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リテーナー型人材紹介の代表としてヘッドハンティングがあります。
ヘッドハンティングという言葉を聞いても、実際にどんなシーンで活用されているかイメージが付きにくいかもしれません。そこで、実際にヘッドハンティングを活用して優秀な人材を獲得した事例3つをご紹介します。
募集の背景から採用までのステップなどをご紹介しています。
採用と一口にいっても、その対象はさまざまであり、同様に最適な採用手法もさまざまです。希少な経験やスキルを持った人材や、経営層・エグゼクティブクラスの人材の採用を検討している場合は、リテーナー型人材紹介を選択することで、採用成功の確率が高くなります。
ここでは、リテーナー型といわれる人材紹介サービスについて詳しく解説します。
リテーナー型はサーチ型、ヘッドハンティングとも呼ばれる人材紹介サービスのひとつで、一般的な人材紹介とは人材の探し方が異なります。
一般的な人材紹介は、登録型の人材紹介と呼ばれ、人材紹介会社は自社の登録データベースから要件にあった人材を紹介します。一方、リテーナー型は、エージェントが持つ独自のネットワークを活用し、求人市場だけではなく、転職意思を示していない層をもターゲットとし、条件にあった人材を探してきます。
リテーナー型の人材紹介には3つのメリットがあります。
リテーナー型の大きなメリットは、転職市場以外の人材をターゲットにできる点にあります。ニッチな業界での経験や経営層など、ターゲット層がそもそも少ない場合、転職市場で求める人材を見つけるのは困難です。企業がリテンション施策を講じて手放さない、転職市場に出てくる前に知人などから声がかかるなどの理由で接点をもつこともなかなかできません。
人事担当者が、社員や知人に紹介を依頼する、SNSを利用してダイレクトリクルーティングを行うこともできますが、自力で探し出すのには限界があります。リテーナー型のサービスを提供している企業には、ヘッドハンター・リサーチャーと呼ばれる専門家が在籍し、要件にあった人材をリサーチしアプローチ、企業への興味関心を喚起し、接点を作ってくれます。
リテーナー型は、合意を取る過程も綿密に行われます。面談を4回以上実施することも珍しくありません。
採用に向けて人材と企業を慎重に結び付けていくため、互いの認識のズレやミスマッチといったリスクも軽減されます。このようなプロセスを経て採用活動が進行するため、結果として定着率がいい傾向にあることもリテーナー型が選ばれる背景の一つです。
自社で適切な人材を探すことができたとしても、在職中の人材を引き抜いてくるわけですから、トラブルとならないよう慎重な対応が求められます。
経験・スキル・立場など、影響力があり、実績があればあるほど、在籍している企業側も条件面などを好条件にして引きとどめる可能性は高いでしょう。また、業界が狭い場合などは、情報が伝わりやすく、信頼を失わないためにも、適切に対応したいところです。
リテーナー型では、企業間や当人とのトラブルを防ぐための細かなサポートを受けられるため安心です。
リテーナー型のデメリットは、主に2点です。
リテーナー型の人材紹介は、依頼から入社までに比較的時間を要します。登録型の人材紹介は、すでにデータベースに人材が登録されており、条件を入力し検索して適した人材を探すことができます。一方、リテーナー型の場合は、さまざまな情報源を元にターゲットとなる人材を探すことからスタートします。
探せたとしても「転職意思を示していない」人材です。丁寧にアプローチし、業務に興味を示してもらうようコミュニケーションを取っていきます。そこから面談へとなるため、依頼から入社までに数か月かかることは珍しくありません。
リテーナー型の人材紹介は、登録型人材紹介に比べてコストがかかる傾向にあります。登録型の人材紹介は、成功報酬型といって入社が決定した場合にのみ紹介手数料が発生しますが、リテーナー型の人材紹介は、着手金が必要になります。着手金は、候補となる人材を調査発掘する費用と、発掘した人材にアプローチするコストと考えてください。
着手金は、仮に採用に至らなかったとしても返金されないことも覚えておきましょう。また、入社が決まった場合、紹介手数料も発生します。
リテーナー型の人材紹介が向いているケースについて解説します。
特殊な経験やスキルを持つ希少な人材は、転職市場になかなかでてきません。前述しましたが、企業が囲い込みを行っていたり、転職活動する前にスカウトされることがあるためです。また、事業戦略の要になっている人材などは、周囲への影響力があるので、表立って転職活動ができないという事情もあります。
そのため、「応募待ち」の姿勢では、見つけることができません。また、登録型の人材紹介でも候補者はかなり少ないケースが多く、紹介が期待できません。対象となる人材へ積極的にアプローチする「攻めの採用」が向いていると言えます。
経営層などエグゼクティブな人材の採用を考える場合も、リテーナー型の人材紹介の活用はおすすめできます。
会社の未来を左右する人材を外部から採用するわけですから、データベースでは見えてこない経営手腕や周囲の評判も気になるところです。リテーナー型の人材紹介では、人材をさまざまな角度から慎重に分析してアプローチするため、適切な人材を紹介してもらえる可能性が高いと言えます。
さいごに、他の人材紹介サービスとの違いについて解説します。人材紹介の方法は大きく最近の傾向として、部長や課長クラスの募集においてもリテーナー型人材紹介が利用されています。
活用理由はさまざまですが、ミドル世代はいわゆる「超氷河期世代」であり、多くの企業において、社員数が比較的少ない傾向にあります。そのため、ミドル層の優秀な人材の獲得は厳しく、一般的な転職市場で募集しても集まらないため、リテーナー型人材紹介が利用されているのです。
ミドル世代のリテーナー型人材紹介については、「ミドルハンティングとは?中間管理職や専門職の採用手法として注目」で詳しく解説しています。
さいごに、他の人材紹介サービスとの違いについて解説します。人材紹介の方法は大きく分けて3つの形態があります。
形態 | 対象となる層 | 手数料 |
---|---|---|
リテーナー型 | 転職市場だけではなく、働いている人すべて | 着手金と紹介料。着手金は、採用できなくても発生する。 |
登録型 | 自社に登録している転職希望者 |
成功報酬型の紹介料。入社が決定した場合のみ発生 |
再就職支援型 | リストラなどで人員削減を行っており、再就職支援サービスを利用している企業の社員 | 基本的に無料 |
登録型はもっとも多く利用されている人材紹介方法です。中途採用などを中心に、幅広く利用されている人材紹介サービスです。
登録型は、人材会社にすでに登録している人材の中からマッチングを行うため、希望するスキルや条件に合う人材を効率よく採用することができる形態です。登録型の人材紹介会社の紹介手数料は、ほとんどが成功報酬型なので、採用が決定しない場合は費用が発生しません。
リテーナー型に比べて安価であること、すでに転職意思がある人材の登録があるため、人材の紹介・入社までがスムーズという違いがあります。また、ターゲットは、人材紹介会社に登録している層となります。
登録型の人材紹介は、第二新卒~管理職まで幅広く活用できるサービスです。ただし、ニッチなスキルや資格をもった人材を紹介してもらうのは難しい傾向にあります。また、転職希望者が一社だけで進めるケースは少なく、基本的に併願です。そのため、紹介を受けて選考に進んでも、入社に至らないことは多々起きます。
再就職支援型は、アウトプレースメント型とも呼ばれ、リストラや事業縮小などの理由により、企業から依頼を受けて人材の再就職先を紹介するという形態です。
コストをかけず早急に求める経験やスキルを持つ人材を採用したい場合におすすめです。
ほかの人材紹介とは異なり、退職する企業から次の就職先を紹介するための委託費用が人材紹介会社に支払われるため、人材を受け入れる企業側は、通常、費用が発生しません。また、就業している企業からの依頼で再就職の活動を行っているため、新しい就業先への移行もスムーズです。就業後のアフターフォローも人材紹介会社が行う場合もあります。
ただし、再就職支援サービスを利用している企業の人材からの紹介となるため、母集団は大きくありません。レアなスキルや経験のある人材、経営層が含まれる可能性は極めて低いでしょう。
リテーナー型の人材紹介は、幅広いポジションで活用できるサービスではありませんが、求人広告や登録型の人材紹介では獲得できないレアな人材を採用する手法としては検討する価値があります。求人要件やポジションと特性に応じて、3つの人材紹介サービスから適したものを選び採用活動に活かしてみてください。
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