
ジョブ型雇用の導入前に整えておくべき6つの施策とは
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採用
掲載日2021年1月14日
最終更新日2022年5月 9日
目次
社員が友人・知人を自社に紹介し、採用活動に繋げる「リファラル採用」が、採用のミスマッチや早期離職の回避に効果的な採用手法として注目度が高まっています。
ここでは、リファラル採用の基礎知識とメリット・デメリット、円滑に進めていくためのポイントなど、導入前に予め理解しておくべき事項を解説します。
リファラル(referral)とは「推薦・紹介する」を意味する言葉です。リファラル採用はダイレクトリクルーティングのひとつであり、社員から友人や知人などを紹介してもらう採用手法です。
あくまでも候補者として紹介してもらうので、自社の基準に合っているかどうか応募書類や面接での選考を経た上で、採用可否を判断します。
縁故採用は、採用することを前提に血縁や特別な繫がりがある関係者を紹介してもらう手法です。「関係者からの紹介」という点ではリファラル採用と似ていますが、選考した上で採用する訳ではないという点が、選考が伴うリファラル採用とは大きく異なります。
リファラル採用が広がりを見せている大きな背景として、労働人口減少による人材獲得競争の激化が挙げられます。
求人を出せば応募者が集まり、多数の応募者の中から企業が選考できていた時代とは異なり、現在では求人情報を媒体に掲載しても他の求人情報に埋もれてしまい「ニーズに適した人材」から見つけてもらう事すら困難な状況です。
また、応募者が少ないからと選考基準を緩和した結果、採用後にミスマッチが多発するなど、多くの企業が人材確保に苦戦しています。
リファラル採用は、自社をよく知る社員が企業の魅力や実情を伝え、それに共感した友人・知人が候補者となるため、入社後のギャップが少なく、ミスマッチや早期離職などを防ぐ効果が期待できます。
応募者の確保と、ミスマッチの抑制の二つの効果が期待できるため、リファラル採用を活用する企業が増えています。アメリカをはじめとした諸外国ではリファラル採用が採用手法の主流であり、採用成果の高い手法として認識されています。
リファラル採用は、一般的な採用手法とは大きく異なるため、公募や人材紹介会社を活用した採用手法では得られないメリットがあります。
社員が「自社に適性がある」と感じた友人・知人に声をかけるので、品行不良の人材が紹介されるリスクが低く、応募から採用決定に至る合格率が高いのが第一のメリットです。
また、被紹介者も身近な友人・知人から「実際に働く社員の生の声」を聞くことで、社風や事業内容の理解がしやすく、入社後のギャップによるミスマッチが減り、結果的に離職率の低下にもつながります。
正社員として働く20代~50代を対象に実施したマンパワーグループの調査では、約半数の人が入社後に「入社前に期待していた内容と違う」というギャップを感じたと回答しています。
また、入社前に詳しく聞いておけばよかったと思った項目の上位には「仕事内容」「社風や風土」があげられました。
詳しくはこちらの調査データをご覧ください。
調査データ:入社前の期待と入社後の現実に、5割以上が「ギャップ」を実感。入社前に聞いておけばよかった!と思ったこととは?
求人情報を媒体に掲載する一般的な採用手法の場合、「求職者」にしかアプローチができません。
一方、リファラル採用の場合は、求職・転職活動をしていない人材へのアプローチも可能です。
親しい知人から話を持ちかけられることにより、転職への意欲が刺激されるケースも考えられます。またその人材がすぐに転職できなくても、定期的にコンタクトを取ることで、その人材の転職のタイミングで応募を受け付けることも可能です。
自社社員を介して母集団形成をするので、求人広告費やエージェントへの紹介手数料を抑制できます。紹介した社員への謝礼などを含めても、一般的な採用手法と比べて金銭的コストを抑えることができます。
リファラル採用は既存の社員にも良い影響を与えます。紹介者となる社員が友人・知人に自社を紹介するにあたり、「自社の良さや魅力」を再確認する機会となります。
また「自社の良さや魅力」を理解・共感した人材が入社してくるので、入社後に戸惑うことが少なく、エンゲージメントが高い社員が増加する可能性があります。
リファラル採用は社員の人間関係に頼った採用手法のため、デメリットもあります。
候補者が社員の人間関係の範囲内に限定されるため、広く公募をする場合に比べて人材の偏りが発生しやすくなります。
社員からの紹介であっても、友人・知人が選考を通過できなければ不採用となります。このような場合、紹介した社員と被紹介者の友人・知人との関係が気まずくなり、私的な人間関係にも影響を与える可能性があります。
また入社に至った場合でも、友人同士での慣れあいが生じたり、紹介者の退職に伴い、被紹介者である友人・知人も退職するなどのリスクもあります。
社員の人脈に頼るため、求人媒体などを利用する手法と比較すると、大人数を一気に採用するのは困難です。また、急募や就業開始時期にリミットがあるようなポジションの場合も、採用できる可能性は低い傾向があります。
リファラル採用では、採用活動の一部を人事部以外の社員に任せることになります。知っている間柄ゆえに、友人・知人から社員本人へ質問が多く寄せられることが予想されるため、担当業務外の負担が増える可能性があります。
リファラル採用の場合、広告費や人材紹介会社への仲介手数料は発生しないため、採用活動にかかる費用を抑えることができます。リファラル採用特有のコストとして、どのような費用が発生するかを解説します。
リファラル採用を実施している企業の約7割が、紹介した社員に対してインセンティブを支払っています。紹介したら支払うのか、被紹介者が入社したら支払うのかなどのルールは企業ごとに決定します。支払金額にもルールはありませんが、数万~20万円以下が一般的な相場の金額です。
ただし、インセンティブの支払いは、従業員が厚生労働大臣の許可なく有料の職業紹介事業を行うという職業安定法上の違法行為とみなされる可能性があります。あらかじめ、就業規則や賃金規定に明記しておくことが重要です。また、企業によっては現金ではなく、休暇や自社サービスの割引などをインセンティブとして設定するケースもあります。
また、リファラル採用で入社した人に対して「本採用決定後に〇万円を支給」などとする制度については、2021年4月に職業安定法に基づく指針が改正されたことにより、被紹介者に対する「就職お祝い金」などの金銭提供は禁止されましたので、注意が必要です。
「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました【周知用リーフレット】(PDF) | 厚生労働省
リファラル採用を目的とした会食の申請ルールを簡素化し、会食費を企業が全額負担したことで、リファラル採用が成功している企業もあります。
社員が友人・知人に自社を紹介するための会食の費用やイベントの参加費などを企業負担とする場合、インセンティブ同様に企業毎に支払ルールの設定が可能です。
リファラル採用の進捗やKPIなどを管理するプラットフォームなどのツール類や、コンサルティングなどのサービスが様々な事業者から提供されています。そのような外部サービスを活用する場合は、外部サービスの利用料が発生します。
「友人・知人を紹介してください」とアナウンスするだけでは、リファラル採用は開始できません。リファラル採用を導入するにあたり、どのようなことに気をつけるべきかを解説します。
リファラル採用の制度・ルールは、先述したインセンティブ制度だけではありません。
紹介のルールやフロー、募集ポジションの周知方法、被紹介者への対応方法、社員が友人・知人に自社を紹介しやすくなるためのサポート体制なども決める必要があります。社員任せにせず、社員が積極的に紹介しようと意欲がもてる仕組みをつくりましょう。
紹介するにあたってのプロセスが複雑、面接の日程調整や合否連絡などを紹介した社員が行わなければいけないなど、紹介する社員の負担が大きいと紹介する意欲が削がれてしまいます。また、リファラル採用の活動が負担となり、社員の本来業務に支障が出るのも問題です。
紹介のプロセスを簡素化する、被紹介者への連絡は人事が対応するなど、社員の負担は可能な限り少なくなるような制度設計が必要です。
友人・知人を紹介することは、紹介する社員にとっては大きなハードルです。気軽に友人・知人を紹介できるようになるには時間がかかることを理解しておく必要があります。
社内のリファラル採用に対する理解を醸成するには、役員やエンゲージメントの高い社員などによる人数を限定したプロジェクトチームを立ち上げ、リファラル採用の実績を積むという方法があります。リファラル採用の仕組みやメリットを、身近な実例として社員が理解できれば、紹介の促進につながるでしょう。
また、紹介をためらう理由に、紹介した友人・知人が不採用になった時の気まずさがあります。
社員が安心して友人・知人に自社を紹介する事ができるよう、誠意ある対応やわかりやすい説明をするのはもちろんのこと、不採用になった被紹介者・紹介者に対しては応募に関する感謝を伝え、アフターフォローをしっかりと行うことが重要です。
社員に友人・知人を紹介してもらうためには、社内周知が欠かせません。ここではリファラル採用に成功している企業の事例とあわせて、社内周知方法などの施策について解説します。
社内への周知はメールでの案内やポータルサイトを立ち上げるなど、リアルタイムに情報を発信していくのが効果的です。またオンラインだけでなく、ポスターの掲出やカードを配布するなどして、常に社員の目に留まるようしている企業もあります。
周知する内容は、リファラル採用制度の詳細、募集ポジションの業務内容や必須条件、紹介するにあたってのフローなどが挙げられます。経営陣が経営ビジョンや、リファラル採用の重要性を発信することで、リファラル採用の活性化ができている企業もあります。
紹介できる友人・知人はいるが紹介方法がわからない、紹介したのにポジションがクローズしていたなどといったことが無いように、詳細にかつ定期的に情報配信していきましょう。
制度を理解していても、友人・知人をいきなり自社の採用選考に誘うのは、難易度が高いと躊躇してしまう人もいます。このような問題の解決法として、社外の人も気軽に参加できる社内イベントや、採用ミートアップを実施するのも一つの方法です。友人をオフィスに呼び、オフィスで友人と一緒に無料で夕食を食べることができる制度を設けている企業もあります。
「選考」とは異なるイベントであれば、社員も友人・知人を誘いやすくなります。またイベントに参加した友人・知人も、イベントを通じて企業の魅力やカルチャーを理解する事ができ、応募への後押しに繋がる可能性があります。
社員がリファラル採用の重要性を理解し、積極的に自社を紹介してくれていても、自社を知らない人に会話だけで魅力を伝えるのは、非常に難しいことです。
オウンドメディアやSNSなどで自社の魅力や働く事のメリットなどを発信していると、社員が自社を紹介しやすくなります。また、オウンドメディアやSNSで発信されている内容を社員が補完することで、発信内容に対する信頼性が増すという相乗効果も期待できます。
実際に社内で働いている人間ほど、自社のことをよく知っている者はいません。社員が「適性がある」と評した人材であれば、マッチング良好である可能性も高くなります。
また、事業や業務内容はもちろんのこと、社風などに関する情報も事前にしっかりと伝えられることは、リファラル採用のメリットです。
社員の生の声を踏まえたうえで候補者が選考に臨むのであれば、入社後に感じるギャップも小さくなり、採用後は長期にわたる活躍が期待できます。
リファラル採用のメリットとデメリットを踏まえながら、自社の採用活動の一環として検討してみてはいかがでしょうか。
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