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ヘッドハンティングは、経営者や後継者だけで利用されているわけではありません。
希少な資格や経験をもつ人材や幹部候補となる人材の採用にも利用が広がっています。
ご興味のある方は、ぜひ事例集をご覧ください。
経営層あるいは上級管理職など、企業の事業運営の責任を担う職位に将来的に就くことが期待される幹部候補を、外部から即戦力人材で採用したいとするケースが増えています。
しかし、即戦力となる幹部候補の採用は簡単ではありません。この記事では、即戦力となる幹部候補を見極めるポイントや効果的な採用などについて解説します。
この記事をざっとまとめると
人手不足や社員教育の不十分さなどの要因により、社内に幹部候補がいない、育たないといった課題を抱える企業は少なくありません。
他にも、事業拡大のスピードに育成が追い付かない、これまでの事業とは全く異なる分野での新規事業を立ち上げるため経験者が社内にいないなどの場合にも、外部から幹部候補の即戦力採用を視野に入れる必要があります。
管理職など即戦力を採用することで課題を一気に解決できる反面、外部から人材を迎え入れることによる問題も2つ考えなければなりません。
幹部候補は影響力の強いポジションであるため、採用ミスマッチが生じた場合の影響が大きいため、採用は慎重に行う必要があります。
経験やスキルだけではなく、社風との相性や候補者のキャリア志向、仕事への取組み方なども業務に大きな影響を与えます。ここでミスマッチを起こすと、当初想定していた体制が組めなくなるなど、事業運営にも悪影響を及ぼしかねません。
もうひとつの大きな課題は、採用対象が限られるという点です。ニッチな業界経験やスキル、上級管理職の場合は対象者がさらに絞り込まれます。
そのため、幹部候補の即戦力採用には採用手法の選択と採用選考の精度向上が非常に重要なポイントとなります。
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先に述べたとおり、幹部候補の即戦力採用における大きな課題のひとつは、採用ミスマッチが生じた場合の企業に与える影響の大きさです。
会社の社風に合わない、期待した成果を出せないなどミスマッチによるマイナス要素が大きいと、既存社員の不満や経営方針に対する不信感に発展する恐れがあります。
ミスマッチ防止のためにも特に注力すべきポイントを4つ解説します。
まずは自社のビジョンや経営戦略などに基づいて、採用したい人材像や幹部候補の採用目的を明確にし、幹部候補に求めるスキルを求人要件に定めましょう。
幹部候補の場合、業務や組織、プロジェクトなどへの影響力が強くなるため、スキルや経験だけでなく、目的を遂行できる力があるか、志向やマネジメントタイプなど人材の見極めをしっかり行えるよう、人材要件の精度を高める必要があります。
採用に必須のペルソナ設計方法については、以下の2つの記事を参照ください。
幹部候補に必要とされるスキルや経験は業界や企業によって異なりますが、次のような要素が一般的には求められる傾向にあります。ただし、ここで紹介するスキルや経験に関してはあくまでも一例であるため、必須である要件とあるとよい要件は自社内で検討しましょう。
幹部候補は、自らの考えをもとに他者をリードして成果を出すことが求められます。そのため、チームを率いる能力や他者との協働能力、または企業のビジョンをもとに戦略を立案し、組織を成長させるリーダーシップが必要です。
求められるレベルとしては、少なくとも自分が関わる事業において他者が「この人だからついていくしかない」と思われるような人望が必要です。
幹部候補は、長期的な目線で事業を見据え、現状分析から将来に向けた戦略を考えることが求められます。そのため、ビジネスに関する広い視野と洞察力、環境変化や市場動向に敏感に反応し、戦略をアップデートする能力が必要です。
求められるレベルとしては、自社の状況を客観的に把握でき、どのようにすれば収益を上げられるかどうかを早く具体的に提案し、実行することができるレベルです。
管理職候補にとって、経営感覚と財務知識は必須のスキルです。予算管理や投資決定など重要な財務的意思決定を行う上で中心的な役割を果たします。また、組織の戦略策定においても、市場動向の分析、競合分析、リスク管理などにおいて、戦略的なアプローチでも必要となるでしょう。
財務知識は組織のパフォーマンスを測定し課題を発見、対応策を立てる上でも重要です。
幹部候補に求められるコミュニケーション能力は、組織内外とのコミュニケーションにおいて円滑な意思疎通ができることが必要とされます。幹部候補は、部下や同僚とのコミュニケーションだけではなく、他部門や外部との交渉や提携交渉など、さまざまなステークホルダーと円滑な関係を築くことも求められます。
コミュニケーション能力を求めるレベルについては、幹部候補が求められるコミュニケーションの範囲、頻度、相手といった要素によって異なります。一般的には、マネジメントやリーダーシップを担当する場合には高いコミュニケーション能力が必要とされます。
問題解決能力はビジネスにおいて必須のスキルですが、幹部候補には高い問題解決能力が求められます。
求めるレベルは、募集ポジションで発生するであろう問題を適切に解決できる能力を有していることが最低要件です。
幹部候補は、日々の業務に加えて、予期せぬ問題に対処することもあります。そのため、ストレス耐性が必要とされます。
求めるレベルは、プレッシャーを感じながらも冷静かつ客観的な判断を下せることが最低要件です。また、ストレスフルな状況においても、自己管理能力を発揮し、適切な対処ができることが望ましいです。
関連記事:管理職に求められる能力は?スキルを高める方法も解説
入社後のミスマッチを防ぐためにも、選考の段階で幹部候補に求められるスキルや経験を正確に判断する必要があります。
幹部候補に必要とされるスキルや経験を見抜くためには、多角的に評価しましょう。
応募書類やテスト類などの結果だけではなく、経歴や結果がどうやってもたらされたものなのか面接で精査します。
例えば、多角的な評価方法として、以下の方法があります。
アセスメントツールは、性格や能力を評価するためのテストです。これらのツールを活用することで、客観的な評価を行い採用担当者の主観的な判断を補完することができます。
適性検査の結果や履歴書・経歴書の情報にギャップがないのかの確認をするようにしましょう。 ギャップ確認の質問をあらかじめ用意しておくとよいです。
コンピテンシー面接は、行動の特性(コンピテンシー)を評価するための面接です。事前に設定されたコンピテンシーに基づき、候補者がどのような特性を持ち合わせているかを評価します。例えば、「リーダーシップ」や「組織へのコミットメント」などの項目を設定し、その質問に対する回答や過去の実績などから候補者の特性を評価します。
カジュアル面談などで人間性を判断する方法があります。
ヘッドハンティングの候補者は会食などよりカジュアルな場面で現経営の人たちと意見を交換することや、プライベートな話をし、人となりも把握することが多いです。
面接よりもラフな場所での選考を行う方法も検討してみましょう。
重要なポイントは、予定しているポジションで活かせる業績なのか、どのような考え方、手法でその業績をだしたのか、を確認することです。仮に職種が同じであったとしても、転職前と同じような成果を出せるとは限らないためです。
中小企業では、幅広い業務を担っていることがよくあります。業務全体のフローを理解しており、俯瞰した発想力や交渉力が優れています。一方で、大きな事業経験は少なく、多数の部下を持った経験がない傾向にあります。
中小企業は、少ないメンバーや固定的なメンバーの中なので濃いコミュニケーションを求められることが多いと言えるでしょう。
このように同じ業界・職種であったとしても、それぞれ持っている経験が異なる傾向にあります。
複数の評価方法を併用することで、過去だけではなく現在進行形で取り組んでいる仕事の業務実績や成果、能力やスキルを客観的に評価することができるため、候補者の能力やスキルをより正確に把握し、適切な人材を選抜することができるでしょう。
優秀な人材は他社からもスカウトを受ける可能性が高いため、自社の魅力付けに注力することが重要です。
具体的には、以下の方法が挙げられます。
優秀な人材は自分が活躍できるポジションを求めています。候補者が魅力と感じるような業務内容やキャリアパスを示すことでは効果的。どんな仕事に就きたいのか、チャレンジしたいことなどを把握した上で、自社の強みを示しましょう
優秀な人材は、自分が所属する会社がどのような企業文化を持ち、どのような理念やビジョンを掲げているのかを知りたがります。また、企業の問題点を素直に開示することで、自分自身が企業文化に合うかどうかを入社前に知ることもできます。こうした自己開示は信頼に繋がります。
ビジョンの共有も自社への関心を高めるのに効果的です。企業が掲げるビジョンの実現に向けた戦略的な判断力やリーダーシップが必要であり、そのために一緒に働いてほしいというメッセージは、候補者に刺さります。
もしビジョンと候補者の希望に乖離があった場合でも、ミスマッチを防ぐ効果もあります。
優秀な幹部候補人材を採用するためには、現職の経営幹部や社内の優秀な人材が同席する面接を選考に入れるとよいでしょう。
社内で優秀だとされている人材は、業界や実務に必要とされるスキルについての豊富な知識や洞察力を持っており、面接官として候補者の能力や適性を正確に判断できる傾向にあります。
仕事の進め方などが現場の雰囲気やカルチャーにマッチしている人材かどうかなど、候補者のさまざまな情報を引き出し、適切な評価を行うことを手助けしてくれるでしょう。
ただし、面接官の仕事に慣れていない人は評価にバイアスがかかる可能性があるため、人事部員が同席することをおすすめします。
もうひとつの大きな課題である、採用対象が限られるという点を考慮すると、採用手法に工夫を凝らすことも重要です。
優秀な幹部候補の採用に有効な採用方法として、以下の3つの採用方法があります。
それぞれについて解説します。
メリット | 人材要件にかなり近い人材を採用できる |
デメリット | コストと時間がかかる |
ヘッドハンティングとは、経営者や経営者候補、高度専門職など他社で活躍する優秀な人材に自社をアピールし、引き入れる採用手法です。自社の魅力付けを丁寧に行い、自社にマッチした的確な優秀な人材を紹介してもらえる点は大きなメリットといえます。
即戦力となるハイレベルな幹部候補を転職市場や一般的な人材紹介で採用するのは非常に困難です。ダイレクトリクルーティングを用い自社で対応する方法もありますが、競合他社の社員をスカウトしたいなど、軋轢がでてしまう恐れもあります。
ヘッドハンターは転職市場にこだわらず、転職意思を示していない人もターゲットに候補者を探し出し、丁寧にアプローチ。人材要件にかなり近い人材を候補者として紹介してもらえることが最大のメリットです。
メリット | 社員が推薦するので、会社への理解が深い人材を採用できる。比較的安価 |
デメリット | いつ紹介されるか見通しが立ちにくい |
リファラル採用とは、自社の社員から知人や友人などを推薦してもらった上で選考を行い、採用する手法です。
実際に自社で働く社員が「この人は自社で活躍してくれるだろう」と判断して推薦するため、採用効率アップや採用コストの削減、さらには信頼性の高い人物を採用できるといったメリットがあります。
デメリットとしては、「近しい人からの紹介」ということで本音が聞きだせないときがあることに注意しなければなりません。また採用が社員の本業ではないため、見通しが読みにくくなります。
リファラル採用を行う際のポイントは、優秀な社員の周辺にはその社員との親和性の高い優秀な人材がいる可能性が高いため、積極的に優秀な社員に人材の紹介をしてもらえるようにすることです。
メリット | 希望の人材に直接アプローチでき、訴求できる |
デメリット | 人材を探し出す、関心を持ってもらうスキルが担当者に必要。工数と時間がかかる |
ダイレクトリクルーティングとは、企業がデータベースなどを活用して、優秀な人材に能動的にアプローチする求人手段です。希望条件に合致した候補者を見つけやすく、自社の魅力をアピールしやすい点がメリットに挙げられます。
ただし、上級管理職など経験者が少ない層がターゲットの場合、タレントプール・データベース内に求める人材の登録が少ない可能性もあります。また、スカウトメールを読んでもらうなど、採用担当者には一定のスキルが求められる手法です。
幹部候補の採用には、従来の面接方法に加えて業績評価やビジョンの共有など工夫が大切です。また、自社のみでの採用にこだわらず、ヘッドハンティングサービスやダイレクトリクルーティングを活用することで、理想の人材を採用できる可能性が高まります。
自社の魅力付けなどを積極的に行いつつ、外部の採用のプロの力を借りて優秀な人材の採用を実現しましょう。
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