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中途採用の採用手法大全
中途採用にはさまざまな採用手法があります。中途採用で用いられる12の手法について特徴やメリット・デメリットをまとめた資料をご用意しました。ぜひご覧ください。
中途採用にはじめて取り組みたい、これまでの中途採用の手法を見直したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では中途採用のメリットやデメリット、進め方まで中途採用について知っておくべきポイントを紹介します。
中途採用とは、新卒者以外を採用することを指します。職務経験を有する人材を対象とすることが一般的ですが、既卒者や第二新卒を含めるか、募集する職種の実務経験の有無など、求める経験のレベルは企業によって異なります。
新卒一括採用から年功序列型評価を経て、終身雇用が一般的であった「日本型雇用時代」に、新卒採用に対して「中途採用」と呼ばれるようになりました。
企業の採用計画に占める中途採用の割合は上昇傾向にあり、中途採用は今や企業の採用の中心的存在です。
経団連では雇用の流動化・経済の活性化を促進するため、一部否定的な印象のある「中途採用」の呼称を「経験者採用」に改めると方針表明するなど、今後名称が変化していく可能性があります。
中途採用と新卒採用は対になる採用の概念ですが、それぞれの違いについて確認しておきましょう。
【目的の違い】
新卒採用の目的 | 組織の人材構成のバランスを整え、長期的な視点で次世代の人材育成をする |
中途採用の目的 | 育成コストを抑えつつ短期間で業績に貢献する人材を獲得する |
【ターゲットの違い】
新卒採用のターゲット | 新規学卒者を中心としたポテンシャルを持つ人材 |
中途採用のターゲット | 職務経験・業務経験を持ち即戦力が期待できる人材 |
【募集人数の違い】
新卒採用の募集人数 | 比較的多く、毎年一定の人数を採用する |
中途採用の募集人数 | その時々の経営戦略と事業ニーズによって変動する |
【募集時期の違い】
新卒採用の募集時期 | 4月入社を基本として、卒業より一年以上前から広報開始 |
中途採用の募集時期 | 随時。応募から内定まで2ヶ月前後が一般的 |
新卒採用と新卒採用はどちらか片方を選ぶというものではなく、目的に応じて、併用しながら企業の成長につなげていくものと考えるとよいでしょう。
「キャリア採用」という呼称を用いて人材採用を行う企業も増えています。中途採用とキャリア採用は、中途採用と新卒採用のような「対」になる意味や、大きく異なる定義を持つものではありません。
違いを挙げるならば次の通りとなります。
中途採用 | 「新卒以外の採用」について包括的に言うもの |
キャリア採用 | 中途採用のなかで、業界経験や職務経験について「自社の求める採用基準が比較的高い採用」 |
先ほど経団連が中途採用の呼称を「経験者採用」に変更するよう加盟企業に要請したという経緯を紹介しましたが、その影響もあって呼称を変更したというケースもあるでしょう。
「キャリア採用」という呼称を使う場合、第二新卒や職務未経験者は採用対象外であると応募者にイメージさせる可能性があるため、対象に含めて募集する場合は工夫が必要です。
中途採用の基礎的な手法からトレンド・新手法まで
企業が中途採用を実施することでどのようなメリットがあるか、代表的な7つのメリットについて紹介します。
中途採用をすることで、具体的にどのような影響・効果があるか、それぞれ確認していきましょう。
中途採用は、業務経験・職務経験を持つ人材を採用できます。即戦力がほしいポジションに随時対応できるのは、新卒採用にはないメリットです。
経験者であるため、入社して比較的早くひとり立ちし、業務を任せることが可能。自社にはいない経験やノウハウを持つ人材を取り入れたい場合にも最適です。
スカウトやヘッドハンティングなど、利用する採用手法によって、より専門的な知識や経験を有する人材を確保できる可能性が高まります。
中途採用の場合、業界経験・職種経験はない場合でも、社会人としての基礎知識やマナーについて一定の経験があるため、育成にかける時間やコストが削減可能。また、業務に必要な経験や業界特有の知識を持っている人材を採用することで、さらに人材育成のコストを削減できます。
教えられる人がいない、現場が忙しく余裕がないなど、育成が難しい企業は、中途採用を活用すべき。ただし、どんなに業務の経験があっても、会社独自ルールは存在します。中途採用であっても、最低限の教育が必要です。
中途採用は、時期を問わず必要なタイミングで募集・採用活動ができます。
母集団形成から入社まで半年~1年以上かかる新卒採用と異なり、募集から入社までの期間が短いことも中途採用のメリットです。一般的に、中途採用にかかる期間は、1か月~数か月といったところです。
さまざまな経験や考え方、属性の人材をメンバーとして迎えいれることができるのも中途採用の強み。違う特徴の人材が共に働くことで、組織を強くすることができます。
創業期から拡大期など、急激に企業が成長するタイミングでは同じような属性のメンバーが多数を占めがちです。そんな時こそメンバーの多様性を意識し、強い組織づくりを目指してリーダーを育てたいものです。
ピンポイントで必要な属性にアプローチすることができるのも中途採用ならではのメリットです。
一例
など
経理や財務、ITエンジニア職種など、専門性の高いスキルを持つ人材が必要な時、自社にその知見がない場合に自社で未経験者を育成することは現実的ではありません。他社での業務経験を持つ人材を採用すれば、即座に自社に無いノウハウを自社の業務に取り込むことができます。
高いスキルや市場価値の高い業務経験を有する人材を獲得するには、相応の報酬も必要になります。しかし、自社で試行錯誤しながら長い時間をかけて育成するよりも、多くの場合は外部から獲得を目指した方が必要な時間・費用ともに負担が軽くなるケースが多いでしょう。
新しいメンバーが組織に加わることによって、それまでなかった新たな知見を得たり、これまで顕在化していなかった問題を違った視点で見ることで発見できたりといったきっかけを得ることができます。
また、中途採用を実施するうえで、明文化されていなかった業務内容のマニュアル化や、自社の商品やサービスの優位性を改めて確認するなど、採用のための準備自体を組織活性化に繋げられる可能性があります。
中途採用は正社員採用だけに限りません。必要な業務内容によって、雇用形態を柔軟に検討することが可能です。例えば契約社員などの有期雇用契約、また地域限定正社員や時短勤務での募集など、さまざまな雇用形態があります。
複数の雇用形態をもつことで、個人の事情に対応も可能。場合によっては、フルタイム正社員よりも応募数が集まったり、優秀な人材からの応募が来たりするケースも珍しくないため、スキルの高い人材に対して雇用形態の選択肢を増やすことで、労働力の向上、効率化が図れるなどメリットがあり、自社の人件費を適正化することも可能です。
多くのメリットがある中途採用ですが、状況によっては大きなデメリットが生じるリスクもあります。できるだけリスクを小さくするために、中途採用における5つのデメリットについても確認しておきましょう。
中途採用した人材が早く役に立ちたいと強い思いを抱き、「空回り」してしまうことは珍しいことではありません。
自分のやり方を強引に進めようとしたり、メンバーとの相性の問題が発生したりする可能性もあります。また、受け入れるチームメンバーが中途採用者を新たに迎え入れることに拒否感を持ってしまうケースもあります。
中途採用者がチームの一員として馴染むための配慮や、受け入れ態勢不十分なまま採用してしまうと、チームビルディングに支障をきたすリスクがあります。
新卒採用でも中途採用でも、一定水準以上の採用にはコストがかかります。しかし、近年の人手不足を背景に、新卒・中途ともに採用コストは上昇傾向にあります。
中途採用は新卒と比較して一人当たりの採用単価が高いとされています。中途採用の場合、さまざまな採用手法を用いないと採用できないことや新卒と比較して採用人数が少ないことが主な原因です。
特に母集団形成には多くの選択肢があり、ハローワークのように「無料だけど単体では母集団形成は厳しい」方法から、「人材要件にマッチした理想の人材を獲得できる反面、費用は高額」といった方法までさまざまです。
採用の主なコスト
中途採用は配属する部署や役割があらかじめ決められ、早い段階に責任ある仕事に就くことがほとんどです。退職者の後任としての入社もあれば、新規プロジェクトのマネージャーなど期待されていることが大きい反面、ミスマッチが起きると部門の活動に大きく影響を及ぼします。
特に、経営幹部候補や部門責任者などのポジションで迎えた中途採用者の場合、ミスマッチが生じると企業活動にも影響がでてきます。
このようなミスマッチが起きたとしても、異動や配置転換は容易ではなく、また試用期間での解雇も条件は厳しいです。適性をみて配属を決定する新卒採用との大きな違いと言えるでしょう。
ミスマッチ防止で大切なのは、人材要件をポジションや自社の状況にフィットさせることです。ただ必要なスキルや経験だけを書きだしていても、チームカラーと合わないや本人のキャリアが実現できないなど問題がおきてきます。
こちらの「人材要件チェックシート」を利用し、ミスマッチの起きない人材要件を言語化してみてください。
スタートアップ企業など、創業期の小さな集団で自然と醸成される企業文化のなかには、明文化されていないものも少なくありません。スキルや経験を重視するあまり、異なる企業文化や価値観を持つ人材を迎え入れたとき、明文化されていない企業文化はそれをきっかけに崩れる場合があります。
崩したくない社風や企業として大切にしたい価値観は、新しく迎え入れる採用者にもきちんと伝えられるように、明文化しておきましょう。
企業の永続的な発展のために、社員の構成のバランスを整えることは大切です。直近の事業運営だけを優先し、即戦力となる人材だけを優先して採用した場合、社員構成に偏りが出たり組織が高齢化したりすることがあります。
特定の年齢層に偏ることで、ポジションの過不足や社員の退職時期の集中といった将来の課題が発生するリスクがあるため、短期的な人材配置ニーズだけでなく、長期的な視点での採用計画を考慮しましょう。
中途採用を始めるにあたって必要な工程を大きく5つに分けて解説します。採用人数や職種、業種、企業規模などに関わらず、中途採用を実施するすべての企業に必要な工程です。
上記5つのステップについて、採用担当者はもちろん、面接官や受け入れ部署の社員、最終面接を担当する責任者まで、できる範囲で共有し、採用の成功につなげましょう。以下、それぞれの工程について解説します。
採用計画とは、単なる採用スケジュール設定のことではありません。中長期的な経営方針や事業展開に合わせて、人材をいつ、どこに、どのように配置するかという経営戦略としての位置づけでもあります。
採用は景気や同業他社の動向など、外部の要因によって大きく影響されます。経営方針に基づいた採用計画を立てることで、計画の変更・修正にも随時対処しやすくなるでしょう。
採用計画をいくつかの工程に分け、順を追って解説します。
「1名欠員が出たから、1名採用する」ことは採用計画ではありません。同じ1人の採用でも、中長期的な事業計画や今後の経営方針を踏まえて人物像を策定することで、採用手法や時期、面接の内容が変わり、採用できる人材も変わります。
場合によっては中途採用ではなく、新卒採用もしくは派遣サービス、またはアウトソーシング(業務委託)など、異なる手法が課題解決に役立つかもしれません。
現時点での欠員状況だけでなく、事業計画をもとに数年単位で人材の過不足感を予測し、経営目標を達成できるか、そこから逆算し募集人数も含めた採用計画を立てましょう。
採用人数と入社予定時期が決定したら、求める人物像を明確にし、求人要件を検討しましょう。例えば、「2年後、経営幹部となりうる人材」と「2年後、若手スタッフの管理者として店舗の責任者を任せられる人材」では、現時点で必要になる経験が異なります。
求人要件を検討する時は、採用責任者や経営者だけでなく、実際に配属される現場とのすり合わせも重要。現場が求めている社員像と大きく乖離があると、直近で取り組まなければならない業務がスムーズに進まなくなるリスクが生じます。
また、求人要件は「実際に転職市場に存在する人物」でなくてはなりません。「税理士資格と財務の実務経験を持ち、20代で、現在の年収は300万円未満の方」など、実在しないような求人要件を設定しても、採用には繋がりません。どのような人材が転職市場にいるか、情報収集することも大切です。
中途採用の成功でポイントになるのが、人材要件を言語化できていて、条件の優先順位がしっかりあることです。人材要件の認識が違うと、採用できない・すぐ辞めた・選考が滞る、といった問題がでてきます。
人材要件を明確にし、関係者間で共有できるシートをご用意しています。ぜひご利用ください。
求人要件が決定したら、応募者がその基準をクリアしているか評価するためのチェック項目と選考方法を検討します。
人柄や志望度など客観的な指標がない項目は、人によって評価が異なる可能性があります。例えば「チームワーク」を評価項目に設定した場合、チームとは2人なのか、数百人規模の組織をイメージしているのかでも基準が変わります。
選考方法も評価を左右します。書類選考の有無、面接の回数、面接担当者は誰か、オンライン対応は可能か、適性検査や筆記試験の有無、面接から内定までの期間など、状況に合わせて変更しましょう。
採用人数や求人要件によって、必要な採用予算は大きく異なります。また、採用に携わることができる人数によっても変わってきます。
予算に最も大きな影響があるのは母集団形成に必要な費用です。ここには、さまざまな求人媒体への出稿費や、合同企業説明会の参加費、人材紹介会社への成功報酬費用などがあります。
はじめての中途採用で予算感がつかめない場合、複数の求人広告媒体の提案を比較して検討しましょう。
採用スケジュールは、募集の公開から応募受付、書類選考、面接、選考結果の通知、入社手続き、最終的なオンボーディング(新入社員の職場への導入)までの各ステップを含むことが一般的です。
中途採用は新卒採用と異なり、入社時期は応募者1人1人の状況に応じて柔軟に対応する必要がでてきます。面接日や時間帯など、ある程度の余裕を持った採用スケジュールを作成しましょう。また、長すぎる選考は辞退の原因となるため、注意してください。
Web、新聞・折込広告、合同企業説明会、人材紹介、紹介予定派遣、社員によるリファラル採用、ハローワークなど、さまざまな求人広告媒体や人材サービスがあります。それぞれの媒体によって、職種や年齢層、エリアなどに強みがあるため、自社の求める人材要件に適した採用方法を選定することが大切です。
後で効果測定ができるよう、媒体の出稿記録と掲載内容、応募のデータなどの履歴をとり、検証しながら採用の知見を蓄積しましょう。
中途採用の採用手法については「中途採用の採用手法大全」で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
応募者は複数の会社に応募します。他社との比較検討でマイナスの印象を持たれてしまうことがないよう、求職者の目線で採用プロセスを設計しましょう。
特に、素早いレスポンスは大切です。応募受付が始まったら、1営業日以内に返信ができるよう対応しましょう。応募者によっては、まだ就業中で平日の日中は対応できないことも珍しいことではありません。
土日や終業時間後の対応をどのようにするか、あらかじめ検討しておくことも必要です。また、時間の制約が比較的緩やかになるオンライン会議システムを利用した面接も増えているため、必要に応じて検討しましょう。
面接は応募者に「選考される」場でもあります。応募者の本音を引き出す良い面接をするため、また自社に対してプラスの印象を持ってもらうための面接官トレーニングも重要です。
また、進捗状況の把握は採用計画を修正のために必要不可欠です。採用担当者だけでなく、配属先責任者や経営者など、関係者間での人材要件や評価基準の確認・修正も適宜実施します。
中途採用は内定後すぐに入社を希望するケースもあれば、調整が必要なケースもあり、内定者のフォローアップの必要性は企業の事情によります。
とは言え、応募者の悩みや疑問など面接では聞き取れなかったことや入社への不安を和らげる施策はあったほうがよいでしょう。新卒採用同様に、複数の会社から内定を受ける人も多いので、自社の魅力付けを強める意味も含めてフォロー施策を検討してください。
なお、「入社までに資格を取得すること」「マニュアルを覚えてくること」といったことを内定時の義務として課すことは避けましょう。あくまでも「業務にスムーズに馴染むための参考として」の情報提供に留める配慮が必要です。
中途採用の内定辞退施策については、「中途採用向け|6つの内定者フォロー策と内定辞退の理由」で詳しく解説しています。
労働人口の減少がダイレクトに企業に影響し、働き方の多様化も進む今の中途採用は、とても難しいものです。限られた採用費でほしい人材を獲得するには、自社にフィットした施策が必要。
この場合、企業の採用をサポートするサービスの活用も視野にいれてみてください。マンパワーグループでは採用の専門家として、年間5,000人以上の採用を支援しています。
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サービス資料もご用意していますので、ご興味のある方はご覧ください。オンラインでの相談を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
中途採用は新卒採用と異なり、即戦力人材の確保、人材育成のための時間・コストの削減、専門性の高いスキルや他社ノウハウの獲得、柔軟な雇用形態の導入など、さまざまなメリットがあります。多額の費用がかかる可能性があるなどのリスクを回避するには、中途採用に必要な工程一つ一つに丁寧に取り組むことが大切です。
初めて中途採用を実施する場合は、採用活動をサポートするベンダーの力を借りることも検討してみてください。自社にフィットした適切な採用計画を立てることができます。
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