の雇用形態については、「正社員での採用」、「一定期間後に条件が合えば正社員雇用とする」を合わせて約80%です。やや古いデータではありますが、この時点ですでに再雇用について企業が意欲的に動いていたことがわかります。

復帰後の職場は、「原則、退職時の職場に復帰する」が 28.7%、「本人の希望、人員不足の職場等により、調整して配属する」が63.9%と、離職時とは異なる業務に就く場合が多いと考えられます。

ただし、この調査データには、育児や介護など、やむを得ない事情で離職した社員の「ジョブ・リターン」が多く含まれると見られます。ジョブ・リターン制度は企業によっては転職者も含まれますが、再雇用制度が存在しても、退職理由に関わらずネットワークを構築して継続して退職者とコミュニケーションをとるといったアルムナイ制度が整備されているとは限らないようです。

アルムナイ採用が注目される理由

現代の日本では終身雇用制度が崩れつつあり、以前に比べ人材の動きは活発です。転職が当たり前のように受け取られる時代にあって、労働市場の流動化が進んでいます。また、少子高齢化による労働人口の減少から、働き手の確保はどの業界でも容易なことではありません。

そのような状況下において、企業では多彩な採用手法を駆使して優秀な人材の確保に努めなければなりませんが、自社戦略にマッチする人材の採用も容易なことではありません。そこで、事業内容や企業風土などを既に理解している人材であるアルムナイに熱い視線が注がれるようになりました。

新施策導入による業務ボリューム増加にはRPOの活用を

アルムナイ採用だけに限らず、新施策を導入するためには事前準備の段階から業務ボリュームが増加しがちです。マンパワーグループの採用代行サービス(RPO)なら、コンサルティングから実務代行まで様々な課題課題解決ができる豊富なサービスメニューが揃っています。一時的な業務ボリューム増加への対応はもちろん、採用活動全体の最適化まで幅広く対応可能です。

RPO

アルムナイ採用を導入している企業は約3割

マンパワーグループが行ったアルムナイ採用に関する調査で、採用の手段としてアルムナイ採用を取り入れている企業は約3割でした。

実施方法としては、退職者用のコミュニティを設ける、紹介してくれた社員への報奨金制度を設置し紹介を促進する、退職前に説明を実施するなどがありました。

アルムナイ採用を行っている雇用形態

アルムナイ採用を導入している雇用形態は、正社員のほかにも契約社員などの有期雇用社員が多く見られました。少数ではありますが、役員や顧問といったポジションでもアルムナイ採用を活用している声も見受けられました。

アルムナイ採用

アルムナイ採用で感じている効果

アルムナイ採用の導入で感じている効果は以下のとおりです。

  • 即戦力になる
  • ミスマッチが少ない
  • 定着してくれる

次のメリットで詳しく解説しますが、「一度働いていたことがある」という実績が大きなメリットを生んでいます。

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アルムナイ採用 5つメリット

アルムナイ採用には、6つのメリットが挙げられます

  • 短期間で優秀な人材を雇用できる
  • 自社の業務や文化に精通した人を採用できる
  • 育成コストが抑えられる
  • 過去の実績による信頼
  • アルムナイによる社外での経験や人脈の活用
  • 社員のエンゲージメント向上と組織の活性化

短期間で優秀な人材を雇用できる

求人広告掲載から始まる人材採用とは異なり、選考回数が少なくて済み、時間がかかりません。離職者と継続的にコミュニケーションを取り続けていることで再入社などに対する意志の確認がとりやすく、短期間で、スキルが保証された人材の雇用が可能です。

自社の業務や文化に精通している人を採用できる

自社の業務内容や社風を理解しているので、即戦力として活躍してもらえる可能性があります。指示の意図を正しく汲み取る下地が共有されているため、新人に対するように詳細まで説明する必要がありません。

育成コストが抑えられる

新入社員に対するような教育・研修の必要がなく、育成コストが軽減されます。

過去の実績による信頼

過去に自社で勤務していたことで、その人柄や能力についての情報が蓄積されています。人間性や実績が保証されており、安心して仕事を任せることができます。

アルムナイによる社外での経験や人脈の活用

自社以外で働いた経験、外部で積み重ねられたスキルや知識が、自社の事業に新たな視点を見出す可能性があります。同時に新たなネットワークを築いていることも多く、そのネットワークを活かした仕事の展開にも期待がもてます。

アルムナイ採用 3つのデメリット

アルムナイ採用には、デメリットもあります。

  • たくさんの人材を採用するのには向いていない
  • 人事制度や就業規則の変更が必要
  • 退職のハードルを下げてしまうことも

たくさんの人材を採用するのには向いていない

アルムナイ採用は、母集団が「元社員」となるため、比較的限られた範囲になります。採用率は高いかもしれませんが、そもそもの母数が少ないため、多くの人材を採用するチャネルとしては、不向きです。 

人事制度や就業規則の変更が必要

アルムナイ採用で再度迎え入れた社員にどのような待遇を与えるのか、はアルムナイ採用を成功させるポイントのひとつでもあります。 

例えば、年功序列による報酬体系であった場合、在籍していない期間をどう扱うのか、永年勤続の表彰を行っている場合の算出期間をどうするか、といったように社内ルールを見直す必要がでてきます。 

退職のハードルを下げてしまうことも

アルムナイ採用を導入することで、「退職しても戻ってこられるという」認識が広がるため、退職への心理的ハードルが下がってしまうこともあります。 

誤解を生まないためにも、アルムナイ採用の条件や方針、再雇用までの流れについてきちんと説明しておきましょう。

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アルムナイ採用導入のポイント

アルムナイ制度の確立

アルムナイ採用の実施には、一度自社を離れた人材の復帰スキームを制度として確立しておくと、社内外へのアピールや運用がしやすくなります。戻ってくる人材の受け入れについて全社的な理解を得るため、あるいは離職した社員が将来的に転職や職場復帰を考えた際に選択肢として想起してもらうためにも、制度の認知度を高める活動は重要です。

戻る意志のあるアルムナイが、躊躇なく復帰に踏み出せる環境を提供することで、アルムナイ採用をスムーズに進められます。

出口管理をしっかりと行う

アルムナイ採用を行う前提として、出口管理(イグジットマネジメント)は大切です。円満退職ができていなければ、「また戻ってきたい」とは思えないでしょう。

転職への意識は変わっており、特に若い世代では転職に対してネガティブな印象は少ないものです。どのように送り出すか、送り出した後にどうコンタクトを取るかも重要です。

離職者に向けた「アルムナイネットワーク」づくり、アルムナイ同士の交流の場の提供、アルムナイへの定期的コンタクトなど、海外などの先行事例を参考に、自社に合わせたリレーションシップ保持の施策が有効です。

アルムナイ自身からのコンタクトを待つ消極的な姿勢では自社の採用ニーズに応えられませんので、しっかりと対策を立てましょう。

既存社員の離職者に対する意識改革

古い体質の組織では自社に残る社員が、離れていく人に対して、裏切り者・離脱者といった視線を向ける場合があります。旧時代的な体質ではアルムナイ制度がうまく働きません。再雇用の受け入れの際に、周囲との軋轢を生じさせないためにも、離職者に対して既存の社員は意識を変えていかなければなりません。

正社員にこだわらない関係性をつくる

退職者は、さまざまな理由で自社を去っています。個々の事情に柔軟にこたえられるよう、プロジェクトの立上げのために期間限定の契約社員として採用する、フリーランスの業務委託として必要なタイミングで業務を依頼するといった関係性も視野に入れると、必要時に適切な人材を迅速に見つけることができます。

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退職者へのベネフィットの提供

アルムナイ採用を成功に導くためには、退職者といかにつながりを保てるかということがカギになります。アルムナイ制度を積極的に取り入れている企業では、さまざまな工夫をしながら施策を進めています。

アルムナイが自社に対する興味を失わずにいるために、企業として何ができるのかを考えていかなければなりません。例えば、最新の情報を提供するセミナーや勉強会の開催、SNSを使った情報発信などが考えられます。

さらに、現在どのような人材を求めているのかを、キャリア形成サポートの体制などと併せながら伝えていくといった施策が必要です。アルムナイが「戻りやすい」道筋をつける意味で、アルムナイ同士の交流会を企画するのも有効です。

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アルムナイ採用成功のヒントとなる事例

さいごにアルムナイ採用を取り入れてる企業の事例を3つご紹介します。

グローバル総合コンサルティング企業

世界120ヵ国に顧客をもつ同社では、約30万人の元社員が登録する専用ポータルサイトを運営。求人情報の検索やアルムナイ同士が交流できる場を提供しています。

アルムナイは、サイトで最新の採用情報を知ることができ、企業としても優秀な元社員との接点を増すことに成功しています。

大手IT系企業

こちら企業では、「育自分休休暇制度」を設け、退職後6年以内であれば復職できる制度を設けています。

35歳以下の若年層を対象とし、外の世界で学びたい、留学したいなどの要望を尊重しつつ、また戻ってくることができるという安心感がエンゲージメントにも繋がっています。

大手飲食チェーン

大手飲食チェーンでは、エンゲージメントの一環として退職者に「バーチャル社員証」を発行し、職場を卒業後もつながりが持てる制度を設けています。

卒業も店舗での飲食が割引になったり、試食会、社内イベントなどにも参加できるという特徴があります。こうした関わりが、「また働きたい」に繋がり再雇用へとつながっています。

まとめ:離職者が貴重な経営資源になるアルムナイ制度

日本国内でもすでにアルムナイを活用し、優秀な人材採用の強化を進めている企業があります。

ポイントとなるのは、自社を離れる人材と継続的なリレーションを保っておくことができるか、という点です。離職する人材を完全に手放すのでなく、退職後にどのようなベネフィットを提供しつづけることができるのかについて考えてみましょう。アルムナイに対する働きかけ方法、戻りたい気持ちを起こさせる企業としての魅力の発掘、発信など、検討課題は数多くあります。

しかし、即戦力として充実したスキルをもつアルムナイは、企業運営にとって貴重な人材候補です。人材採用に悩んでいる企業にとっては、検討する価値のある採用施策であるといえるでしょう。

参考:
出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業|厚生労働省

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世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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