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新卒採用の基本がわかる資料
新卒採用の基本について知りたい方のために、一連の流れをわかりやくまとめた資料をご用意しています。ぜひご覧ください。
リクルーター制度は、以前から大企業の新卒採用を中心にさまざまな企業で導入されており、現在では中途採用でもリクルーター制度が活用されています。
この記事では、新卒者を対象としたリクルーター制度について解説します。
リクルーターとは、一般的に採用に携わる社員のことを指します。専任で担当していることもあれば、他の業務と兼任して行うこともあります。
新卒採用におけるリクルーターの場合、多くは学生と同じ大学や高校の出身者が担うことが多くあります。同じ学校の卒業生ということで、共通の話題が多く、学生が打ち解けやすいこと、リクルーター側も学生の状況を理解しやすい、といったことが選ばれる理由です。
リクルーター制度とは、社員がリクルーターとし採用活動を行うことを制度化したものです。一般的には、新卒採用で導入されることが多くあります。
新卒採用におけるリクルーターの場合、多くは学生と同じ大学や高校の出身者が担うことが多くあります。同じ学校の卒業生ということで、共通の話題が多く、学生が打ち解けやすいこと、リクルーター側も学生の状況を理解しやすい、といったことが選ばれる理由です。
リクルーターの主な活動内容は以下の4つです。
母集団形成はリクルーターのメインの役割と言っても過言ではありません。労働人口の減少に伴い、企業にとって新卒採用は厳しい状況に置かれています。
就活系ナビに登録したからと待ちの姿勢でいると、優秀な人材は他社から声がかかってしまいます。学生に対して積極的にアプローチするのがリクルーターの役割です。
具体的な活動
求人広告は情報量が限られており、また学生が全ての情報に目を通すとは限りません。また、企業説明会や合同説明会でも企業から学生に向けて一方通行のコミュニケーションになりがちです。
リクルーターは、学生にもっと近い立場で自社の魅力を伝えることができるので、個別の質問に答え、伝わりにくい社内の雰囲気や状況を知ってもらうことで、応募への動機付けを行います。自社への理解度は、個人差がありますから、それに合わせて訴求できることも、リクルーターの強みです。
具体的な活動
母集団形成をするのが主な目的ではありますが、やみくもに集めるわけではありません。自社が必要とする人材を見極めることが大事です。企業によっては、リクルーターに一次面接を任せるケースもあります。
学生の場合、業務実績が基本ありません。これまでの学生生活で会得した知識以外に、素養や性格、価値観、キャリア志向などポテンシャルで採用することになります。
リクルーターは、学生に近い存在として候補者のさまざまな側面を一般的な面接より時間をかけて知ることができます。
リクルーターの役割は、応募したら、面接をしたら終わりというわけではありません。優秀な学生ほど多くの企業から内定がでるのが当たり前となっている今、学生の興味関心がなくならないようにフォローしていくことも大事です。
内定から入社まで1年以上空くこともあり、その間に別の企業から誘いがあった、働くことに不安を覚える、ということもあるでしょう。リクルーターが定期的に連絡を取り、近況の情報交換や相談に乗ることで、内定辞退を防止する活動を行います。
具体的な活動
リクルーター制度の最も大きなメリットは、早期から自社に興味をもっている優秀な学生とコンタクトをとることができる点です。採用活動ではなく「面談」であれば、新卒採用の解禁日より前から学生とコミュニケーションを取ることが可能で、企業のスケジュールに合わせて実施することできます
内閣官房が要請している新卒採用活動の解禁は、3月1日ですが、多くの企業がインターンやリクルーター面談などで、早い段階から学生とのコミュニケーションに時間をかけて取り組んでいます。
▽2023年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程
スケジュール | |
---|---|
広報活動開始 | 卒業・終了年度に入る直前の3月1日以降 |
採用選考活動開始 | 卒業・終了年度の6月1日以降 |
正式な内定日 | 卒業・終了年度の10月1日以降 |
リクルーターは学生と近い距離でコミュニケーションを取っていきます。そのため、募集要項やホームページ、会社説明会などでは伝わらない自社の魅力を伝えられ、また学生の聞きにくいと感じる質問にも答えることができます。
現代は、SNSなどの普及により多くの情報を得ることができる反面、内容の正確さや情報の真偽について知りたいと考える学生は、多くいることでしょう。
学生に近い距離で、しっかりと情報を伝えることで、不安を払しょくし、興味関心を高め、応募へとつなげることが可能です。
リクルーター制度には、入社後のミスマッチを防ぐ効果もあります。面接だけでは知ることができない学生の特性やキャリア志向を確認し、自社にフィットした人材なのかを見極める役割を担っているためです。
また、学生側も説明会や面接だけでは得ることができない情報を、リクルーターを通して知ることにより、より具体的に就業後のイメージを持つことができます。
厚生労働省が調査した結果によると、大卒学生の3年以内離職率は以下のとおりです。
1年目で約10%、3年で約30%の新卒社員が退職しています。理由はさまざまだと思いますが、情報不足による「こんなはずではなかった」というミスマッチをできるだけ抑えるためにもリクルーター制度は有効です。
ナビサイトや自社サイトでの募集は、「待ちの採用」です。募集を告知し、学生の応募を待ちます。効率的であり、アピールの仕方によっては多くの学生の応募を集めることができる反面、大勢に向けてのアピールであるため、狙ったターゲット層から応募があるかはわかりません。
特に採用活動が解禁されると、学生は膨大なメールを受信します。DMを送っただけでは、興味を引くことが難しく、また開封さえしてもらえないこともあります。
リクルーター制度には、「攻めの採用」という側面があります。ターゲット層となる学生のもとへリクルーターが赴き、積極的に学生との接点をもつことで、求める人材と出会うことができ、自社についてより深く訴求することができます。
リクルーターの役割は、学生を集めるだけではありません。学生と信頼関係を築くことにより、「囲い込む」「興味を持ち続けてもらう」という役割もあります。
面接対策の相談にのったり、選考や入社における不安や疑問に答えることで、面接・内定辞退の防止に繋がります。相談相手がすでにいることにより、入社に対する安心感も与えることが可能です。
リクルーター制度の活用は注目されていますが、デメリットもあるたため、導入する際には対策を立てる必要があります。
専任のリクルーターを設置する場合であれば、大きな問題にはなりませんが、同じ大学の卒業生である社員に依頼することもあり、兼任するケースも多く、通常業務に影響が少なからずでてきます。
また、所属部門の理解も必要です。業務の調整や、リクルーター業務を鑑みた評価を行うなど、担当社員に大きな負担や不利な状況とならないよう調整が求められます。
学生と近い立場で活動するため、リクルーターの言動は学生の印象に大きく影響します。自社の魅力を強く訴求できる一方、不信感を持たれると悪評が立つ可能性もでてきます。
そのため、リクルーターを担う社員はしっかりと選ぶ必要がありますし、教育・研修も大切です。普段から採用業務を行っていない場合、採用担当者が当たり前と思っていることが、抜け落ちていることもあります。
また、公平性を欠く対応にも気を付けたいところです。自社が求める人物像を理解し、主観に偏らない評価がリクルーターには求められます。
多くの場合、リクルーターがアプローチする学生は、同じ学校であったり、インターンへの参加者となります。多くの学校にリクルーターを派遣するのは難しいですし、アプローチできる数にも限りがあります。リクルーター面談(リク面)も通常は、1対1で実施するため、一人のリクルーターが会える学生は限度があるでしょう。
また、応募者の多様性に欠けてしまうことも懸念としてあげられます。変化の激しい社会において、変化に強い組織であるためには、人材の多様性は不可欠です。
リクルーター制度は、人事以外の社員の協力も必要であり、制度設計や運用、問題点の見直し、効果測定など関係者の負担が大きくなります。
ただでさえ、新卒採用は多忙を極める業務です。忙しいからと片手間でやってしまうと、逆効果ばかりが起きてしまいます。リクルーターが気軽に相談できることも大切ですし、リクルーター制度の運営を担う社員のフォローも必要です。
リクルーター面談とは、学生とリクルーターが面談を行うことで、「リク面」として学生の間でも広く認知されています。
なぜ面談を行うかというと、「新卒採用は3月から」という政府からの要請がでており、学生とコミュニケーション取れる期間は限られています。広報活動の一環として、3月より前に「面談」として学生と接触するのがリクルーター面談です。
学生との接点を多く取り、母集団を広げます。
3月前の活動においては、こちらが主な目的になるでしょう。面談を通して、学生に自社を知ってもらう、またはネットだけでは知ることができない情報を伝え、理解を深めてもらいます。
選考が開始してもリクルーター面談は行われ、選考過程のひとつとして取り入れられることがあります。企業での堅苦しい雰囲気ではなく、カジュアルな場で話すことで、学生自身をより理解するためです。
リクルーター面談は、基本的に面接ではないため、選考よりも「自社を選んでもらう」といった目的が強くなります。
リクルーターの成功可否は、信頼関係といっても過言ではありません。フランクな雰囲気であっても、「上から目線でモノをいう」「学生の意見を全否定する」「自慢ばっかりする」といった信頼を損ねる行為は厳禁です。SNSが発達している時代です。評判はすぐに知れ渡ると心得ましょう。
リクルーター制度で新卒採用の効果を得るためには、4つのポイントがあります。
もっとも重要な役割は、ターゲットとなる学生を集め、「志望度を高める」ことです。リクルーター制度の特徴は、学生と近い距離でコミュニケーションを取れるところにあります。
学生の資質やパーソナリティ、キャリア志向などを確認し、自社に応募してもらうよう動機付けすることがリクルーターには求められます。
そのためには、リクルーターには「ターゲット層」をより深く理解してもらう必要があります。 採用担当者とリクルーターで、事前にターゲット層について認識合わせを行い、齟齬が起きないよう努めましょう。
ポイントは、「人物像をできるだけ具体的に共有する」です。
一例
ここが曖昧だと、時間をかけて学生とコミュニケーションを取ったにもかかわらず、ターゲットとなる人材からの応募が少なかった、という結果を招いてしまいます。
ターゲット層と接触するだけで、学生からの応募が増えるわけではありません。自社に興味関心をもってもらうアピール力がリクルーターには必要不可欠です。
会社説明会に参加する、応募してもらう、という行動を起こしてもらうには、自社に興味をもってもらう必要があります。
ただ会社概要を伝えるのではなく、どのような考えで商品やサービスを社会に提供しているのか、どんなポリシーをもった企業なのか、といった学生の質問に答える、またはアピールすることが求められます。学生によっては、SDGsといった社会的貢献に対してどんな姿勢をもっている企業なのかを知りたいということもあるでしょう。
また、会社説明会やホームページだけでは知ることができない、社風やキャリアパス、仕事に求められることなど「生の声」を伝えることで、より具体的に働くイメージをもってもらうことで、応募を促します。
そのために重要となるのは、リクルーター自身の自社に対する理解の深さです。自身のタスクとあまり関わっていない他部門の新しい取り組みや事業なども知っておく必要があります。そのためにも、学生に対して魅力付けができる人材を選抜する、また事前に時間をかけて研修することが大切です。
しかし、学生を集めたいからといいことばかり伝えてしまうと、ミスマッチや早期離職の原因となります。入社以降も想定し、適切な情報提供を心がけましょう。
学生とリクルーターの信頼関係は、リクルーター制度の成功可否に関わります。信頼できないリクルーターの会社に応募する学生は少ないでしょう。信頼関係の高さは、志望度の向上や入社意思の決定に寄与します。そのため、リクルーターは、「会社の顔」として活動することを常に意識しなければなりません。
信頼関係を構築するために意識したいこと
年齢の近い社員をリクルーターにすることが多いのは、新卒者に親しみを持ってもらいやすく、コミュニケーションをより取りやすくする目的があります。信頼関係が構築されるのはいいことではありますが、適切な距離感を保つことも意識したいところです。
「応募した」「内定がでた」で、リクルーターの役目が終わるわけではありません。学生は、多くの企業とコンタクトを取っていますし、リクルーターが来るのは自社だけとは限りません。
面接や内定辞退を起こさないよう、フォローアップ施策も必要です。選考が進んでいても、内定をもらったとしても社会人になることに対して、学生は少なからず不安を抱えているものです。この企業を選んでよかったのだろうか、と立ち止まることもあります。その不安に対して、積極的にフォローアップをしてきましょう。
また、自社への興味関心を保ち続けるためのフォローアップも有効です。
新卒採用では、採用活動が主業務でない社員がリクルーターを兼務することもあります。兼務の場合、リクルーターとなる社員の上司や同僚に負担のかかる恐れがあることから、反対意見が出る可能性があります。
そこで、採用活動について経営層や他の社員から理解が得られるようにリクルーターを制度として構築し、全社員でその意義を共有しておく必要があります。例えば、どれほどの期間リクルーターとして活動するか、リクルーターとして業務から抜ける間のフォロー体制をどうするかなどを決めておきましょう。
そのうえで関係者を集め、説明の場を設けます。丁寧に説明することで反対意見の解消に努めましょう。また、採用イベントや相談会、企業・応募者と接触時の飲食費や出張旅費はどのように精算するかといったことについても、社内ルールの策定が必要です。
また、リクルーターを担う社員に負担が偏る、評価が不利になる、といった不利益でないよう対策も必要です。「リクルーターをすると損をする」といった評価を社内で受けてしまうと、リクルーター活動がおろそかになってしまい効果がでない、制度自体が形骸化してしまう可能性もあります。
リクルーターは企業の顔となるので、その選抜は重要です。
一般的には、新卒者と年齢が近い若手社員のなかから優秀な社員を選ぶケースが多いです。新卒者にとって年齢が近ければ接しやすく、身近なロールモデルとして入社後の自分の姿をイメージやすいからです。また、リクルーター自身も卒業から時間がそれほど経っていないため、学生の気持ちを汲み取りやすくギャップが生じにくい傾向にあります。この際、人事部関連部署から選ぶ必要はありません。
あるいは、自社及び業界の動向を熟知し、自社事業の将来を把握しており、質問に対しても即座に答えられるベテラン社員を選ぶ選択肢も考えられます。社会人として長年培ってきた豊富な経験や知識から、自社の魅力や業界全体の動向、キャリアについてなど具体的で説得力のある話を伝えることができます。
新卒採用のリクルーターに適性として、以下のようなものがあげられます。
企業はリクルーター候補者に対して、リクルーター制度の目的と方法を説明する必要があります。
リクルーター向けトレーニングでは、リクルーターが人事部署所属ではない限り、採用に関するノウハウがないことを念頭においてトレーニング内容を設定します。
まずは、求人要件の認識に違いが生まれないように、獲得したい人材の具体的イメージや、今年の採用計画を共有する必要があります。人事担当者が用いている採用基準とその見極め方についても、リクルーター候補者たちに伝えておきましょう。
もちろん、新卒者への対応のマナーや質問しやすい機会の作り出し方といった教育も組み込んでください。
リクルーター活動開始後も、リクルーターとの定期的なコミュニケーションは不可欠です。採用活動の進捗状況を確認するとともに、リクルーターたちが抱える課題についてもきめ細かく拾い上げ、対処していきましょう。
リクルーターハラスメントへの対策も欠かせません。新卒者と早期接触をはかり、ときには個人で連絡を取り合うこともあるリクルーター制度を悪用し、新卒者にセクハラやパワハラをするケースが問題になっています。
これに対して、厚生労働省は職場におけるセクハラ・パワハラ行為の禁止について「就職活動中の学生等の求職者、労働者以外の者(個人事業主などのフリーランス、インターンシップを行う者、教育実習生等)に対しても同様の方針を併せて示すこと」とする指針を発表しています。
社内報、パンフレット、社内ホームページ等へのハラスメント行為の禁止に関する記載や、それらの周知・啓発のための研修・講習等を実施など、従業員に対する対策と同様の具体的な対策が企業に求められています。
すでにリクルーター制度を設置している企業では、1対1での面談時には社内や公共の施設を利用することや、飲酒の誘いや異性からのOB訪問は禁止することをルールに盛り込むなどの対策が実施されています。
新卒者が将来一緒に働く可能性のある大事な仲間であることを伝え、リクルーターハラスメントへの対策を講じましょう。
参照:厚生労働省|就職活動中の学生等に対する ハラスメント防止対策を強化します!
新卒採用におけるリクルーター制度の導入は、企業にとって大きな効果をもたらす半面、人材の選抜、業務工数や求められる知識など導入の壁になる課題もあります。
社内ノウハウの不足や人手不足により、リクルーターに回すだけの人材が確保できない場合は、採用代行サービスを手掛ける企業にリクルーター業務を依頼する方法もあります。
リクルーター活動に関するノウハウを十分に備えた採用活動のプロフェッショナルによる採用活動が可能です。ただし、コストが発生するので、依頼の際には実績やスキル、得意とするのは新卒者か中途採用者かなども確認してください。
採用代行サービスは、リクルーターの代行だけではなく、さまざまなサービスを受けることが可能です。
業務一例
新卒採用は、中途とは異なり、まとまった人数へ向けて説明会を実施したり、面接を実施したりします。自ずと案内や調整といった業務のボリュームが一時的に増えますが、そのような中でもひとりひとりの学生に対してスピーディー且つ丁寧な対応が大切となります。一時的に発生する業務をアウトソースし効率化を図ることを検討されてはいかがでしょうか。
リクルーター制度の導入には、優秀な人材の早期発掘や確保というメリットがあります。
しかし、企業にとってメリットあるリクルーター制度も、準備が不足しては期待する成果を得ることができません。担当のリクルーターに対し、自社の魅力や採用基準、採用活動に関する有益な情報の共有などが必要です。また、リクルーターだけでなく関係者含む全社員への活動に対する理解も欠かすことができません。厳しい採用競争のなか、企業の将来を託すことができる優秀な人材を獲得していくために、リクルーター制度の有効活用を検討してはいかがでしょうか。
リクルーターと、ターゲットに対して「この会社で働きたい」と思ってもらえるような情報発信を実施するためのプランを共有するには、「採用ブランディング」の考え方が役立ちます。「採用ブランディング」については、「採用ブランディングとは|導入の目的やメリットを解説」で解説しています。
参照:
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)|厚生労働省
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