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採用・雇用時にもらえる助成金の各支給要件・支給額を解説

掲載日2021年10月 5日

最終更新日2021年10月26日

目次

    優秀な人材を採用しようと考えるならば、投資は必要になります。ただ、できる限り費用は抑えたいところでしょう。そんなときに活用したいのが「助成金」です。助成金とは、国や地方自治体などから支給される、返済が不要なお金のことです。今回は、採用・雇用に関する助成金について解説します。

    雇用関係助成金とは?

    雇用関係助成金とは雇用に関するさまざま助成金のことを指します。新規採用に関するものや、雇用環境の整備に関するものなど、数多くの助成金が用意されています。要件に該当すれば基本的に支給されますが、予算が決まっている場合が多く、申請期限内でも募集が終了となる場合もあるため注意が必要です。

    また、原則としていったん申請書類を提出すると、その後の訂正が認められない場合も多いため、申請の前には必ず再確認を行いましょう。

    雇用関係助成金を受給する条件

    国(厚生労働省)から支給される助成金の場合、各助成金の要件に該当するほかに、下記の要件をすべて満たしている必要があります。

    1. 雇用保険に加入している事業所である

    2. 次の3つの審査に協力する

     ・審査に必要な書類などを整備・保管している

     ・管轄労働局などから求められた場合、審査に必要な書類などを提出する

     ・管轄労働局などの実地調査を受け入れる

    3. 申請期間内に申請を行う

    雇用関係助成金は、国や自治体などの支給元にもよりますが、労働基準法などの労働法を順守していることが前提です。法違反がある場合や、過去に助成金を不正に受給したことがある場合、労働保険料を納入していない場合は受給できない可能性があります。

    採用・雇用に関係する主な助成金

    採用や雇用に関係する採用や雇用に関係する7つの助成金(コース)をピックアップして紹介します。

    特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

    特定求職者開発助成金は、特に就職が困難な方について、ハローワークなどからの紹介により継続して労働者として採用する事業主に対して支給されます。そのうち、60歳以上65歳未満の高年齢者や障害者などの雇い入れを対象としたものが「特定就職困難者コース」です。

    支給要件

    主な支給要件は下記となります。

    (1) ハローワークや民間の職業紹介事業者などから紹介されて雇い入れる

    (2) 雇用保険の一般被保険者として雇い入れる。さらに、対象者が65歳以上になるまで、継続した雇用が確実であると認められる

    支給額

    支給は、対象となる労働者の状況や企業規模に応じて、一人あたり下の表の額となります。

    特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 支給額
    出典:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

    特定求職者開発助成金の中で、65歳以上の高齢者を雇い入れる場合、「生涯現役コース」の助成金が該当します。

    支給要件

    主な支給要件は下記となります。

    (1) ハローワークや民間の職業紹介事業者などから紹介されて雇い入れる

    (2) 紹介された日に雇用保険の被保険者ではない人で、満年齢が65歳以上の人を雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れる

    (3) 1年以上の雇用期間(無期雇用を含む)で雇い入れる

    支給額

    支給は、対象となる労働者の状況や企業規模に応じて、一人あたり下の表の額となります。

    特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース) 支給額
    出典:特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

    特定求職者開発助成金の中で、生活保護受給者や生活困窮者を雇い入れる場合、「生活保護受給者等雇用開発コース」の助成金が該当します。

    支給要件

    主な支給要件は下記となります。

    (1) ハローワークや民間の職業紹介事業者などから紹介されて雇い入れる

    (2) 雇用保険の一般被保険者として雇い入れる。さらに、対象者が65歳以上になるまで、かつ2年以上雇用することが確実と認められる

    支給額

    支給は、対象となる労働者の状況や企業規模に応じて、一人あたり下の表の額となります。

    特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース) 支給額
    出典:特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

    就職氷河期に十分なキャリア形成ができずに正規雇用としての就業が困難な方を雇い入れる場合、「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の助成金が該当します。

    支給要件

    対象となる労働者は以下のいずれにも当てはまる方となります。

    (1) 雇い入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満

    (2) 雇い入れ日の前日から過去5年間に正規雇用された期間が1年以下(通算)。さらに、雇い入れ日の前日から過去1年間に正規雇用されていない

    (3) ハローワークなどの紹介時点で失業している状態、または非正規雇用である。さらに、ハローワークなどで、就労支援(個別支援など)を受けている

    (4) 正規雇用を希望している

    支給額

    支給は、対象となる労働者の状況や企業規模に応じて、一人あたり下の表の額となります。

    特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース) 支給額
    出典:特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

    地域雇用開発助成金とは、求人が特に少ない地域で会社を新しく設立したり、事業所を設置したりして、求職している地域の住民を雇い入れた場合に支給される助成金です。

    そのうち、求人が著しく少ない地域や、働き盛りの年代の流出が多い地域、離島などを対象としたものが「地域雇用開発コース」です。

    支給要件

    地域雇用開発コースの助成金を受給するためには以下の要件・手続きが必要です。

    (1) 事業所の設置や雇い入れなどに関する計画書を管轄労働局長に提出する

    (2) 事業所の設置・整備費用が合計300万円以上となる

    (3) 要件を満たす労働者を3人(創業の場合は2人)以上雇い入れる

    (4) 完了届(第1回支給申請書)を管轄労働局長に提出する

    その後、対象となる労働者数を維持することにより、最大3回まで受給することができます。

    支給額

    支給は、事業所の設置に要した費用と、雇い入れにより増加した労働者数に応じて、下記の表の金額が支給されます。

    特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース) 支給額
    ※生産性要件を満たすと「優遇」、満たさないと「基本」の記載額が支給される
    ※中小事業主の場合は、初回の支給時に上記の額の1/2の額を上乗せ。ただし、創業の場合はこれにかかわらず、労働者の増加数2人から対象となり、初回の支給時に()内の額が支給される

    出典:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース )

    地域雇用開発助成金にはもうひとつ「沖縄若年者雇用促進コース」があります。

    支給要件などは「地域雇用開発コース」とほぼ変わりませんが、「沖縄若年者雇用促進コース」の支給額は、対象労働者に対して一定期間中に支払われた賃金の1/4(中小企業は1/3)が支給される「賃金助成」である点が大きな違いです。

    また、対象となる労働者は、求人に応募した時点で沖縄県に住んでいる必要があることにも注意が必要です。

    「地域雇用開発コース」と「沖縄若年者雇用促進コース」はどちらも受給することが可能なので、沖縄で事業を開始する場合にはぜひとも利用したい助成金といえます。

    地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)| 沖縄労働局

    なお、この「沖縄若年者雇用促進コース」は「国(厚生労働省)」が支給する助成金ですが、各地域で独自の助成金(補助金・奨励金など)を支給している地方自治体も数多く存在します。

    特に創業や新しい事業を開始する場合は、下記サイトなども参考に地方自治体から受給できる助成金を探してみてください。

    独立行政法人中小企業基盤整備機構 │支援情報ヘッドライン│補助金・助成金・融資

    トライアル雇用助成金

    採用に関する助成金は数多くありますが、その多くは原則として長期雇用を行うことを前提として支給されます。ただ、新規採用を行う場合、その労働者の適性や能力などを把握できないまま採用することになるので、ミスマッチが生じる恐れもあります。そうした不安がある場合に利用を検討したいのが「トライアル雇用助成金」です。

    トライアル雇用は、事業主が就職困難な求職者を原則3ヵ月間の期間を試しに雇用して、適正やスキルを見極めたうえで正式な雇用へ移行できる制度です。

    支給額

    支給額は、対象者一人あたり月額最大4万円(母子家庭の母など、または父子家庭の父の場合5万円)が雇い入れの日から1ヵ月単位で最長3ヵ月間支給されます。

    トライアル雇用助成金は、事前にトライアル雇用求人をハローワークなどに提出し、その求人に応募してきた方についてハローワークの紹介によりトライアル雇用する必要があります。そのため、まずはハローワークなどにトライアル雇用求人を提出するところから開始しましょう。

    障がい者雇用に関係する助成金

    助成金の主な目的のひとつが「雇用を促進する」ことです。十分な能力や意欲がありながら、正社員など一般的に安定した雇用として採用されることが難しい障がい者の雇用について、多くの助成金が用意されています。

    トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)

    トライアル雇用助成金に「障害者トライアルコース」というものが用意されています。

    「障害者トライアルコース」には、対象となる労働者が精神障がい者の場合は助成金の支給月額が8万円になるなど優遇措置もあります。

    また、精神障がい者や発達障がい者の場合は、雇用保険の加入対象とならない週20時間未満の雇用でも対象となる「障害者短時間トライアルコース」も用意されていますので、まずは短時間からの雇用も検討できます。

    なお令和3年度からは新型コロナウイルス感染症への対応として、テレワーク勤務を行う場合は、トライアル雇用期間を最長「6ヵ月間」まで延長できるように拡充されています。通勤が困難な労働者や職場の整備が難しい事業主など、双方にとってさらに障がい者雇用に取り組みやすくなっています。

    特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

    前述の特定求職者雇用開発助成金にも、障がい者を対象とした「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」があります。このコースは、障害者手帳を所持していない方で発達障がいまたは難病のある方が対象です。

    支給は、対象となる労働者の状況や企業規模に応じて、一人あたり下の表の額となります。

    特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース) 支給額
    ※短時間労働者とは、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者をいう

    出典:特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)│厚生労働省 表を編集して作成

    重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金

    障がい者を雇用する際、オフィスの整備などが必要になる場合があります。特に重度の障がいがある方などを採用する場合は、会社の施設や設備そのものを新しく設置・整備しなければならない場合もあるかもしれません。そんなときはこの助成金を利用しましょう。

    重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金は、対象となる障がい者を10人以上雇用している、労働者数に占める対象障害者の割合が20%以上などの要件を満たすことで、施設の設置などに要した費用の2/3、最大5,000万円(第3セクターなどの特例の場合、3/4、最大1億円)まで助成金が支給されます。

    この助成金は、新規の採用に関して助成するものではありませんが、障がい者を多数雇用している場合などには、ぜひ利用したい助成金です。

    はじめての障がい者社員受け入れガイド【採用前準備編】

    障がい者の雇用にあたっては、一般の採用以上に考えるべき点がいくつか挙げられます。 特に「採用」をもってゴールとするのではなく、社内に障がい者社員が社内に定着し、安定して働き続けられる環境を整えることも踏まえた上で採用を考える必要があります。詳しくは下記の資料をご確認ください。

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    ハローワーク経由の採用でなくても受給できる助成金

    採用に関する助成金は、多くの場合ハローワークなどを経由して採用することが要件になっています。ただし、その要件がない助成金もあるので、ここでは3つピックアップして紹介します。

    キャリアアップ助成金(正社員化コース)

    多くの会社で利用されているのがキャリアアップ助成金(正社員化コース)です。

    一般的に、有期雇用などの非正規で雇い入れていた労働者について、無期雇用や正規雇用に転換した場合に支給されます。派遣社員として受け入れていた方を直接雇用する場合も対象となります。

    支給額は、企業規模や雇用形態によって変動しますが、派遣元で有期雇用であった労働者が、派遣先の中小企業で正社員として雇用された場合は一人あたり85万5000円 が支給されます。

    中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース )

    中途採用等支援助成金の「生涯現役起業支援コース」は、40歳以上で起業した方が、労働者を新たに採用した場合に受給できる助成金です。

    ハローワーク経由である必要はないため、民間の求人情報掲載費用や募集パンフレット作成費用、就職説明会への参加費用など、採用に関する費用を支出している場合に、費用の1/2、最大150万円の受給が可能です(起業者が60歳以上の場合は、費用の2/3、最大200万円の受給が可能)。

    採用後の教育訓練や講習に関する費用なども対象となるため、じっくりと腰を落ち着けて採用や教育を行いたい場合に受給を検討しても良いでしょう。

    産業雇用安定助成金 とは?

    産業雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に事業を縮小せざるを得ない場合に、従業員の解雇などを行わず、在籍型の出向により雇用を維持する場合に支給される助成金です。

    産業雇用安定助成金は新たに採用する場合の助成金ではなく、雇用を維持するための助成金という意味では「雇用調整助成金」に近いものといえます。しかし、「出向先」が負担する賃金部分や教育訓練などの経費も助成対象となることから、出向先での雇用を支える助成金といえるかもしれません。

    「出向運営経費」として出向中に必要となる経費(賃金、教育訓練費、労務管理費など)の一部を、出向元の雇用状況や企業規模に応じて一人1日あたり下の表の額が支給されます。

    産業雇用安定助成金 支給額

    また上記とは別に「出向初期経費」として、出向を行うためにかかった費用(就業規則・出向契約書の整備費用、出向受け入れのための機器や備品の整備費用など)について、下記の助成があります。

    出向初期経費 助成額

    さらに、要件に該当すれば以下の加算もあります。

    出向初期経費 加算額
    ※「雇用過剰業種」とは①生活関連サービス業・娯楽業②宿泊業・飲食サービス業③運輸業・郵便業の3業種が該当する

    なお、この助成金は出向元と出向先それぞれに助成金が支給されますが、手続きは「出向元」がまとめて行います。

    令和3年8月1日以降に新たに開始する出向の場合は、親会社と子会社の間での出向など、独立性が認められない会社間での出向も対象になりました。しかし、助成率がそれぞれ異なります。また、今回新たに対象となった会社(子会社間など)については、「出向初期経費」は支給されない点も注意が必要です。

    令和3年8月1日以降に新たに開始する出向の助成率
    出典:産業雇用安定助成金│厚生労働省 表を編集して作成

    まとめ

    今回紹介した助成金以外にも雇用関係助成金は数多くあります。新型コロナウイルスの影響で「雇用調整助成金」などの雇用維持のための助成金が広く利用されたように、助成金はそのときの雇用情勢によりさまざまなかたちで支給されます。助成金を受給するために雇用することは本末転倒ですが、雇用のさまざまな場面においてプラスアルファとしての助成金の活用は検討するとよいでしょう。

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    著者プロフィール

    山口 剛広(特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント)

    山口社会保険労務士事務所 代表。2002年山口社会保険労務士事務所を開業。企業のパートナーとして、争いを未然に防ぐための労務相談に力を入れている。行政や省庁が実施する「労働条件審査」において数十社に及ぶ審査実績がある。公的機関などで相談員を務める傍ら、ラジオ出演にて労務相談を担当するなど、"相談ができる社労士"として活躍している。

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