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「派遣社員の管理」ポイントと対応方法を解説

掲載日2020年12月 8日

最終更新日2021年9月22日

目次

    派遣サービスを利用する企業が増えていますが、雇用主が派遣元(派遣会社)である派遣社員を受け入れるにあたり、派遣先企業にどのような責任があり、どのような対応が必要なのかというご相談を数多くいただきます。本コラムでは派遣先企業に求められる派遣社員の管理について解説します。

    派遣法で派遣先企業に求められる措置とは?

    派遣社員の雇用主は派遣会社ですが、実際の就業場所は派遣先企業という雇用と使用が分離した形態になっています。
    このため労働者派遣法では、派遣社員が安心して就業できるように派遣先企業にも「派遣先の講ずべき措置」を定め、派遣先企業が遵守できるよういくつかの指針を公示しています。
    「派遣先の講ずべき措置に関する指針」について詳しく知りたい方は下記をダウンロードください。

    cover_tempguide-intermediate03.png  

    派遣社員の管理は誰がするのか?

    雇用している企業と就業している企業が異なる派遣社員が適正に就業できるよう、労働者派遣法ではいくつかのポジションを派遣先企業内で選任するように定めています。それぞれのポジションの役割や責任について解説します。

    派遣先責任者

    派遣先責任者とは、派遣先企業が派遣法を遵守し、派遣会社と連絡調整を行いながら、派遣社員の適正な就業を確保する責任者です。主な役割としては次の通りです。

    • 指揮命令者や関係者全てに派遣法や労働基準法などの規定、派遣契約の内容、派遣会社からの通知などを周知
    • 派遣受け入れ期間の管理、変更通知
    • 均等均衡待遇の確保
    • 派遣先管理台帳の作成・通知
    • 派遣社員からの申し出があった苦情への対応
    • 安全衛生教育・健康管理
    • 派遣会社との連絡業務全般

    派遣先責任者の選任要件や条件などは「派遣先責任者とは?役割や留意点を解説」で詳しく説明をしておりますが、指揮命令者や苦情処理担当者を指導しながら、派遣社員の就業管理の責任を負う重要な役割です。

    指揮命令者

    指揮命令者とは、就業している派遣社員に業務指示をする人のことです。派遣社員の業務内容、就業日・時間が派遣契約どおりか、就業環境が適正かどうかなどを確認しながら業務指示・管理し、必要に応じて派遣先責任者に報告します。

    苦情処理担当者

    派遣先の講ずべき指針では「派遣社員から苦情を受けたら、速やかに派遣会社へ通知し、連携して解決を図らなければならない」とあります。そのため、派遣社員からの苦情の申し出を受けた際に遅延なく適切に対応を行う担当者を派遣契約に明示し、苦情処理体制が派遣社員にも予めわかるようにする必要があります。

    派遣先責任者は指揮命令者もしくは、苦情処理担当者を兼務することは可能ですが、指揮命令者が苦情処理担当者を兼務することは禁止

    また派遣先責任者は役割を遂行するために「派遣社員の就業場所の巡回」が求められています。そのため派遣社員の就業場所と同一である必要があります。一方で指揮命令者は居場所が明確でいつでも連絡が取れるのであれば、派遣社員と離れた場所に常駐していても問題ありません。

    派遣社員管理のポイント

    前述のとおり派遣社員の雇用主は派遣会社ですが、受け入れるにあたり派遣先企業にも管理責任は発生します。派遣先企業として管理しなければいけないポイントや対応について解説します。

    勤怠管理

    出勤・欠勤状況の把握は派遣先企業の責任です。派遣社員の健康管理はもちろんのこと、派遣社員の就業時間に応じて派遣料金が変動するので、派遣社員の労働時間を適切に管理する必要があります。

    対応方法


    派遣社員の勤怠管理は、出欠簿の用紙、打刻・勤怠管理システムなどの様式は問われませんが、派遣社員が稼働した日の開始時間・休憩時間・終了時間・残業時間などが記録できるよう整備します。

    時間外労働時間の上限は派遣会社が締結している36協定の範囲内となります。依頼できる時間外労働時間は締結している派遣契約の内容で確認しておくようにしましょう。

    就業開始前には想定していなかった休日出勤の可能性がでてきた場合には、事前に派遣会社に可能かどうか相談しておく必要があります。また年次有給休暇の取得の義務は派遣社員も対象になります。派遣社員が休暇を取得しやすいよう派遣先企業は業務量の調整などを行い、派遣会社が適切に有給休暇を派遣社員に与えられるような配慮が必要です。

    派遣先企業には勤怠情報などを、月に1回以上、派遣会社へ報告する義務があります。また、派遣会社から問い合わせがあった場合にも、すぐに応じられるようにしなければなりません。

    業務指導・指示

    派遣先企業は、「業務に関する指揮命令者」を定め、派遣社員に業務指示を行います。派遣契約で定めている業務以外の業務を行うことは法律で禁じられています。派遣社員が契約外の業務を行わないように管理する必要があります。

    対応方法


    派遣社員の就業開始が決まったら、所属する部門や関連部門の関係者に「指揮命令者は誰になるのか」、「どのような業務を担当するか」などを事前に周知し、契約外の業務を指示することがないようにします。

    また指揮命令者は派遣社員が円滑に業務をはじめられるように、手順を示したマニュアルの整備や就業開始後の研修、各業務の指導係の任命などについても必要に応じて準備します。業務内容の不明点や社内ルールなどで派遣社員が戸惑わないように、あらかじめ検討しておきましょう。自社内ではあたり前の事でも、雇用主が異なる派遣社員にはあたり前ではないことが沢山あります。適切に業務指示をすることで派遣社員の良いパフォーマンスが期待できます。

    派遣社員が就業開始する際の受け入れポイントは「派遣社員を受け入れるときに知っておきたいポイント」で詳しく解説しています。

    業務に適した環境整備と均衡待遇の確保

    派遣社員の就業に伴う安全管理や衛生管理の責任も派遣先企業にあるため、派遣社員が安心して業務に取り組める環境を整える必要があります。また2020年改正労働者派遣法では、派遣社員の不合理な待遇差をなくすことが求められています。

    対応方法


    作業スペースの確保、業務に適した空調、室内の明るさなど、自社の従業員と同様の配慮が必要です。更衣室(ロッカー)やリフレッシュルームなどの福利厚生施設も、自社の従業員と同様に利用ができるようにする必要があります。

    また職場環境だけでなく、派遣社員が正当な待遇を受けられるよう、派遣会社の求めに応じて自社従業員の待遇情報や、派遣社員の業務遂行状況などを提供する必要があります。

    派遣社員の待遇は「派遣法改正後の人材派遣、同一労働同一賃金を踏まえた利用法」で詳しく解説しています。

    ハラスメント・苦情対応

    派遣先企業には、自社従業員と同様に派遣社員にも職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント、障がい者に対するハラスメントなどの防止を図ることが義務づけられています。

    対応方法


    苦情処理の体制(受付者、対処者)を構築し、就業開始した派遣社員に予め説明をしておく必要があります。実際に派遣社員から苦情の申し出あった場合は、速やかに解決を図り、派遣会社に報告する必要があります。

    注意しなければならないのは、苦情を申し入れた派遣社員に対して、「業務量を増やす」や「契約終了する」など派遣社員の不利益になる取り扱いは禁止されています。

    ハラスメントにあたるかどうか微妙な問題であっても、派遣社員が気兼ねなく相談できる体制づくりが必要です。

    派遣社員への注意はどうする?
    雇用主が異なるため派遣社員に直接注意してはいけないと思われている派遣先企業の方がいます。
    「指示した業務ができていない」「契約通りに出勤しない」など業務や勤怠など派遣先企業の管理下にあることは派遣社員に直接注意しても大丈夫です。

    ただし注意するときは「改善できなければ、契約を終了する」など契約期間に関することに触れることには問題があります。知っていれば防げるトラブルもありますので、受け入れのコツを知りたい方は下記をご覧ください。


    > はじめての派遣スタッフ受け入れガイド【初級編】をダウンロードする

    派遣先管理台帳について

    派遣法では派遣先企業に派遣先管理台帳の作成を義務付けています。その台帳作成の目的や記載内容などを解説します。

    派遣先管理台帳とは?

    派遣先企業が「派遣社員の稼働した日」や「労働時間」といった就業の実態を確実に把握すると同時に、「派遣社員が従事した業務内容」や「申し出のあった苦情内容」など日々、前述にある派遣先企業が管理しなければならないことを記録する台帳です。

    台帳は必要事項が記載されていれば、紙でもWebシステムでも問題ありません。

    派遣社員毎に派遣先管理台帳を作成し、該当派遣社員の契約終了から3年間保存が必要です。派遣会社に対しては、月に1回以上、管理台帳の内容の一部を通知します。通知方法は、派遣社員毎にFAX、メール、書面のいずれかの方法で行います。また、派遣会社から開示請求があった場合は、速やかに開示する必要があります。

    派遣先管理台帳の記載事項

    派遣先管理台帳に記載すべき事項は、以下のとおりです。

    ★の項目が月1回以上、派遣会社に通知が義務づけられている項目です。

    • 派遣労働者の氏名(★)
    • 派遣元事業主の名称・事業所名・所在地
    • 労使協定派遣社員であるか否か
    • 「無期雇用派遣社員」か「有期雇用派遣社員」か
    • 就業状況(就業日、就業日毎の就業時間・休憩時間)(★)
    • 派遣社員が従事した業務の種類・責任の程度(★)
    • 派遣就業した事業所の名称・就業場所・組織単位(★)
    • 派遣社員から申し出があった苦情の状況
    • 紹介予定派遣に関する事項
    • 教育訓練を行った日時・内容
    • 派遣元責任者名・派遣先責任者名
    • 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項(該当する場合に記載)
    • 労働、社会保険の被保険者資格取得届の有無
    • その他厚生労働省令で定める事項

    まとめ:派遣会社との連携が重要

    自社従業員とは異なるため、管理台帳のように自社従業員には発生しない管理も発生しますが、派遣社員管理の基本となるのは自社従業員と同様の職場環境を提供し、派遣契約を遵守することです。指揮命令する派遣先企業が派遣契約の内容を理解し、雇用主である派遣会社と密に連携することで、派遣社員は安心して業務に従事することができ、長期的かつ安定した就業が可能になります。

    参考:
    派遣労働者を受け入れる派遣先として留意すべき点について|大阪労働局
    派遣労働者を受け入れるに当たって|東京都労働相談情報センター
    派遣労働者の安全衛生対策について|厚生労働省
    派遣先にも、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法が適用されます(PDF)|厚生労働省

     
      

    はじめての派遣スタッフ受け入れガイド【初級編】をダウンロード

     

    著者プロフィール

    マンパワーグループ株式会社

    世界75カ国・地域に2,200のオフィスを持ち、ワールドワイドに展開している人材サービスのグローバルカンパニー、ManpowerGroupの100%出資の日本法人。 リクルーティング、評価、研修、人材育成、キャリアマネジメント、アウトソーシング、人材コンサルティングなど、人材に関するあらゆるソリューションを世界的なネットワークで展開する総合人材サービス会社。

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