
目次
面接は、人材要件に基づき合否判定を下しますが、そもそもの人材要件の認識が関係者とズレていると採用は成功しません。関係者間で「どのような人材が必要なのか」「優先して評価すべき項目は何か」の意識合わせをしておかないと、採用の遅れや無駄なコムとが発生します。
関係者間の認識を合わせるために「人材要件チェックシート」をご用意しております。Excelファイルで自由にカスタマイズもできる仕様ですので、ぜひご利用ください。
初めて面接官を担当するにあたり、どのように振舞えばよいのか不安に感じる人が多いのではないでしょうか。
不適切な質問をしてしまい、応募者に不快感を与えてしまうと企業のイメージダウンになりかねません。応募者を見極める質問を行いつつ、好印象を残す面接官となるためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは初めて面接官を担当される方や、人事以外の部門に所属していて面接官に慣れていない方向けに、面接を成功させるための質問作りのポイントや、聞くべきではないタブーな質問、取ってはいけないNG行動など、新卒採用・中途採用問わずに活用できるベーシックな知識について紹介します。
初めての面接官をうまく遂行していくためには、そもそも面接官とはどのような役割なのかということを正しく理解しておく必要があります。最初に面接官の役割について解説します。
面接官の最も大きな役割のひとつは、応募者の見極めです。書類選考である程度の人物像はつかめていても、記載内容の正否や対人スキルまでは判断できません。履歴書や職務経歴書は、添削やアドバイスを受ければ立派な見た目にすることができるからです。
面接の応答では、話し方、聞き方、表現力、表情、立ち居振る舞いなど文字には表れない非言語コミュニケーションによる数多くの情報が得られます。また、書類に記載されている事柄を深堀りすることができるのが面接の機会だからこそ、面接前に閲覧可能な履歴書や職務経歴書などについては、漏れなく目を通しておいたほうがよいでしょう。
応募者にとって、実際に就職するまでその企業の「内側」に触れる機会はほとんどありません。そうした意味で、面接官は企業の印象を大きく左右する存在となります。応募者は面接官を通して、企業の内実を見ようとするでしょう。
面接後に「想像以上に良い会社だった」という好印象を持って就職への意志を強くするのか、その逆の思いを持つのかは、面接官の対応にかかってきます。面接官の不適切な発言を不快に感じて、SNSへ書き込む応募者もいないとは限りません。
面接官は「企業の顔」としての責任を自覚し、自分の発言や行動がもたらすリスクについても、十分に注意しなければならないでしょう。
採用CXとは、「応募者体験」という意味で、採用活動を通して企業のファンにもってもらうという体験設定のことです。
企業は、今や選ばれる側です。面接で自社に必要な人材を見抜くと同時に、求職者に与える印象も考慮した採用活動を行わなければいけません。
限られた採用担当者がこれらのコア業務に集中するために、採用代行(RPO)サービスを活用しだしています。
実際に面接をする際には、面接官として押さえておくポイントがいくつかあります。ここでは面接時に面接官が大事にすべきポイントについて解説します。
面接は企業が応募者をジャッジする場と考えがちですが、応募者が企業をジャッジする場でもあります。特に採用難が続く近年では応募者も複数の内定をもらった企業の中から入社企業を選ぶ傾向があります。
選ばれる側でもあることを念頭に置き、身だしなみ、清潔感などの第一印象、立振る舞いなどでマイナスにならないように気を付けましょう。
面接では知らず知らずのうちに面接官が無意識のバイアス(先入観)をかけて評価をしてしまうことがあります。大切なのはこういったバイアスがあることを認識したうえで陥らないように気を付けて面接をすることです。
では、面接におけるバイアスの例をいくつか挙げてみましょう。
第一印象に引きずられてしまい、その後も第一印象を裏付ける情報を集め「こういう人だと決めつけてしまう」バイアス。例えば、第一印象で「誠実で好感が持てる」と感じたら、その後も「誠実である」と決めつけた質問の投げかけや、「好感が持てる」と感じる回答を集めてしまうことです。
「学歴」「年齢」「性別」「外見」などの属性ごとの特徴で先入観を持ってしまうバイアス。学歴が〇〇大学なので「優秀だろう」や「年齢が高いので行動力がないだろう」などと決めつけてしまい、適切な質問や判断がなされないことです。
自分と似ている人を高く評価してしまうバイアス。自分と似たような考え方や共通項を見つけると、無意識のうちに甘い評価をしてしまう傾向があります。例えば、自分と似た苦労を経験しているとほかの側面には目がいかず、偏った判断で「自社に合う人物だ」と決めつけてしまうことです。
バイアスを意識せずに選考を行ってしまうと、ミスマッチが立て続いたときに面接官としての信頼も失いかねません。
防止策としては、求人ポジションの人材要件を明確にし、関係者と齟齬がないか確認をすることです。
最適な人材の採用へ「人材要件チェックシート」をご用意しています。
面接の基本的な流れは、概ね以下のとおりです。面接の持ち時間に応じて、ペース配分をあらかじめ考えておくといいでしょう。
いきなり本題から入るのではなく、最初に面接とあまり関連のない、天気や交通などの日常的な話題でその場の空気を和らげ、応募者の緊張をほぐします。
まずはご自身の氏名、役職、担当業務など簡単な自己紹介をしてください。続いて、自社の沿革、主な事業内容、運営方針などの企業概要を簡潔に伝えます。
応募者の履歴書、経歴書にもとづいたキャリアに関する質問を行い、仕事の能力や経験値を確認します。記載内容に誇張や虚偽がないか、具体的・客観的に自らの口で語ることができるか、などを判断していきます。
「実際にどのように働きたいのか?」といった入社後のビジョンや仕事への要望などを、できるだけ自分の言葉で話してもらい、自身の将来像や自社への理解度がしっかりしているかどうかを確認します。
応募者の不安要素を残さないよう「疑問点がないか?」を必ず確認しましょう。
最後に、勤務体制やシフト、入社日など、事務的な要件を確認し、双方の理解を一致させておきます。合否連絡の目途・方法などについても申し添えておきましょう。
関連記事
面接の流れについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
採用面接の質問で人材を見極める!面接官の役割と質問例を紹介
最近では面接のオンライン化も急速に進んでいます。対面でおこなう従来の面接とは異なり、ネットワーク環境やセキュリティリスクなどにも配慮が必要です。
対面の面接時では、身振りや視線などのノンバーバル(非言語)コミュニケーションが、質問への理解度や応募に対する意気込みなどの判断の手助けになりますが、オンライン面接では、画面を介してのコミュニケーションを取るため、面接官・候補者の双方で把握しづらいといった特徴もあります。
求職者を置いてきぼりにして話を続けてしまうといったことがないよう、「音声は大丈夫ですか?」「ここまでで疑問点はないですか?」など、こまめに確認するなど、オンラインならではの気配りも必要とされます。
関連記事
オンライン面接・WEB面接特有の注意事項などは「オンライン面接を成功させるには?メリットと注意点を解説」で詳しく解説しています。
それでは、こちらの知りたいことを応募者から上手に引き出すためには、どのような質問をすればよいのでしょうか。質問の作り方のポイントの確認と、参考となる質問例の紹介をしていきます。
面接官として質問を作成する際には、面接での応答が採用可否の評価材料となることを念頭に置く必要があります。最終的な採用判断に結びつく質問とするためには、採用基準作成時の優先順位を忘れないようにしましょう。
また、限られた時間を効率的に使うことを意識し、場の空気を和らげる質問、核心に迫る質問などを使い分けられるよう時間配分を考えます。採用基準に合う人物かを見るために、スキル・経験・志向性などバランス良く情報収集すると同時に、どこを掘り下げるのかについても留意します。
「〇〇の経験はあるか?」「××の操作は可能か?」「▽▽への興味・知識はどの程度か?」といった具体性・客観性を意識することも大切です。実績については、数値を確認する質問が有効です。リーダーとして束ねた人数や、業務に携わった年数などのほか、褒賞を受けた場合にはどの程度の価値なのかを尋ねてください。
例えば営業手腕をアピールされた場合に、全国100支店でトップ、年に1名の社長賞受賞などといった具体的で客観性のある実績が回答として得られれば、信頼できる実績である可能性が高いと判断できるでしょう。
関連記事
採用基準についての詳細は「採用基準とは 設定方法と見直すべきケースについて解説」をご参照ください。
質問はイエス・ノーで答えられる「閉じた質問(クローズド・クエスチョン)」と、自分なりの答えを必要とする「開いた質問(オープン・クエスチョン)」を組み合わせて作成していきましょう。
閉じた質問では、即答力、決断力を見ることができ、開いた質問ではより多様性のある回答が期待できます。
開いた質問では応募者に話したいことを選択する余地があり、質問する側が思いもよらなかった話が出てくる可能性も含んでいるので、情報が多く得られるでしょう。話が広がると、応募者の新たな視点や考えを引き出すことにも役立ち、応募者の人となりや対話能力、発想力、知識などがより正確に把握できる機会となるでしょう。
スキル・経験などの情報収集をしたら、その中の1~2つのエピソードに焦点を当て深く掘り下げていくことで、考え方の本質やロジカル性を確認していくことができます。
例えばコンピテンシー面接という面接手法は、高い成果を残せる人の共通の行動特性(コンピテンシー)があるかを、過去の経験を掘り下げることで見ていく方法です。
コンピテンシー面接のひとつ、STARモデルでは、ひとつのエピソードに対し「STAR」の頭文字を取った質問をしていくことで、応募者の価値観や思考パターンを探る深堀リができます。
採用業務は、個人情報の取り扱いから応募者対応など細やかな対応が求められる業務が数多く発生します。
採用成功のために採用代行サービスを利用している企業が増えています。
採用代行を活用した採用成功例を5つ資料にまとめました。
ここでは実際の面接時に活用できる面接質問例を紹介します。
事実(経歴)の確認においては、先述の「STARモデル」を活用した例を紹介します。ひとつの経験(エピソード)に焦点を当て深堀していきます。成果や結果に加えて、そこに至る考え方や課題解決方法から応募者の価値観・思考パターン・強み・弱みなどが見えてきます。
さきほど「新規事業立ち上げ」の経験で苦労されたとおっしゃっていましたが...
退職理由は応募者の深層心理や物事の捉え方が反映されやすいため、できる限り本音を引き出す質問を重ねていくことが求められます。具体的には「Why」「What」「How」の質問で退職理由を深堀していくとよいでしょう。
志望動機は、退職理由からつながっていることが多いため(〇〇が叶わないため転職を希望しており、応募企業は〇〇が満たされるため希望しているなど)、経歴の流れや転職理由を聞いた上で「なぜ自社への応募につながったのか」という志望動機の質問につなげていくとよいでしょう。
また転職の際には現職に残るという選択肢もあるため、転職意欲が本当に高いのかを確認する場合もあります。
転職時には経験・スキルを活かせるかの確認も重要ですが、価値観や風土が合うか、また転職において何を重視しているかの転職の基準を確認するのもポイントになります。
過去の経験だけではなく、将来のイメージや入社後のビジョンなども、応募者の志向や価値観を知るため、また具体的な働くイメージが持てているかの確認のため聞いておきたい質問です。
応募者からの質問は志望度や自社への理解度確認にもなるので、最後に応募者からの質問を確認するとよいでしょう。また面接内で言い足りなかったこと、うまく伝えられなかったことを最後に伝えたいという応募者もいるため、「最後に伝えたいことないですか」と確認するとよいでしょう。
コロナ禍によりオンライン会議の普及が加速し、面接においてもオンライン化の導入が急速に進みました。選考段階によってオンライン面接とオフライン面接を併用して実施する企業もいるでしょう。ここでは、オンライン面接で注意したいポイントについて解説します。
接続トラブル、通信環境の不具合をできるだけ回避するためにも、事前に接続テストを行い、ネット接続の安定している場所の確認、接続方法の確認は済ませておきましょう。
接続トラブルが発生したときのために、あらかじめスマートフォンでのテザリングなど予備の通信手段も検討しておくとよいでしょう。
画面に不要な情報が映らないように、デスクトップに余計なファイルを置かず、不要なファイルは事前に閉じていることを確認した上で面接に臨みましょう。
面接時はカメラの位置に気をつけましょう。相手からの見え方を考慮したうえで、カメラの位置を調整します。カメラが自分の目線よりも下にあると上から目線になり場合によっては偉ぶったように見えてしまう可能性があります。
一方、カメラが自分の目線よりも上にあると下を向いているように見えてしまうため、カメラの高さが目線と同じ位置に来るように調整しておきます。
対面と違い、オンラインでは相手の表情や雰囲気、空気感が読み取りにくいため、応募者は話が伝わっているか不安に思うことがあります。そのため、相槌やうなづきなどのリアクションは普段よりも大きめに取るとよいでしょう。
また、面接官からも応募者の表情が読み取りにくいため、対面で話すときよりも注意して相手の表情や反応を確認しながら話をするようにしましょう。
相手の反応が分かりにくいため、応募者に音声が届いていない、音声が途切れているなども気づかずに話し続けてしまう場合があります。
「音声は大丈夫ですか?」や「疑問点などはないですか?」など、音声がきちんと届いているか、応募者が理解しているかをこまめに確認しながら進めるようにしましょう。
面接官の発言や行動は、面接官が思う以上に応募者の印象に残る可能性があります。不快感を与えるような言動は、絶対に慎まなければなりません。面接官として聞くべきでない質問と不適切な振舞いについて解説します。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本 採用選考時に配慮すべき事項 」から、応募者に質問すべきでないことを以下に引用します。
悪意や特別な意図がなくても、応募者の受け取りようによっては、セクハラ・パワハラにつながる場合もあります。
発言には十分に注意し、準備した質問から逸脱しないように心掛けてください。
威圧感のある態度:面接官と応募者には、上下関係はありません。丁寧な言葉を選び、応募者を委縮させないことが大切です。
応募者の発言に対しては、声に出す・うなずくなど、必ずリアクションを返すようにします
フレンドリーな雰囲気を出そうとして、あまりにくだけすぎると応募者に対して失礼です。
応募者の情報を把握できていないことが分かると、やる気のない面接官であるという印象を与えます。
質問の意図が分からず困惑するような質問、不適切な質問は当然避けなければなりません。
応募者の意向にそぐわない答えを引き出そうとすることは、意味がありません。
自社に関する質問への答えが曖昧になると、不信感を与えてしまいます。その場で即答できない場合には、保留とさせてもらい、後日必ずきちんと回答するようにしましょう。
人材サービス業界や採用担当者の一部には、応募者の目線を重要なポイントとする「採用CX(キャンディデイトエクスペリエンス/Candidate Experience)」という考え方があります。「採用CX」とは、「応募者体験」という意味で、応募者を「数多くいる応募者のひとり」として扱い続けるのではなく、採用活動を通した体験によって「自社のファン」になってもらおうという姿勢を大切にするものです。
ご自身の就職活動での体験を振り返って、好印象だった選考担当者の良かった点を取り入れてみるなど、「この企業を知り、選考に参加できてよかった」と応募者に思ってもらうためには、どういったことをすればよいのかなどにも意識を向けるとよいでしょう。
中途採用では、経歴や前職での実績は申し分ないと思われるのに、実際に入社してもらったら期待したほどの成果があげられていない......というケースがしばしば起こります。これには、企業風土の違いや、周囲との仕事に関する考え方の違いなどから、これまでと同様の成果をあげられずにいるといった要因が大きくあります。面接の場で、表層的な実績の確認に終始していると、このような企業と候補者双方にとって望まぬ結果を引き起こしてしまいます。
質問の作り方の項目でも述べたとおり、実績の確認は必要ですが、その実績を導いた行動や判断について、候補者がどのように考えて行ったのかをさらに踏み込んで聞けるようになると、求める人物像や企業カラーと候補者がどのくらいマッチしているかの判断がしやすくなります。
面接官の役割を遂行し、良い人材の採用に貢献する面接官となるためには、応募者に好印象を与える必要があります。企業人であることをわきまえた清潔感のある服装や、開始・終わり・お礼などのあいさつをしっかり行うことは、面接官としての基本です。
話を聞くときには適切な頻度で目を合わせる、傾聴の姿勢を意識するなど、相手への共感を示すことで円滑で実りの多い面接が実現します。面接はより良い人材を採用するために実施することから、応募者のマイナス点ではなくプラス点を見いだす、自社の事業に寄与できる可能性を探るという視点を持つことを忘れないようにしましょう。
また、採用のミスマッチを回避するため、自社の社風や採用方針を明確に説明し、面接の時点で応募者に十分理解してもらうことも面接官の重要な仕事です。
こちらの資料もおすすめです