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採用基準とは 設定方法と見直すべきケースについて解説

掲載日2020年10月13日

最終更新日2023年3月29日

採用基準とは 設定方法と見直すべきケースについて解説

目次

採用成功のポイントのひとつとして採用基準の適切な設定があげられます。採用基準の設定が明瞭でない場合、「求めている人材が集まらない」「ミスマッチが起こり、採用した人材がすぐに退職してしまう」などの問題が生じることがあります。

また、基準の設定は一回で終わるものではなく、結果を振り返り見直す必要があります。本コラムでは、採用基準の設定と見直すべきポイントについて解説します。

採用基準とは?

採用基準とは、新卒・中途採用において、それぞれの選考を通過させる指標を指します。過去の業績や経験をはじめ、免許・資格の取得のように点数化・可視化しやすい項目のほかに、企業文化との相性や仕事に対する価値観なども基準項目になります。また、基本的には、募集職種やポジションなどに合わせて採用基準を設定します。

採用基準の設定は採用の成否に大きく影響するため、採用開始前に明確に設定し、進捗によって適宜見直すことが求められます。

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採用基準を設定する目的

採用基準を設定する主な目的は次の3点です。

評価基準にばらつきを生じさせない

採用選考において指標が定まっていない場合、面接官により評価が異なってしまう問題が起き、公平性が保てません。面接官の経験や価値観、フィーリングなどの相性で判断してしまうことはよく起きることです。具体的に採用基準を設定し認識を合わせることで、複数の面接官で採用面接を行った場合でも納得感のある選考を行うことができます。

採用のスピード感・効率化を高める

人材不足が続く市況において、採用活動にはスピード感が求められます。採用基準が曖昧な場合、候補者を比較する上でも指標がないため、判断基準に悩みが生じ、合否判定に時間を要してしまいます。

求職者の動きは早く、複数社を同時並行させているのは中途採用でも新卒採用でも同じです。合否の回答や連絡に時間がかかってしまうと、「もう採用される見込みがない」「自分の優先順位は低い」と判断されてしまい、印象の悪化や面接・内定辞退に繋がってしまいます。

候補者の不要な取りこぼしを防ぐため、明確な採用基準を設けることで、採用までのリードタイム短縮と選考の効率化を図りましょう。

ミスマッチを防ぐ

採用基準を作るということは、必要な人材像を具体的にするということです。スキルや経験、資格や素養などを多角的な視点から指標を考えることで、ミスマッチを防ぐ効果があります。

時間とコストをかけて採用に至ったのに、早期退職してしまった、期待したパフォーマンスを出し切れていない、などの問題を起こしたくはないものです。

抜本的な効率化には採用代行の活用を

採用の効率化のためには採用基準の明確化も有効ではありますが、採用代行サービスの活用による業務切り出しで抜本的な効率化を図ることで、より一層多くの工数削減が可能です。
マンパワーグループでは、採用プロセスの業務代行サービス、採用戦略立案や採用プロセス設計などのコンサルティングサービスを提供しています。本資料では、採用活動から採用後の定着に至るまでの各種課題に応じたソリューションを紹介しています。

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採用基準の作成方法

採用基準の作成をする際は、次の5つのステップで作業を進めていきます。

求める人材像を可視化する

求める人材像を設定する場合は、より具体的にすることを心がけます。ポイントをいくつかご紹介します。

  • 現場責任者に「必要なスキル、歓迎するスキル」などを確認する
  • 「自社の理念」や「ビジョンへの共感」を採用基準に落とし込む
  • 職場環境や社風に適しているかを確認する
  • 現在活躍している社員をモデルにしてコンピテンシーモデルを設定する
  • 募集職種によって活躍できる社員のタイプが異なるため、コンピテンシーモデルは募集職種ごとに設定する

コンピテンシーモデルとは

コンピテンシー(Competency)とは、高いパフォーマンスを出す人材に共通する行動特性のことです。スキルや知識、行動などの可視化しやすいものだけではなく、行動を決める思考や価値観、性格的な特徴など可視化しにくい分野も含まれます。

分析・モデル化には時間がかかりますが、人材の採用は企業活動に直結するもので、設定する価値があると言えます。

評価項目を決める

求める人材像に合わせて、書類選考や面接で評価する項目を設定します。
経験・資格・学歴・筆記試験などの判断しやすい項目だけではなく、職種やポジションに合わせた能力(論理的思考や正確性、コミュニケーション力など)なども具体的にしておきます。

即戦力が必要なのか、未経験でも素養と人柄を重視するのか、経理などの正確性が必要なポジションなのか、交渉力が求められるのかなど、評価項目はポジション毎に変えていきます。

評価基準を決める

それぞれの評価項目に合否ラインとなる基準を定めます。資格の有無はわかりやすいですが、類似の資格で補完できるものがあれば列挙しておきます。経験は年数や経験した具体的な業務などを確認します。

また、価値観や性格的特徴など可視化しにくい項目については、共通の質問を用意し、回答内容のレベルなどで判断できるようにしておきます。評価の尺度をなるべく明確にしておくことで、書類選考のスピードUPや面接の充実度が上がります。

優先順位を決める

項目には、必須だと思われる項目と尚可レベルものが含まれていると思います。
昨今の人材不足を鑑みると要件をすべて満たした人材を採用するのは困難です。優先順位を決めることで、入社後の教育を見越した採用も検討できます。募集部門と話し合い、優先順位を決めていきましょう。また、評価基準の緩和が可能な項目も確認しておきます。

あらかじめ優先順位を設定しておくと、採用枠などの問題から選考に迷いが生じたときもスムーズに意思決定が行えます。

それぞれの選考フローに落とし込む

採用基準が決定したら、選考フローに落とし込みます。書類選考での合否基準、筆記試験や適性検査、面接での確認事項など具体的に決めておきます。

また、それぞれの選考担当者と認識を合わせておきましょう。採用基準を設ける理由のひとつは、評価にばらつきを発生させないことです。実際に評価する人が理解してこそ効果を得られるものなので、しっかりと認識を合わせておきます。

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採用基準を作成するときの注意点

続いては、採用基準を作成するときに注意すべき点について紹介します。

明確に言語化する

採用基準は、資格の有無や学歴など定量的でわかりやすいものばかりではありません。
特に個人の特性などは感覚的な言葉が並びやすくなります。

「コミュニケーション能力が高い」「交渉力がある」「臨機応変な対応ができる」「誰にでも分け隔てなく同じ対応ができる」など人によって判断基準が異なるような表現はなるべく避け、具体的にしておきます。

論理的思考の確認であれば、回答内容の良し悪しから判断するのではなく、質問に対して納得感のある回答であったか、矛盾はなかったかを評価するなど、評価ポイントを明確にしておきましょう。

禁止項目が含まれていないか

厚生労働省が公表している「公正な採用選考の基本」では、「思想」(宗教・支持政党など)、「家族に関すること」(職業・続柄・収入など)、「住宅状況」、「本籍・出生地」などの適正と能力に関係がない事項について、面接や書類で質問をしないよう、配慮すべき事項として挙げられています。

設定した基準に禁止事項が含まれていないか確認しましょう。

▼「公正な採用選考の基本」より採用選考時に配慮すべき事項

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参考:
公正な採用選考の基本|厚生労働省

同業他社や市況とかけ離れていないか

評価項目や必須条件など同業他社や同じ職種と比較します。この時に採用条件なども同時に確認し、市況からかけ離れたものになっていないかチェックしておきます。

採用基準が厳し過ぎると、母集団すら形成できないという状況に陥りかねませんし、反対にとりあえず母集団形成をしようと募集要項を甘くしてしまうと、その後の採用工数が増大してしまう恐れもあります。人材紹介会社など市況に詳しいベンダーに相談してみるのもよいでしょう。

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採用成功につなげる運用のポイント

採用基準は、設定して終了ではありません。しっかりと採用活動に組み込み、採用成功につなげることが大切です。

募集要項を工夫する

求人広告や人材紹介会社への依頼など、応募者の判断材料になる募集要項は、伝わりやすいように工夫します。

何が必須条件で、どんな経験を歓迎するのかなどのほかに、会社の社風やポリシーなどを伝えるのもよいでしょう。

人材紹介会社に対しては、譲れない条件と緩和できる条件を具体的に伝えておくことで、紹介の精度が上がってきます。

システマティックな面接を目指す

面接は、どれだけ準備ができるかで精度が高まります。質問をしっかり用意し、ある程度システマティックに面接を行えるようにします。これは構造化面接と呼ばれるもので、「手順を決めて、その通りに面接を行う」というシンプルな方法です。

思っている以上に面接は場当たり的になりやすいものです。特に面接に慣れていない現場担当者の場合、面接官によって確認できた事項が異なったり、自身の経験や価値観で判断しやすくなってしまいます。

共通の質問を用意し、何を聞き、何を確認し、どう評価するかを決めることで面接の確度をあげていきましょう。

最近増えているオンライン面接の場合は特に、非言語情報(表情や動作、緊張など)が得にくくなっています。コミュニケーション力などを測る際に確認したい情報ではありますが、確認が難しいため、質問でカバーできるようにしておきます。

採用した人材の入社後を知る

採用は終わりではなくて、始まりです。採用した人材が期待通りの活躍をしているか、現場の評価はどうか、採用後の状況を確認できる仕組みを作っておきます。

入社後の状況から得た情報を次の採用基準設定に活かすことができれば、採用の質はさらに高まることでしょう。

採用基準を見直した方がよいケースは?

採用基準を設定していても、効果的に機能していない場合があります。その場合、採用のやり直しが必要になる、期待どおりに活躍してくれない人材を採用してしまうなどの大きなデメリットが生じてしまいます。では、採用基準が十分に機能しておらず、見直しをした方が良いケースはどのようなケースでしょうか?ここでは三つの例を紹介します。

人事選考は通っても、現場選考を通らないことが多発

通過させた候補者が、二次選考・三次選考のときに、現場責任者や経営者の判断で予想以上に不採用となるケースがあります。

このような場合に考えられる原因は、採用チームのなかで選考基準の認識がズレていたり、採用基準に「現場の声」が反映されていないことが原因として考えられます。一次選考を通過させた候補者の不採用が多発するときは、一度全員での話し合いの場を持ち、採用基準の認識を合わせ再設定する必要があります 。

応募者が少ない、採用人数が目標に達していない

母集団が思うように形成できない、選考の通過率が悪いなどの問題から目標人数に達しないときは、採用基準を見直す必要があるかもしれません。この場合に考えられる原因は、採用基準が採用市場の現状とマッチしていないケースです。その背景として、次のような問題が生じていると考えられます。

求職者に必要以上のスキルを求めている

スキルや知識が高いことに越したことはありませんが、採用の確実性を高めるためには現実的な設定を意識することも必要です。「募集ポジションで必須条件となるスキルは何か」「必須スキルをどのレベルまで満たしている必要があるか」「必要なスキルが複数ある場合に各スキルの優先順位を設定できているか」といった点を見直しましょう。

入社後に教育できるスキルなのか、入社時に必須なのかという視点も大事です。また、業務内容に対して高いスペックを求めしまうと、いわゆるオーバースペックとなり、早期退職につながることもあります。

他社に人材を奪われている

候補者が複数の企業に応募していることは極めて一般的なことです。競合他社と比べて待遇や業務内容はどうか、それがちゃんと伝わる募集要項になっているかなど、自社だけでなく、競合他社の募集要項もチェックし、面接時の対応などを客観的にチェックして判断することが大切です。

なお、採用人数が目標に達していないからといって、安直に採用基準を緩めるのは考えものです。妥協可能なポイントを探る、候補者の範囲を広げる(募集要項の「四大卒以上」を「専門学校・短大卒以上」に 変更する)など、状況に応じて「譲れる点」と「譲れない点」を見極める必要があります。

採用した人材の早期退職が多い

採用した人の「スキル」と「人数」に問題がなくても、採用した人材が早期に退職してしまうケースもあります。この場合、採用基準と実情(業務内容・待遇・求めるスキル・企業文化など)にミスマッチが生じてしまっている可能性があります。自社の選考基準が実情にマッチしているかを見直したうえで、選考時に求職者に誤解を与えないように情報を発信する姿勢が大切です。

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まとめ:採用基準の明確化と共有が成否を左右する

採用基準を明確に設定しておくことは、ミスマッチを減らし、ニーズに合った人材を採用するためにも有効です。また、採用活動をより良く改善することにもつながります。

採用が思うように進まないときは、採用活動の見直しの一環として、「採用基準に問題はないか」「優先順位は間違っていないか」などを採用担当者だけでなく、配属先と一緒に振り返る必要があります。

この機会に、それぞれのポジションで基準が明確になっているか、共通化されているか、期待したパフォーマンスを発揮する要件になっているか、などを見直してみてはいかがでしょうか。

参考:
公正な採用選考の基本|厚生労働省

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著者プロフィール

マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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