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新卒採用の基本がわかる資料
新卒採用の基本について知りたい方のために、一連の流れをわかりやくまとめた資料をご用意しています。ぜひご覧ください。
採用市場では、新卒採用、中途採用(経験者)採用のほか、既卒、第二新卒などの区分が使われます。この中でも、近年では「第二新卒」に注目が集まっています。第二新卒とは、どのような人のことを指すのでしょうか。注目が集まる背景や、企業の採用担当者が知っておきたい第二新卒を採用するメリットを解説します。
第二新卒とは採用市場においてよく使われる言葉で、一般的には「学校を卒業後に就業経験のある、3年目くらいまでの若手層」を呼びます。
明確な法的定義はありませんが、新卒社員ではないものの、中途社員というには社会人経験が短く、新卒と中途の間くらいの位置づけとされることが多い層です。
新卒で採用された社員は、学校を卒業したと同時の採用になるため基本的には就業経験はありません。
一方で第二新卒者は、短い期間ながらも一度は社会に出て就業経験を積んでおり、社会人としての基礎が身についていることが多いです。
採用方法や研修も中途採用と同様に扱うことが多く、新卒のように他社と足並みをそろえる採用スケジュールではなく、採用タイミングを柔軟に設けることができます。数名単位ではなく、10名以上のようなまとまった人数の第二新卒を採用する企業では、1月入社、4月入社、10月入社などと、期の変わり目のタイミングに計画的に採用するケースもあります。
中途採用は通常、欠員補充や事業強化が決まったタイミングで随時採用活動を行い、入社後は即戦力としての活躍を期待します。
第二新卒の場合、即戦力といえるほどの経験を持たない人材が中心となるため、一定期間の育成が必要なことを見越して採用します。「即戦力の人員補強」が中途採用の目的と考えると「新卒よりは成長が早そうな人員の補強」が第二新卒の目的になるといえるでしょう。
第二新卒と近しい言葉に「既卒」があります。一般的に、既卒者とは学校を卒業後に就業経験のない人を指します。つまり就業経験が少しでもあれば第二新卒、就業経験がなければ既卒と、分けて考えられています。
既卒者が企業の募集に応募する際は、本来は第二新卒同様に中途採用の枠になりますが、厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針」では「学校卒業後3年以内の既卒者は新卒同様として新卒採用枠に応募できる」とされています。企業としても就業経験がなく一から社会人として育成する必要があるため、既卒者を新卒採用のフローに乗せて選考する企業も多くあります。
第二新卒採用という市場が生まれ、注目が集まっている背景を解説します。
少子高齢化の影響もあり、新卒採用で希望する人数を確保できない中小企業が少なくありません。特に、就業経験がない学生は会社の知名度や会社規模などで就職先を選びがちなため、知名度がない企業は学生を採用すること自体に苦労する傾向があります。
そのため、各社同じタイミングで行う新卒採用で大手企業と競うのではなく、新卒入社した企業を何らかの事情で退職した第二新卒にタイミングよくアプローチするという採用手法が生まれました。
新卒採用は、入社1年前に採用活動がスタートし、入社は翌年の4月という、計画的な採用活動です。企業によっては1年後の事業環境もわからない中で採用活動を行うよりも、早期に入社が可能な第二新卒者を採用したいというニーズがあることも注目されている背景のひとつです。
ここでは、第二新卒を採用する主な4つのメリットについて解説します。
新卒採用も近年では4月採用・秋採用など柔軟なスケジュールに変化してきていますが、一般的には入社時期は学校卒業後の4月であり、採用活動の時期も決まっています。
一方で第二新卒は自由度が高く、採用活動時期・入社時期とも企業側でタイミングを決められることがメリットです。中途採用の一環として第二新卒の通年採用を行っている会社も数多くあります。
新卒採用の場合、入社後に社会人としてのあり方や基本的なマナーなど、一から研修し教育する必要があり、通常は社会人として一人前になるまで半年から1年程度かけて育成します。
第二新卒は、他社で既に社会人としての基本的なマナーを身につけていることが多いため、育成コストを抑えられる以外にも、業務スキルさえ学べば早期に活躍できる人材に育つことが期待できます。
中途採用の場合、即戦力のスキルを持つ反面、前職の文化や業務の進め方などを引きずってしまい、マインドセットを変えなければ入社後に組織に馴染みづらいという懸念があります。
第二新卒の場合は、就業期間が短いことから前職の影響は少なく、入社した会社のカラーやカルチャーに染まりやすいといえるでしょう。組織の求心力を高めていくフェーズの会社などは、新卒や第二新卒を採用することで会社のエンゲージメントを高めていくことができます。
第二新卒を採用するにあたって、活用できる助成金もあります。必要に応じて活用してみましょう。
トライアル雇用とは、職業経験の不足から就職が困難な求職者を約3か月間有期雇用し、適性を見極めた上で正社員に登用できる制度です。対象となる要件を満たせば、第二新卒も対象となります。
出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省
人材開発支援助成金とは、職業訓練として職務に関連した専門的な知識や技能の習得を目的とした訓練を行った際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。助成金には7つのコースがありますので、どのようなコースがありどのような条件があるかは、厚生労働省の「人材開発支援助成金」のWebサイトを参照してください。
実際に第二新卒を採用する際に、注意するべき主な4つの点を解説します。
第二新卒は、新卒で入社した会社を約3年以内に退職しています。早期退職しているということで、前職で何らかのミスマッチがあったことは想像に難くありません。面接では「前職を選んだ理由」「退職した理由」などを聞いて、自社にマッチする人材であるかを確認し、自社での早期離職を防ぎましょう。
さらに、退職理由を会社のせいにばかりしていないか、短い経験ながらも何かしら得たものや学んだものがあるかなど、「物事の考え方や仕事へのスタンス」なども確認するとよいでしょう。
第二新卒の採用において、前職の退職理由と同じくらい重要なのが、自社を志望する動機です。前職の退職と同じ理由で自社を辞めてしまわないように、転職理由と志望動機がつながっていることが大事です。つまり、前職を辞めた理由が自社を選ぶ選択基準とつながっているかがポイントです。
例えば「新卒で事業会社に入社したものの、クライアントワークをやりたくなり退職した」という場合、自社がクライアントワークを主に行っているのであれば、納得いく志望理由と言えるでしょう。
そのような志望理由がなく、「どこでもいい」というスタンスだと、自社でもすぐに辞めてしまうリスクがあります。志望動機を確認し、自社に定着して働ける人材かを確認しましょう。
第二新卒者は、就業経験はあるものの業務スキルは未経験とあまり大差ないことが多いです。採用の際は、経験やスキルで判断するのではなく、将来成長できる素養があるか、または仕事へのモチベーションは高いかなどで判断しましょう。
具体的には、前職ではどのような意欲や想いで仕事に取り組んできたかを聞いたり、過去の仕事の壁をどのように乗り越えたかなどを確認したりするとよいでしょう。
入社後、中途採用社員と同じような自走を期待すると、一人前となって活躍するまでに想定よりも時間がかかる恐れがあります。業務面では未経験に近いと考え、入社後の教育育成には力をいれましょう。メンターや教育担当をつけて細かくサポートするのもひとつの手段ですし、具体的なスキルの有無を確認した上で必要なスキルを個別に補う体制を作ることもよいでしょう。入社後の教育を手厚くすることで、活躍できる人材に早期に成長することが期待できます。
「第二新卒と既卒との違い」でも説明しましたが、厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針青少年雇用機会確保指針」では「学校卒業後3年以内の既卒者は新卒同様として新卒採用枠に応募できる」とされています。
大手新卒ナビサイトでは、該当する既卒者の登録も可能なため、学生と同様にエントリーを受け付けることが可能です。募集要項や求人票などに、第二新卒も応募可能な旨を記載するのはもちろんのこと、大学のキャリアセンターの担当者にも伝えておくとよいでしょう。
第二新卒に該当する人の中には、すでに新卒向けナビサイトは退会してしまっている、あるいは「社会人経験がある=中途採用」だと考え、転職サイトに登録する人もいるため、一般的な中途採用チャネルにおいて「第二新卒受付可」とアピールするのも有効です。
ただ、新卒・中途採用の母集団拡大の方法のひとつとしてではなく、第二新卒ならではの人材層を集めたいという意向が強い場合には、求人媒体あるいは人材紹介会社のなかには、第二新卒に特化したサービスを提供しているケースもありますので、そういったサービスを活用するのも方法です。
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既卒・第二新卒問わず、主に30代以下の即戦力採用ではないエントリーレベルの人材を対象にした、ポテンシャル採用を行う企業もあります。
ポテンシャル採用については「ポテンシャル採用成功のポイントは?概要や導入の流れを解説」で詳しく解説しています。
また、社会人経験年数を問わず、該当する職種や業界の未経験者を採用する「未経験者採用」については、「未経験者を採用する3つのメリット|採用の注意点と成功するポイント」をご覧ください。
第二新卒採用は、新卒採用や中途採用の代替手法として活用できます。新卒採用はハードルが高いと考えている企業でも、第二新卒採用であれば新卒採用と比較して入社までの期間も短く、育成のハードルも高くありません。
一方で、先述のとおり面接で確認すべきポイントがいくつかあるうえ、入社後の教育体制などは手厚くする必要があります。それらの気をつけるべき点を押さえながらも、メリットを享受するため、第二新卒採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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