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経営層や後継者、事業拡大するためハイスペックな人材は、業績に直結することが多く、採用で失敗することができません。
経験やスキルだけではなく、価値観などのヒューマンスキルも自社にフィットした人材が必要です。そのようなポジションの採用手法として、ヘッドハンティングを取り入れている企業は増えています。
ヘッドハンティングがどのように行われるかイメージが付きにくい方のために、事例集を用意しております。ぜひご覧ください。
→【導入事例】ヘッドハンティングを活用した3つの採用事例をダウンロードする
経営幹部や新規事業立ち上げ責任者などのハイクラス人材を確保する手段のひとつにヘッドハンティングがあります。企業の戦略立案や業績に直結する業務を担うため、確かな人材を採用したいという目的から、外資系企業を中心に利用されている採用サービスです。
この記事ではヘッドハンティングのメリット・デメリット、サービス利用時の注意点について詳しく解説します。
ヘッドハンティングとは、人材紹介の一種です。
わかりやすく言うと、他社で働いている優秀な人材にヘッドハンターが声をかけ、双方が合意したら入社するという方法です。声をかける相手は、「転職を考えていない層」が含まれること特徴で、転職希望者から探す人材紹介とは一線を画すと言えます。
転職意思がない人材に企業や業務をアピールし、大きな決断を迫るわけですから、ヘッドハンターには相応のスキルが求められます。一方で、他社で活躍している、転職市場にはでてこない人材を獲得できる有効な手段であることから、ポジションを厳選してヘッドハンティングを活用する企業は増えています。
ヘッドハンティングは、従来の人材紹介サービスとは異なる点があります。以下の表は、違いをまとめたものです。
ヘッドハンティング | 人材紹介サービス | |
主なターゲット | 経営者、経営幹部などのエグゼクティブ層、もしくは高度専門職 | 一般社員からミドルマネジメント層まで幅広く対応 |
転職意思 | 転職意思のない人材もターゲット | 転職意思のある人材(人材紹介エージェントに登録している) |
手法 | ・ネットワークや情報網を利用して調査 ・転職希望の有無にかかわらず優秀な人材をスカウト |
・既存のデータベースを利用してマッチング ・データベースの登録者は基本的に転職希望者のみ |
料金体系 | 初期費用あり。リテーナー型 | 初期費用なし。成功報酬型 |
手法の違いから、従来の人材紹介サービスを「登録型」、ヘッドハンティングを「サーチ型」とも言います。ただし、最近ではヘッドハンティングにも「登録型」が見られ、あらかじめヘッドハンティング会社のデータベースに登録している転職希望者から、マッチングを行ってスカウトするケースもあります。
料金体系の「リテーナー」とは日本語で着手金を意味する「リテーナーフィー」を指し、採用の成否にかかわらず発生する費用のことです。成功報酬型とは、採用が決定した場合にのみ費用が発生する料金体系です。
そのため、ヘッドハンティングの料金体系はリテーナー型と呼ばれますが、リテーナーフィーだけではなく、採用に成功した際は成功報酬として紹介手数料も発生します。
初期費用が発生するのは、転職市場の人材プールから候補者を探すのではなく、最適な人材をさまざまな手法で調査し、アプローチするなど事前の活動が重要かつ比重が高いことが主な理由です。
ヘッドハンティング | スカウトサービス | |
主なターゲット | 経営者、経営幹部などのエグゼクティブ層、もしくは高度専門職 | 一般社員からミドルマネジメント層まで幅広く対応 |
転職意思 | 転職意思のない人材もターゲット | タレントプールに登録している転職意思のある人材 |
手法 | ・ネットワークや情報網を利用して調査 ・転職希望の有無にかかわらず優秀な人材をスカウト |
タレントプールツールなどを用い、人事担当者または人材紹介エージェントなどが適した人材を探す |
料金体系 | 初期費用あり。リテーナー型 | ツールの利用料 |
スカウトサービスは、タレントプールからスキル・経験などから適切な候補者を見つけ、アプローチすることができるサービスです。一般的に求職者側からの登録に依存する傾向があり、転職意思のある人材がターゲットになることがヘッドハンティングとの違いと言えます。
転職意思があることから、採用の進行もヘッドハンティングよりは早く、関心を持ってもらった場合、一般的な採用フローで選考に従うことが多いです。
資料:【導入事例】ヘッドハンティングを活用した3つの採用事例
ヘッドハンティングを利用する企業としては外資企業が中心でしたが、社会変化を背景に、日系企業においてもヘッドハンティングサービスの利用は広がっています。
一般的なポジションの採用で感じていると思いますが、少子高齢化はいよいよビジネスの現場にも影響を及ぼしており、人材採用にかかるコストや労力は増す一方です。それに拍車をかけるかのように人材の流動性も高くなりつつあり、若い層を中心に転職へのハードルは下がっています。
優秀な人材の後任探しは難航することがあり、企業は専門的な知識を有する社員や経営幹部・リーダー候補になる優秀な社員のリテンション対策に力を入れ始めています。
その結果、上級管理職や専門性の高い人材は、転職市場に表れにくくなります。
経験とスキルを兼ね備え実績もある人材は、転職活動をしていなくても転職のオファーを受けることが多々あります。
このような状態だと、求人広告に応募してくることは稀ですし、人材紹介会社のタレントプールにも存在しないことになります。求人広告や登録者から探すといった、「待ちの姿勢」でいると、時間やコストをかけても候補が上がらないリスクを背負うことになります。
社会変化の波は変わらず大きく、消費するものや好むサービスの変化をもたらします。
このような事象に対応すべく、企業は事業の方向転換や新事業の取り組みなど柔軟かつ迅速な施策が求められます。そこで必要となるのは、事業を推し進めることができる人材や専門的知識を有した人材です。
そのような人材を社内で調達することができないことも多く、社外から人材を獲得する動きは広まっています。また中小企業の場合、「後継者がいない」という問題を抱えているケースもあり、外部から後継者を迎え入れるためにヘッドハンティングが利用されることも少なくありません。
ヘッドハンティングには3つのメリットがあります。
ヘッドハンティングの強みは、経営者や幹部、高度専門職など一般的な採用手法では獲得できない人材を採用できる可能性が高いことです。
転職市場だけにこだわらず、さまざまなチャネルを駆使し候補者を探し出すため、理想的な人材と出会う確率が高くなる採用手法です。
優秀な人材ほど企業は手放しませんし、転職の意思が本人にあった場合でも転職市場に出る前に声がかかることも珍しくありません。
経営層や大きなプロジェクトを任せたい人材を採用したい場合、失敗が許されません。
ヘッドハンティングの場合、候補者と気軽な面談から始まり、スキルや経験してきたことや実績、パーソナリティなど時間をかけてお互いを知っていくことになります。
また、企業のミッションや達成したいこと、ビジョンなどを共有することで、候補者も求められていることや入社後のイメージがつきやすくなります。
そのため入社後のミスマッチが少なく、期待通りのパフォーマンスを発揮してくれる人材を獲得することができます。
経営幹部クラスの募集や新規プロジェクトの責任者を採用したい場合、同業他社はもちろんのこと、社内でも非公開にしたいことがあります。ヘッドハンティングは、求人募集が公にならないため、内々に採用を進めることが可能です。
ヘッドハンティングにはデメリットもあるため、特徴を理解した上での活用が求められます。
ターゲットに転職意思がない人材が含まれていることもあり、候補者の選定、面談を通しての説得や現職場の退職など入社まで半年程度かかることも珍しくありません。
採用の成否にかかわらず初期費用が発生します。転職市場外から幅広く候補者となる人材を調査していくため、活動費として着手金が発生するケースが多くあります。
着手金は成功報酬ではないため、仮に採用できなかった場合でも発生する費用です。
ヘッドハンティングは、全てのポジションに向いているわけではありません。選択を間違うと、工数・コストがかかった採用になってしまいかねません。
特徴としては、転職市場で見つけることが難しい経歴・経験や特殊技能をもっている人材を採用したい場合、ヘッドハンティングサービスの活用は効果的です。
希少なスキルや経験を持つ人材は、企業からの引き留めもありますし、仮に転職したいと考えても、常にスカウトの話を持ち掛けられている、転職エージェントから頻繁に連絡があるなど、オープンな転職市場に出てくる前に転職が決定してしまいがちです。こうした背景に加え、深い業界知識が必要なポジションの場合、対象者はさらに限られます。
このようなポジションの場合、労働人口のわずか5%と言われる転職希望者に限らず候補者を探してくるヘッドハンティングは有効な採用手法と言えます。
<一例>
経営者
経営幹部
特殊技術、免許を保有する人材
トップセールスマン
ハイスキルなエンジニア
新規事業など自社に経験、スキル保有者がいないポジション
上記に限らず、最近では部長や課長クラスにおいてもヘッドハンティングサービスを利用する企業もあります。
転職市場で一定数いると考えられるポジションです。
応募がない、採用ができない場合、他社に比べて条件が見劣りしていないか、人材紹介会社を増やす、リファラル採用などほかの手法はないか、などヘッドハンティングを検討する前にチェックを行った方がよいでしょう。
転職市場に候補者がどの程度いるか見当がつかない場合、エリアによっても市況が異なる場合もあるため、人材紹介会社に情報を確認するのも有効です。
既述のとおり、ヘッドハンティングは初期費用が発生する分、従来の採用手法と比べてコストが高くなる傾向にあります。そのため、ある程度予算を確保できる企業でなければ利用は難しいかもしれません。
しかし、ヘッドハンティングに適したケースで上手に活用すると、成果の見込めない手法をだらだらと続けるよりも、結果的にコストも時間も抑えて希望の人材の採用につながる場合も少なくありません。
ヘッドハンティング会社の種類は、ターゲットの違いにより主に次のように分けられます。自社の業界や求める人物像によって、適切なヘッドハンティング会社を選ぶことが大切です。
経営者やトップマネジメントなど、ターゲットをエグゼクティブ層に特化した会社で、従来のヘッドハンティングというとこのイメージではないでしょうか。欧米で古くから見られるタイプで、欧米型とも言います。
一般的に業種、職種を限定せず、主にミドルマネジメント層をターゲットとしている会社です。なかには、希少スキルを持つ技術職や専門職を対象としているケースも見られます。
例えば広告業界、IT業界、医療業界などのように、特定の業界に絞ってヘッドハンティングをする会社です。
基本的にヘッドハンティング会社が採用活動を進めてくれますが、依頼する側もフローを理解しておきましょう。一般的に次のような流れになります。
求めるポジションに必要な、業界・職種を得意とするヘッドハンティング会社、または実績豊富なヘッドハンティング企業を探します。いくつかのヘッドハンティング会社から見積もりや提案書を取得し、比較検討するのもよいでしょう。
依頼するエージェントが決定したら、採用までのプランを確認します。初めてヘッドハンティングを利用する場合、リサーチから候補者紹介、入社までのフローや受けられるサービスの説明を受けます。
また、求める人材の要件や業務内容について、細かく認識合わせを行います。
ヘッドハンティング会社が独自で持っているネットワークや独自で開発したシステム、その他さまざまな方法を駆使して、ターゲット人材をサーチします。ターゲット人材が見つかれば、コンタクトを取ります。
転職意思を確認できた、または案件に興味を示した人材を、ヘッドハンティング会社が企業へ紹介します。ヘッドハンティング会社が間に入り、双方で面談を重ねていきます。入社後のミスマッチやトラブルがないよう、しっかりと条件や入社意思の確認はもちろんのこと、求めることや期待している成果、本人のキャリアに対する考え方や社風に合うかなどしっかりと見極めを行います。
面談を通し、双方の意思が高まってきたら、入社条件を提示します。候補者側の要望もでてくるため、ここでしっかりと条件のすり合わせを行います。
ターゲット人材の入社の意思が確認できたら内定を出し、都合を調整して入社日を決めます。内定から入社まで、ヘッドハンティング会社が手続きなどのサポートをしてくれます。また、候補者に対しては、ヘッドハンティング会社が現職の退職サポートなどを行います。
ヘッドハンティング会社に自社のニーズに合った人材をサーチしてもらうためには、求める人材像を可能な限り明確にする必要があります。
「リーダーシップのある人」「人柄重視」といった曖昧な条件は、候補者のリサーチを難航させ、ミスマッチのリスクが生じます。「実績」「経験」「スキル」「資格」などをできる限り定量的に示すことを心がけると、そういったリスクを低減できます。
ヘッドハンティングで募集するポジションは、会社経営の根幹に近いポジションであることが多いため、人材要件はしっかりと行いましょう。
転職意思のない人材を獲得するわけですから、すぐに入社とはいきません。候補者の調査からアプローチ、複数の面談を通しての信頼関係構築、現職場の退職など依頼から入社までには時間が必要です。
早くて4カ月、半年以上かかることもあるため、採用までの期間を十分に確保しましょう。
優秀な人材は引く手あまたな存在です。企業として選ばれるという意識で臨む必要があります。自社の魅力やポジションの役割、期待する役割などを丁寧に伝える、相手の希望をしっかり聞く姿勢をもちましょう。
「選ぶ」側の意識でいる場合、言動に現れやすく、候補者との信頼を築くことが難しくなります。条件の交渉がうまくいかなかった、入社したものの期待したパフォーマンスを発揮しない、などの問題にもつながりかねません。
着手金と人材紹介手数料が必要であることが一般的です。人材紹介手数料は、人材紹介会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。手数料については、「人材紹介|手数料の相場は?仕組みや理論年収、返還金について解説」でも詳しく解説しています。
ヘッドハンティング会社はさまざまなチャネルを使って候補者を見つけ出します。
候補者の見つけ方については、「ヘッドハンティング会社の情報源はどこから?候補者を探し出し方」で詳しく解説しています。
問題ありません。ヘッドハンターが事前に要望にあった人材を紹介していますが、面談などを通し本音ベースで話しを進めていくと方向性が違うこともあります。
可能です。企業の担当者が直接ヘッドハンティングの場合、全くの白紙から探すというよりも、取引先や管理職の知り合いなどを引き抜くパターンが多いようです。
仕事ぶりが把握できている、すでに連絡が取れる間柄など、比較的狭い範囲に候補者がいた場合で行われることが多くあります。一部の企業では、SNSやタレントプールツールなどを利用して人事担当者自らヘッドハンティングを行うこともあります。
注意点としては、適した人材を見つける・判断するのが難しいこと、転職意思のない人材に「魅力付け」を行うのが難しい、という点があげられます。
また、同業他社から引っ張ってくる場合、トラブルや軋轢が生まれてしまうことも否めません。そのため、次に紹介するエージェントを仲介する方法が一般的です。
ヘッドハンティング自体は違法ではありません。労働者には職を選ぶ自由があり、企業にも自由競争の原理原則があります。 しかし、社会的に認められない方法でのスカウトや候補者を経由し現職場の情報などを聞き出したり、持ち出したりする行為は違法になる可能性があります。
マンパワグループの関連会社プロハント株式会社は、ヘッドハンティングを専門にサービスを提供しています。
次期経営者の候補やAI・機械学習エンジニア/データサイエンティスト、CFOなどのヘッドハンティングに成功し、採用決定率は約90%です。下記の資料では、料金体系を含めてプロハントのヘッドハンティングサービスについてご案内しています。
なかなか採用が決まらないポジションがある、妥協せず自社のニーズに合った人材を確保したいなどの場合は、ひとつの手段としてヘッドハンティングを検討するのもいいでしょう。ただし、ヘッドハンティング会社によって業界や人材層などの得意分野が異なるので、依頼前によくリサーチすることが重要です。また、ヘッドハンティングはターゲットをピンポイントでスカウトするという特性があるため、求める人材像を明確にしておくことも大切です。
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